「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「薬膳って体に良さそう」
そんなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
薬膳には、しょうが、しそ、なつめ、ねぎ、山芋など、普段の料理でも使われる食材が登場します。
昔から体調に合わせて食材を選ぶ考え方があり、「アレルギーにも何か良いものがあるのでは?」と気になる人がいても不思議ではありません。
実際に調べてみると、薬膳そのものを使った研究はそれほど多くないものの、薬膳と近い考え方で使われる漢方や薬草については、アレルギー症状の改善を調べた研究がいくつもあります。
では、本当にアレルギーが改善したのでしょうか?
そもそも薬膳って何?
まず、「薬膳」という言葉から整理してみます。
薬膳は、中国の伝統的な考え方をもとに、体調や季節などに合わせて食材を組み合わせる食事の考え方です。
普通の料理とまったく別物というより、身近な食材を使って食事を組み立てることもあります。
一方、今回の研究でよく登場するのは「漢方薬」や「中国伝統医学の薬草」です。
ここは同じものとして考えないほうがよさそうです。
| もの | 大まかな特徴 |
|---|---|
| 薬膳 | 食材を組み合わせた食事 |
| 漢方・中薬 | 薬として用いられる生薬や処方 |
| ハーブ・薬用植物 | 植物由来の成分を利用するもの |
| 普通の食事 | 栄養をとることが主な目的 |
今回見つかった「アレルギーが改善した」という研究の多くは、薬膳料理そのものではなく、漢方や薬草を使ったものでした。
ここを分けておかないと、「薬膳料理を食べればアレルギーが治る」という話に変わってしまいます。
アレルギー性鼻炎では改善した研究がある
薬膳との関係を考えるうえで、まず面白いのがアレルギー性鼻炎です。
中国伝統医学の薬草を使った研究では、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状を調べたものがあります。
過去のランダム化比較試験をまとめた研究では、中国の漢方薬を使ったグループで、生活の質が改善したという結果が報告されています。
さらに、その後の研究をまとめたレビューでも、漢方薬によって鼻症状や生活の質が改善する可能性が示されています。
ただし、すべての症状で明確な効果が確認されたわけではありません。
研究によって結果が違うこともあり、まだ「これを使えばアレルギー性鼻炎が改善する」と決められる段階ではありません。
「改善した研究がある」と「効果が確立している」は同じではありません。
この違いは、薬膳を考えるときにも大切です。
子どものアレルギー性鼻炎でも研究されている
さらに気になるのが、子どもです。
中国の漢方薬について、子どものアレルギー性鼻炎を対象にした複数の研究をまとめたメタ解析もあります。
ここでも症状改善を示す結果が報告されています。
ただ、こうした研究で使われているものは、スーパーで買った食材を使った「薬膳料理」とは違います。
複数の生薬を組み合わせた医療目的の処方です。
だから、
「薬膳に使われる食材にも同じ効果がある」
と、そのまま置き換えることはできません。
ここは少し残念に感じるところですが、研究をそのまま見るなら避けて通れません。
アトピー性皮膚炎ではどうなの?
アトピー性皮膚炎についても、中国伝統医学を使った研究があります。
24件、1,618人を対象にしたランダム化比較試験のメタ解析では、中国伝統医学や関連する治療について検討されています。
ところが、この研究では、臨床的な有効性や皮膚症状の評価について、対照群との間に統計的な差が確認されませんでした。
つまり、
「アレルギーに良さそうだから、アトピーにも効くはず」
とは簡単には言えません。
アレルギー性鼻炎では改善を示す研究がある一方、アトピー性皮膚炎では明確な効果が確認されなかった研究もある。
病気によって結果が違っているのです。
食物アレルギーを改善する研究もある?
