「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
海でクラゲに刺されると、痛いし、赤く腫れる。
これは誰でも知っている話ですよね。
でも、ここでちょっと気になることがあります。
「クラゲに刺されたときの反応って、アレルギーなの?」
さらに調べてみると、もっと驚く話が出てきました。
クラゲは刺されるだけではなく、食べたことによってアナフィラキシーを起こした症例も報告されているんです。
しかも、過去にクラゲに刺されたことがある人だけではありません。
刺された経験がない子どもが、食用クラゲを食べてアナフィラキシーを起こした日本の症例もあります。
いったい、クラゲに対して体の中で何が起きているのでしょうか。
クラゲに刺されると、なぜ赤く腫れる?
まず知っておきたいのが、クラゲに刺されたときの仕組みです。
クラゲの触手には**刺胞(しほう)**と呼ばれる小さな器官があり、触れるなどの刺激によって毒を含む物質を送り込みます。
そのため、刺された直後に痛みや赤み、腫れなどが出ることがあります。
この反応を全部「アレルギー」と考えるのは正確ではありません。
クラゲの毒そのものによる毒性作用や局所的な炎症反応でも、強い症状が起こるからです。
| クラゲに刺された後の反応 | 考えられる仕組み |
|---|---|
| 刺された直後の痛み | 毒による作用など |
| 赤み・腫れ | 毒や炎症による反応 |
| 水疱などの皮膚症状 | 刺傷による局所反応 |
| 遅れて繰り返す皮膚炎 | アレルギー性過敏反応が関係することがある |
| 全身の蕁麻疹や呼吸症状など | まれに重いアレルギー反応が起こることがある |
つまり、
クラゲに刺された=必ずアレルギー
ではありません。
ところが、ここから話が少し変わってきます。
実際に「クラゲのアレルギー反応」は報告されている
クラゲに刺されたあと、しばらくしてから皮膚症状が再び出てくるケースがあります。
9歳の女児では、クラゲに刺されたあと、1年以上にわたって刺された場所などに皮膚炎が繰り返した症例が報告されています。
研究者は、こうした遅れて繰り返す皮膚症状について、Ⅳ型アレルギー反応が関係する可能性を示しています。
日本でも、7歳の男児がクラゲに刺された数か月後に、刺された部位などに皮膚症状が続いた症例が報告されています。こちらも臨床経過などから、クラゲ刺傷による遅発性のアレルギー性皮膚炎と考えられました。
「刺された直後に腫れた」だけではなく、時間が経ってからアレルギー反応のような皮膚症状が続くこともあるわけです。
クラゲに刺されたときの反応は、全部がアレルギーというわけではありません。
ただし、クラゲの成分に対する免疫反応が関係するケースも、実際に報告されています。
クラゲの毒にも「アレルゲン」がある?
さらに研究を掘ると、かなり興味深いところまで出てきます。
クラゲの種類によっては、毒に含まれるタンパク質そのものがIgEと結合するアレルゲンとして確認された研究があります。
ハブクラゲの仲間である Chironex yamaguchii を調べた研究では、刺胞に含まれる主要な毒性タンパク質の一つが、IgEと結合するアレルゲンとして確認されました。
研究者は、このタンパク質が、クラゲ刺傷後に起こる即時型のアレルギー・毒性反応や、持続するアレルギー反応の一部を説明できる可能性を示しています。
つまり、クラゲの「毒」と「アレルギー」は完全に別々の話とも言い切れないんです。
クラゲの毒による作用があり、その中に免疫反応を引き起こす可能性のあるタンパク質も存在する。
このあたりが、クラゲの反応をややこしくしています。
そして、クラゲは「食べても」アレルギーが出る
ここからが、今回一番驚くところです。
クラゲは日本やアジアの一部で食用にされています。
ところが、クラゲを食べたことでアナフィラキシーを起こした症例が報告されています。
2013年に報告された日本人女性の症例では、塩蔵クラゲを食べた約30分後に蕁麻疹と口の刺激感が出ました。
その後、喘息様の発作、血圧低下、吐き気、嘔吐、腹痛などが起こり、アナフィラキシーと考えられました。
この女性はサーファーで、過去にクラゲに何度も刺された経験がありました。
検査でもクラゲに対する反応が確認され、研究者は、過去のクラゲ刺傷によって感作され、その後クラゲを食べたことで全身的なアナフィラキシーが起きた可能性を考えています。
これだけでもかなり珍しい話ですが、さらに興味深い症例があります。
「刺されたことがないのに」クラゲを食べてアナフィラキシー?
2017年、日本で14歳の男児が食用クラゲを食べてアナフィラキシーを起こした症例が報告されています。
この男児には、クラゲに刺された経験がありませんでした。
市販の茹でクラゲを食べたところ、数分後に吐き気、喘鳴、皮膚の赤みなどが出ました。
後日、医療機関で同じクラゲを使った経口負荷試験を行ったところ、再び赤み、喘鳴、吐き気、腹痛などが現れています。
つまり、単なる偶然ではなく、そのクラゲを食べることで反応が起きることが確認された症例です。
しかも、クラゲ刺傷に含まれる成分として知られているポリγグルタミン酸(PGA)の検査は陰性でした。
このことから研究者は、刺傷とは別の経路で、別のクラゲ成分に感作された可能性を考えています。
さらに、クラゲの種類によってアレルゲン性が違う可能性も示されました。
2021年にも「刺されたことがない女の子」の症例
この話は一例だけではありません。
2021年には、クラゲに刺された経験がない14歳女児が、食用クラゲを食べてアナフィラキシーを起こした症例が報告されています。
食事記録を調べると、2回のアナフィラキシーの際に食用クラゲが共通していました。
さらに複数種類の食用クラゲを使った皮膚テストや血液検査などが行われ、クラゲのコラーゲンなどに対するIgE反応が確認されています。
そして経口負荷試験でもクラゲを食べた後にアナフィラキシーが起こりました。
この症例からは、
「クラゲに刺された経験がないから、クラゲを食べてもアレルギーにならない」
とは言えないことが分かります。
クラゲの何を食べてアレルギーになるの?
