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⑫卵アレルギーの子が陥りやすい栄養不足と症状

卵アレルギーの子の食事 食事とアレルギー

卵は「完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養価が高い食品です。ビタミンCと食物繊維以外のほぼすべての栄養素を含んでいるとされています。それだけに、卵を除去していると、「栄養が足りているかな」と気になる方も多いと思います。

実際、国立病院機構相模原病院が食物アレルギー児138名(平均年齢2.0歳)を対象に行った調査では、患児たちの摂取栄養量は、エネルギー・カルシウム・鉄の摂取量が推奨量に比べて低い値だったと報告されています。これは、決して珍しいことではなく、除去食に取り組む多くのご家庭に共通する課題だということですね。

ここでは、卵アレルギーの子が気を付けたい症状と、その背景にある栄養素、代わりに摂りたい食材について整理していきます。

卵にはどんな栄養素が含まれているの?

鶏卵は安価で質のよいたんぱく質源とされています。卵1個(50g)からは、約5.7gのたんぱく質が摂れるとされています。これは、絹ごし豆腐半丁、納豆1パック、豆乳や牛乳200mLとほぼ同じ量のたんぱく質にあたります。つまり、卵1個を食べられない代わりに、豆腐半丁を追加するだけで、たんぱく質量としてはほぼ同じ水準を保てる、ということなんですね。

それ以外にも、卵にはさまざまな栄養素が含まれています。

栄養素 主な働き
たんぱく質 体をつくる基本的な栄養素
ビタミンB2 皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあるとされています
鉄 赤血球のヘモグロビンをつくり、全身に酸素を届ける働きに関わるとされています
脂溶性ビタミン(A・D・E・K) 卵黄に多く含まれているとされています
コリン 脳の働きに関わる成分として注目されているとされています
ビオチン 皮膚や粘膜の維持に深く関わるビタミンで、卵は主な供給源のひとつとされています

湿疹・アトピーの症状が治りにくい|ビオチン不足のサインかも

卵に含まれる栄養素の中でも、特に注目したいのが「ビオチン」です。

ビオチンが不足すると、アトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状が現れることがあるとされています。ビオチンには、かゆみや炎症の原因となるヒスタミンの産生を抑える働きがあるとされていて、アトピー性皮膚炎の患者では血液中のビオチン濃度が低い傾向があるという報告や、ビオチンの摂取によって症状の改善がみられる場合があるとも言われています。

つまり、卵を除去していると、アトピーの症状に関わるかもしれない栄養素まで不足しやすくなる可能性がある、ということなんですね。

ビオチンは、卵以外にもレバー、魚介類、乳製品、大豆・ピーナッツなどの豆類、ほうれん草などの野菜類にも含まれているとされています。卵を避けている場合は、こうした食材を意識して取り入れるのがおすすめです。

傷の治りが遅い、疲れやすい|たんぱく質不足のサインかも

成長期の子どもは、筋肉や内臓、骨などの体のパーツがぐんぐん発達していく大事な時期です。この時期にたんぱく質が不足すると、体づくりに必要な材料が足りなくなり、すこやかな成長の妨げになることがあるとされています。

実は、体格・体重あたりで比べると、成長期の子どもは大人よりも多くのたんぱく質を必要としているとされています。卵はたんぱく質源として優秀な食品なので、除去している分、他の食品でしっかり補うことが大切です。

たんぱく質が不足すると、疲れやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることも考えられるとされています。「なんとなく元気がない」「小さな傷がなかなか治らない」といった様子が続くときは、たんぱく質が足りているかどうかも振り返ってみるといいかもしれません。

「氷を食べたがる」は鉄不足のサインかも

栄養不足は、健康診断でも見つかりにくく、意外と気づかれにくいものです。特に、卵不足で気をつけたいのが「鉄」です。先ほど紹介した相模原病院の調査でも、食物アレルギー児の鉄摂取量は推奨量より低い傾向にあったと報告されています。

鉄が不足すると、氷が無性に食べたくなる「氷食症」という症状が出ることがあります。夏でなくても氷をガリガリとかじりたがる、氷を欲しがって仕方がない、というのは「冷たいものが好き」なだけではなく、体が発する鉄不足のサインかもしれません。

小児科医によると、この時期の子どもは、貧血があっても普通に泣き、食べ、元気いっぱいに見えることも少なくないとされています。「元気そうだから大丈夫」と思っていても、実は鉄が足りていない、というケースがあるということですね。