ここは、アレルギーっ子の家庭なら特に気になるところです。
実は、食物アレルギーを対象にした漢方研究もあります。
「Food Allergy Herbal Formula-2」という9種類の生薬を組み合わせた製剤が研究され、食物アレルギーのある人を対象にした比較試験も行われています。
ところが、6か月間使用した試験では、食物アレルゲンに対する耐性を改善する効果は確認されませんでした。
研究室で免疫に関係する変化は見られたものの、「食物アレルギーが食べられるようになった」というところまでは確認できなかったのです。
| 研究対象 | 研究で見られたこと |
|---|---|
| アレルギー性鼻炎 | 症状や生活の質の改善を示す研究あり |
| 子どものアレルギー性鼻炎 | 改善を示すメタ解析あり |
| アトピー性皮膚炎 | 効果が確認されなかったメタ解析あり |
| 食物アレルギー | 耐性改善を示せなかった比較試験あり |
こうして並べてみると、かなり複雑です。
「漢方・薬草だからアレルギーに効く」という一つの答えにはなりません。
じゃあ、薬膳に使われる食材はどうなの?
ここが今回、一番気になるところかもしれません。
しょうが、しそ、ねぎなど、薬膳で使われる食材には、抗炎症作用や抗酸化作用などが研究されているものがあります。
でも、試験管や動物で炎症に関係する作用が確認されたことと、人が食事として食べてアレルギー症状が改善することは別の話です。
例えば、ある植物に炎症を抑える成分が含まれていたとしても、料理として食べた量で同じ作用が起こるとは限りません。
体に吸収される量や代謝も違います。
だから、「この食材には抗炎症成分がある」という情報だけで、「アレルギーにも効く」と判断するのは少し早いのです。
「薬膳を食べてアレルギーが良くなった」は嘘なの?
ここまで読むと、
「じゃあ、薬膳で良くなったという話は全部ウソなの?」
と思うかもしれません。
そこまで単純ではありません。
実際に漢方や薬草を使った臨床研究で、アレルギー性鼻炎の症状が改善した例はあります。
一方で、研究によって結果が異なったり、薬膳料理そのものを対象にした研究が少なかったりします。
さらに、アレルギー性鼻炎なら鼻炎の症状、アトピーなら皮膚症状というように、何を「改善」とするかによっても結果は変わります。
「薬膳を始めたら症状が良くなった」という個人の経験は、その人にとっては本当でも、それだけで薬膳の効果だと証明することはできません。
季節が変わった、生活環境が変わった、薬を使った、自然に症状が変化したなど、いろいろな可能性があるからです。
アレルギーっ子が薬膳を取り入れるなら?
薬膳というと「薬みたいな食事」というイメージを持つかもしれません。
でも、基本的には食事です。
そのため、普通の食材を使ってバランスの良い食事を楽しむという範囲なら、薬膳を食生活に取り入れること自体は特別なことではありません。
ただし、アレルギーがある子どもでは注意が必要です。
「体に良い」と言われる食材でも、その子にとって安全とは限りません。
また、複数の生薬を使った製品やサプリメントなどは、食事とは別に考えたほうがいいでしょう。
「自然のものだから安全」とは限りません。植物由来の成分でも、アレルギー反応や副作用が起こることがあります。
特に食物アレルギーがある子どもが、自己判断で食べられる食品を大きく制限したり、漢方・サプリメントに置き換えたりするのは避けたいところです。
薬膳でアレルギーが改善した例はある?結局どうなの?
調べてみると、答えは少し意外でした。
アレルギー性鼻炎については、漢方や薬草を使った研究で症状が改善した例があります。
一方で、アトピー性皮膚炎では明確な効果が確認されなかった研究もあり、食物アレルギーについても、食べられる量を増やすような効果は確認されていません。
そして何より、これらの研究の多くは「薬膳料理」そのものを調べたものではありません。
だから現時点では、
「薬膳でアレルギーが改善する」とまでは言えない。
でも、
「薬膳や伝統的な薬草に、アレルギー症状との関係を研究されているものがある」
というところまでは、実際の研究から見えてきます。
「薬膳は効く」「薬膳は意味がない」と最初から決めつけるより、どんな病気に、どんなものを使って、どんな結果が出たのかを見ていくほうが、本当のところに近づけそうです。
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