では、いったいクラゲの何に反応しているのでしょうか。
ここは、まだ完全には分かっていません。
研究では、クラゲのコラーゲンがアレルゲン候補として挙げられています。
2021年の14歳女児の症例では、精製したクラゲコラーゲンに対するIgE反応が確認され、約40kDaと70kDa付近のタンパク質に反応することも示されました。
一方、別の成人症例では、クラゲの酸可溶性コラーゲン画分に含まれる250kDa以上のタンパク質がアレルゲン候補として報告されています。
ただし、これだけで「クラゲアレルギーの原因はコラーゲン」と確定したわけではありません。
症例によって反応するタンパク質が異なる可能性もあります。
| 研究で注目されているもの | 分かっていること |
|---|---|
| クラゲ毒由来タンパク質 | 刺傷後のアレルギー反応に関係する可能性 |
| コラーゲン | 食用クラゲによるアナフィラキシーでIgE反応が確認された例がある |
| その他のタンパク質 | 症例によって異なる反応が報告されている |
| クラゲの種類 | 種類によってアレルゲン性が異なる可能性 |
まだ「これがクラゲアレルギーの原因」と一つに決められる段階ではないようです。
「刺される→食べる」でアレルギーが起こることもある?
ここまで見ると、一つの可能性が見えてきます。
クラゲに何度も刺された人が、後になってクラゲを食べたときにアナフィラキシーを起こした症例があります。
そのため、
クラゲに刺される
↓
クラゲの成分に感作される
↓
その後クラゲを食べる
↓
食物アレルギー反応が起こる
という経路が考えられています。
実際、2013年の日本人女性の症例では、この可能性が研究者によって示されました。
ただし、これがすべてのクラゲ食物アレルギーに当てはまるわけではありません。
刺傷歴がない子どもでも、食用クラゲによるアナフィラキシーが確認されているからです。
「クラゲに刺されたことがある人だけが、食べたときにアレルギーを起こす」というわけではありません。
刺傷とは別の経路で感作される可能性も考えられています。
クラゲの種類が違えば、アレルギーも違う?
ここも意外なポイントです。
クラゲにはさまざまな種類があります。
そして研究では、食用クラゲの種類によってアレルゲン性が異なる可能性が示されています。
2017年の日本の小児例では、複数種類の食用クラゲを使って皮膚テストを行ったところ、反応する種類と反応しない種類がありました。
つまり、
「クラゲがダメ」
と一括りにできない可能性があります。
もちろん、実際にアレルギーが疑われる人が自己判断で別の種類を食べて試すのは危険です。
食物アレルギーの確認には、医療機関で適切な検査や評価が必要になります。
クラゲに刺されたら、アレルギーになりやすくなる?
ここまで調べると気になるのが、この疑問です。
現時点の症例報告からは、クラゲ刺傷がその後の食物アレルギーの感作経路になった可能性は考えられます。
ただし、「一度クラゲに刺されたら、将来クラゲを食べられなくなる」という話ではありません。
クラゲ刺傷後に食物アレルギーを起こした症例はありますが、報告されているのはあくまで限られた症例です。
また、刺傷そのものも、毎回アレルギー反応を起こすわけではありません。
通常の刺傷による毒性反応と、免疫が関係するアレルギー反応を分けて考える必要があります。
クラゲアレルギーって、実際には珍しい?
クラゲを食べてアナフィラキシーを起こす症例は報告されていますが、一般的な食物アレルギーと比べれば非常にまれなものです。
そのため、クラゲを食べたことがある人や、海でクラゲに刺された経験がある人が、すぐに「クラゲアレルギーかもしれない」と考える必要はありません。
ただ、実際に食べた後に蕁麻疹、呼吸困難、喘鳴、血圧低下、嘔吐などの症状が出た場合は話が別です。
食物アレルギーによるアナフィラキシーの可能性もあるため、重い症状がある場合は緊急対応が必要です。
クラゲに刺されてアレルギー反応?さらに食べたときも出るらしい
最初の疑問に戻ってみましょう。
クラゲに刺されたときに起こる赤みや痛みのすべてが、アレルギーというわけではありません。
クラゲの毒による作用が大きく関係しています。
一方で、刺傷後に遅れて繰り返すアレルギー性皮膚炎や、クラゲ毒の成分に対するIgE反応なども報告されています。
さらに驚くのが、クラゲを食べることでアナフィラキシーを起こす人が実際にいることです。
しかも、過去にクラゲに何度も刺された人だけでなく、刺された経験がない子どもでも食用クラゲによるアナフィラキシーが確認されています。
クラゲの何がアレルゲンになるのか、なぜ人によって反応する種類が違うのかなど、まだ分かっていないこともあります。
海で見かけるクラゲ。
「刺されたら痛い生き物」というイメージが強いですが、調べてみると、刺されることと食べることの両方から、アレルギーという意外な一面が見えてきます。
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