他にも、次のようなサインがあると言われています。

サイン 補足
氷を無性に食べたがる(氷食症) 冷たいものが好きなだけでなく、鉄不足のサインである可能性があります
爪がもろくなる、割れやすくなる 進行すると爪の中央がスプーン状にへこむこともあるとされています
抜け毛が増える 髪の成長には多くの鉄が必要なため、不足すると抜け毛が増えることがあるとされています
なんとなく元気がない、疲れやすそうに見える 一般的な栄養不足の傾向として見られることがあります

「うちの子、最近やたら氷を欲しがるな」と感じたら、栄養面を振り返ってみるきっかけになるかもしれません。ただし、これらのサインが見られたからといって、必ずしも栄養不足とは限りません。気になる場合は、自己判断せず、かかりつけ医や管理栄養士に相談してみてください。

代わりに摂りたい食材

卵を代替するには、肉や魚、大豆・大豆製品などを用いるとよいとされています。

栄養素 代わりに摂りたい食材
たんぱく質 肉、魚、大豆製品(豆腐・納豆など)
ビタミンB2 レバー、うなぎ、納豆、乳製品(乳アレルギーがなければ)
鉄 赤身肉、レバー、あさり、小松菜、ひじき
脂溶性ビタミン 緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ)、レバー、青魚
ビオチン レバー、魚介類、乳製品、大豆・ピーナッツなどの豆類、ほうれん草などの野菜類

鶏卵不使用の魚・肉加工品(ちくわやウインナーなど)、マヨネーズ風の調味料も市販されているので、こうした加工食品を活用すると献立の幅を広げやすいとされています。

簡単に取り入れられるレシピ例

レシピ 摂れる栄養素 作り方のポイント
豆腐と納豆のそぼろ丼 たんぱく質・鉄 豆腐と鶏ひき肉を炒め、納豆を混ぜてご飯にのせる
小松菜としらすの炒め物 鉄・カルシウム・たんぱく質 小松菜のビタミン・鉄と、しらすのカルシウム・たんぱく質を一緒に
豚レバーの甘辛煮 鉄・ビタミンB2・ビオチン 小さく切ったレバーを甘辛く煮ると食べやすい(苦手ならひき肉に少量混ぜ込む方法も)

サプリメントは補助として

食事だけで栄養バランスを整えるのが難しいと感じるときは、サプリメントを補助的に取り入れるという選択肢もあります。鉄分であれば、子ども向けのチュアブルタイプや、離乳食に混ぜられる粉末タイプなど、続けやすい形状の商品も市販されています。

「カインデスト」の鶏レバーパウダーのように、下処理の手間がかかるレバーを粉末化し、離乳食や料理に混ぜて使えるタイプの商品もあります。レバーには鉄・ビタミンB2・ビオチンがまとめて含まれているので、卵除去で気になる栄養素をまとめて補える点で相性が良さそうです。ただしビタミンAが豊富に含まれているため、パッケージに記載の使用量を守り、過剰摂取には注意が必要とされています。

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一方、ビオチンについては少し注意が必要です。市販されているビオチンサプリの多くは、髪や爪の美容ケアを目的とした大人向けの高用量商品が中心で、お子さんにそのまま与えるには量が多すぎる可能性があります。ビオチン不足が気になる場合は、市販のサプリを自己判断で選ぶより、まず医師に相談することをおすすめします。

サプリメントはあくまで食事の補助であり、置き換えるものではありません。原材料に卵由来の成分(卵殻カルシウム、リゾチーム等)が使われていないか、必ずパッケージの表示を確認してください。使用を検討する場合は、事前に医師や管理栄養士に相談してから取り入れることをおすすめします。

除去しすぎないことも大切です

必要以上に除去したり制限しすぎたりすることは、お子さんの成長を妨げることにもつながってしまうとされています。医師の診断のもと、食べてもいい食材と除去する食材を確認し、日々の食卓にさまざまな食材を取り入れることが大切です。

まとめ

卵はたんぱく質やビタミンB2、鉄、脂溶性ビタミンなど、多くの栄養素を含む食品です。除去していても、肉・魚・大豆製品・緑黄色野菜などを組み合わせることで、十分に補うことができます。栄養面が気になる場合は、自己判断せず、かかりつけ医や管理栄養士に相談しながら進めてください。

なお本記事は一般的な情報提供を目的としており、症状の診断や治療方針については、必ず医師にご相談ください。

この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。

参考にした情報源

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※本記事は、公開されている情報をもとに、できるだけわかりやすくまとめたものです。個別の状況によって適切な対応は異なりますので、ご不安な点がある場合は自己判断せず、専門機関・専門家にご確認ください。詳しくは免責事項をご覧ください。 緊急性の高い症状が見られる場合は、自己判断せず、直ちに救急要請または医療機関を受診してください。

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