「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
ホメオパシーについて調べていると、「海外では普通に使われている」という話を見かけることがあります。
たしかに、ホメオパシーは日本だけの特殊なものではありません。世界各地で利用されていて、国によっては専門の教育機関や医療施設まであります。
でも、「海外で使われている」と聞くと、なんとなく「海外では医学的にも認められているのかな?」と思ってしまいますよね。
実際にいくつかの国を見てみると、ここは意外と複雑です。
国によって、ホメオパシーの扱いがかなり違います。
世界ではどのくらい使われている?
ホメオパシーの利用状況を調べた研究では、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、スイス、ドイツ、韓国、日本など11か国のデータが調べられています。
ホメオパスから治療を受けた成人の年間利用率は、研究によって0.2~8.2%と幅があり、中央値は1.5%でした。
市販のホメオパシー製品を購入する人まで含めると、年間利用率の中央値は3.9%です。
つまり、世界中で当たり前に使われているわけではありません。
一方で、インドやヨーロッパの一部などでは、長い歴史の中で社会に定着している地域もあります。
ここまで分かったこと
ホメオパシーは世界各地で利用されていますが、利用率は国によって大きく違います。
「世界で広く使われている」というより、特定の国ではかなり根付いていると考えたほうが実態に近そうです。
インドではかなり大きな存在
世界の中でも、特に特徴的なのがインドです。
インドではホメオパシーが、**AYUSH(アーユシュ)**と呼ばれる伝統・補完医療の公的な枠組みの中に位置づけられています。
AYUSHにはホメオパシーだけでなく、アーユルヴェーダ、ヨーガ、ユナニ医学、シッダ医学なども含まれています。
そしてインドには、ホメオパシーを専門的に学ぶための教育機関があります。
その代表の一つが、コルカタにある**国立ホメオパシー研究所(National Institute of Homoeopathy)**です。
名前だけを見ると研究だけをする施設のようですが、実際にはホメオパシーを学ぶ学生の教育を行い、病院も運営しています。
つまりインドでは、
「ホメオパシーを学ぶ場所」→「専門的な教育」→「実際の診療」
という仕組みが作られているわけです。
インド政府の資料でも、ホメオパシーを専門とする教育機関や診療施設が多数確認されています。
インドのホメオパシー
・国のAYUSH制度に含まれている
・専門の教育機関がある
・国立の教育・医療機関もある
・実際に多くの患者が利用している日本でイメージする「一部の人が個人的に試している代替療法」とは、かなり違った環境です。
ただし、ここは切り分けて考える必要があります。
インドで国の制度に組み込まれていることは、ホメオパシーの有効性が科学的に証明されていることと同じではありません。
「制度として存在している」という話と、「医学的に効果が確認されている」という話は別だからです。
スイスでは保険の対象になることも
ヨーロッパに目を向けると、スイスも特徴的です。
スイスでは、ホメオパシーは補完医療の一つとして扱われています。
そして一定の条件を満たした医師が行うクラシカル・ホメオパシーは、現在も基本保険の給付対象になっています。
ここにはスイス独自の事情があります。
2009年には、補完医療を国の医療制度の中で考慮することについて国民投票が行われ、67%が賛成しました。
その後、補完医療を制度の中で扱う仕組みが整えられていきました。
スイスの場合
「ホメオパシーだから誰でも保険で受けられる」という制度ではありません。
一定の条件を満たした医師による補完医療として扱われています。
つまり、スイスではホメオパシーが一般的な医学とまったく同じ扱いを受けているわけではなく、補完医療として制度の中に位置づけられているということです。
ここも、インドとは少し違います。
インドは国がホメオパシーの教育・診療体系を大きく整備しているのに対して、スイスでは補完医療として保険制度の中に組み込まれています。
イギリスでは公的医療から距離を置く方向に
一方、イギリスはかなり違います。
イギリスにもホメオパシーの長い歴史があり、以前はNHS(国民保健サービス)の中でホメオパシーを提供する施設もありました。
しかし現在のNHS Englandは、ホメオパシーについて十分な有効性を示す根拠がないとして、通常の医療として積極的に利用することを推奨していません。
そのため、現在のイギリスでは、
「ホメオパシーを利用する人はいるけれど、公的医療としては積極的に扱わない」
