「あれ、今日はアレルゲンになるもの、何も食べさせてないはずなのに……」
夕方になって、お子さんの口の周りが赤くなっていたり、体を痒がっていたりして、そんな戸惑いを感じたことはありませんか。献立を振り返っても、原因になりそうな食材には心当たりがない。でも、症状は確かに出ている。
「もしかして、朝使った食器の洗い残し……?」
そう気づいたことがある方もいるかもしれません。実は、見た目がきれいに洗えていても、食器にごく微量のタンパク質が残ってしまうことがあるんです。ここでは、なぜ洗い残しが起きるのか、おうちでできる工夫を整理していきます。
なぜ「洗ったつもり」でも残ってしまうの?
タンパク質は熱を加えると変性し、性質が変わってしまう特徴があります。60℃以上の熱いお湯で洗うと、食器の傷や溝、つなぎ目部分にタンパク質が固まって張り付いてしまうことがあるとされています。
「アツアツのお湯でしっかり洗えば安心」と思われがちですが、実はこれが逆効果になることがある、というのは意外なポイントですよね。タンパク質の洗浄には、40℃〜50℃くらいのぬるめのお湯が適しているとされています。
また、中性洗剤よりも、アルカリ性の洗剤の方がタンパク質を溶かしやすいとされています。普段何気なく使っている中性洗剤だけでは、油汚れは落ちても、卵や乳のタンパク質が残ってしまうことがあるということですね。
「浸け置き時間」が意外と重要
保育施設の給食対応における調査では、洗浄前に食器をしばらく浸け置きすることで、タンパク質が水に溶け出しやすくなり、洗い残しを減らせる可能性が示されています。逆に、浸け置きせずさっと洗っただけの食器では、アレルゲンの残留が見られたケースもあったとされています。
つまり、「洗う時間の長さ」よりも「浸け置いてから洗う」という一手間の方が、洗い残しを防ぐうえで効果的かもしれない、ということです。
食洗機は使わない方がいいの?
「食洗機だと不安」と感じる方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。食器を洗浄機に入れる前に、スポンジでの予備洗浄をしっかり行うことで、洗浄機内でのアレルゲン残留の可能性を下げられるとされています。
大事なのは「食洗機か手洗いか」よりも、洗浄機に入れる前の下洗いをきちんとするかどうかという点のようです。
また、食器や食洗機を長期間使い続けると、細かい傷が増えて洗浄効果が下がる傾向も見られるとされています。食器に目立つ傷が増えてきたら、買い替えを検討するのもひとつの方法です。
洗うスポンジも分けるのがおすすめ
見落とされがちですが、実は「洗浄に使うスポンジそのもの」も対策のポイントになります。アレルギーのある方の食器を洗うときは、洗剤液にひとまとめにして十分に浸漬したうえで、洗浄に使うスポンジもアレルギー専用にして、定期的に交換するのがおすすめとされています。
実際に、保育施設での洗浄実験でも、専用の食器と共用の食器は別々に洗浄するのが望ましいという結論が出ています。普段使っているスポンジで他の家族の食器も一緒に洗っていると、そのスポンジ自体にアレルゲンが残ってしまい、次に洗う食器に移ってしまう可能性があるということですね。
アレルギーのあるお子さんの食器用に、スポンジをもう1つ用意しておく、というシンプルな工夫だけでも、コンタミネーション(意図しない混入)のリスクを下げることにつながります。
食器だけでなく、ランチョンマットやコップ拭き用のふきんなど、食器と一緒に洗ったり使ったりするものにも同じ考え方を広げておくと、より安心です。実際に、食器は専用にしていたのに、家族と共用していたランチョンマットを介してアレルゲンが移ってしまった、という事例も報告されています。
おうちでできる工夫まとめ
- 熱いお湯(60℃以上)ではなく、ぬるめのお湯(40〜50℃程度)で洗う
- 洗う前に、少し浸け置きする時間を作る
- 中性洗剤に加えて、気になる場合はアルカリ性の洗剤も選択肢に入れる
- 食洗機を使う場合も、入れる前にスポンジでさっと予備洗浄する
- 洗浄用のスポンジは、アレルギーのある子専用のものを用意し、定期的に交換する
- 食器の傷が目立ってきたら、買い替えのタイミングとして検討する
- 心配な食器は、アレルギーのある子専用にしておく(他の食器と分けて、最後に別で洗う)
- ランチョンマットやふきんなど、食器と一緒に使う布製品にも同じ考え方を広げる
神経質になりすぎなくても大丈夫
ここまで洗い方の工夫を紹介してきましたが、毎回完璧に洗えているか不安になりすぎる必要はありません。基本的な工夫を押さえておくだけでも、洗い残しのリスクはぐっと下げられます。心配な場合は、アレルギーのある子専用の食器を1〜2枚用意しておくと、気持ちの面でも安心しやすいと思います。
まとめ
食器の洗い残しは、熱いお湯で洗うこと、浸け置きせずにさっと洗うことなどが原因になりやすいとされています。ぬるめのお湯での浸け置き、予備洗浄といった一手間を加えることで、見た目だけでなく実際の洗浄効果も高めることができそうです。
なお本記事は一般的な情報提供を目的としており、症状の診断や治療方針については、必ず医師にご相談ください。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報源
- クミタス「タンパク質が残留する食器の洗浄において」
- 尚絅学院大学紀要「保育所給食における効果的なアレルゲン洗浄の検討」
- Table for All 食物アレルギーケア(ニッポンハム)「調理や食事について」
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