という位置づけになっています。
フランスでは公的保険の対象から外れた
フランスも、以前はホメオパシーがかなり身近な国でした。
ホメオパシー製品は長い間、公的医療保険による払い戻しの対象になっていました。
ところが、フランスの医療技術評価機関HASが2019年にホメオパシー製品を評価。
その結果、十分な治療上の有効性を示す根拠がないとして、公的保険による払い戻しを維持しないよう勧告しました。
そして2021年から、公的医療保険による払い戻しがなくなっています。
ここは「昔から使われているから、そのまま」というわけではなく、科学的な評価によって制度上の扱いが変わった例として見ることができます。
国によって、こんなに違う
ここまで見てくると、かなり面白いですよね。
同じホメオパシーなのに、国によってこれだけ扱いが違います。
| 国 | 現在の主な位置づけ |
|---|---|
| 🇮🇳 インド | AYUSHの一つとして制度化。教育機関や病院もある |
| 🇨🇭 スイス | 補完医療として扱われ、条件を満たせば基本保険の対象 |
| 🇬🇧 イギリス | NHSでの通常利用は推奨されていない |
| 🇫🇷 フランス | 2021年から公的保険の払い戻し対象外 |
| 🇯🇵 日本 | 主流医療ではなく、補完・代替療法として利用されている |
同じホメオパシーでも……
🇮🇳 インド → 国の制度の中にある
🇨🇭 スイス → 補完医療として保険対象になる
🇬🇧 イギリス → 公的医療では推奨されない
🇫🇷 フランス → 公的保険の対象から外れた「海外では認められている」という一言だけでは、実態を説明しきれません。
なぜ国によって扱いが違うの?
では、なぜこんなに違うのでしょうか。
一つの理由だけで説明することはできません。
その国の医療制度、歴史、文化、補完医療に対する考え方、実際に利用している人の多さなど、いろいろなものが関係しています。
たとえばインドでは、ホメオパシーを含むAYUSHが長い時間をかけて制度として整備されてきました。
スイスでは、補完医療を制度の中で扱うことについて国民投票が行われています。
一方、フランスやイギリスでは、科学的な有効性などを評価した結果、公的医療での扱いを縮小する方向に進みました。
つまり、「ホメオパシーだから世界中で同じ扱い」というわけではないんですね。
国ごとの歴史や制度によって、現在の立ち位置が作られています。
「海外で使われている」=「効果がある」ではない
ここは、ホメオパシーについて調べるときに混同しやすいところです。
たとえば、
「インドで国立の施設がある」
「スイスでは保険が使える」
という事実があったとしても、それだけでホメオパシーの医学的な効果が証明されたことにはなりません。
逆に、イギリスやフランスで公的医療から距離を置かれているからといって、世界中で誰も使っていないわけでもありません。
利用されているかどうかと、医学的な有効性が確認されているかどうかは、別々に考える必要があります。
この2つを分けて見ると、「海外では認められている」という話も、少し冷静に見られるようになります。
それでも、なぜ使う人がいるんだろう?
ここまで調べると、逆に気になることがあります。
科学的な評価が厳しい国でも、ホメオパシーを利用する人はいます。
なぜでしょう?
ここには、単純な「医学を信じていない」という理由だけではなく、薬の副作用が心配、通常の治療で十分な効果を感じられなかった、できるだけ薬を使いたくない、自分に合う別の方法を探したいといった事情もあります。
実際、補完医療を利用する人を調べた研究では、通常の治療への不満や薬の副作用への不安が、代替療法を探す理由の一つになっています。
これは、前の記事で見てきた「なぜ医療関係者でもホメオパシーを支持する人がいるのか」という話ともつながってきます。
ホメオパシーそのものの効果とは別に、**「なぜ人がそこに向かうのか」**という部分にも、目を向ける必要がありそうです。
世界のホメオパシーを見て分かったこと
世界の状況を調べてみると、ホメオパシーは意外と単純な存在ではありませんでした。
インドでは大きな医療体系の一つとして制度化され、スイスでは補完医療として保険制度に入っています。
その一方で、イギリスやフランスでは、公的医療における扱いが縮小しています。
なので「海外ではホメオパシーが認められている」という話を見かけたら、**「どこの国で?」「どんな意味で認められているの?」**と見てみるのがよさそうです。
ホメオパシーが世界で使われ続けていることと、その効果について科学的にどこまで分かっているのか。
この二つは、分けて考えたほうが見えてくるものがあります。
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