「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「鍼灸で花粉症が楽になった」
「鼻づまりがかなりマシになった」
「薬を飲む回数が減った」
アレルギーについてネットで調べていると、鍼灸に関するこんな話が出てきます。
正直、最初に見たときは少し意外でした。
鍼灸といえば、肩こりや腰痛のイメージが強いからです。鼻水やくしゃみ、かゆみといったアレルギー症状に鍼が関係するとは、すぐには結びつきません。
でも、調べてみると「アレルギーに鍼灸」という話は、ネット上の一部だけで語られているものでもありませんでした。
まずは、そもそも鍼灸が何をするものなのかから見ていきます。
鍼灸ってなに?
鍼灸は、その名前のとおり「鍼」と「灸」を使う施術です。
鍼は細い針で体に刺激を与えるもの。灸は、もぐさなどを使って温熱刺激を与えるものとして知られています。
「ツボに鍼を打つ」というイメージを持っている人も多いと思います。
実際には、鍼灸と一言でいっても、施術方法は一つではありません。使う場所や刺激の方法などにも違いがあります。
そして現在、鍼については痛みだけでなく、さまざまな症状を対象に研究が行われています。季節性アレルギーも、その研究対象の一つとして挙げられています。
ここで気になるのは、やっぱり「なんで?」です。
肩や腰ならまだ分かります。
でも、鍼を打つことで、なぜ鼻水や鼻づまりにまで関係するのでしょうか。
どういう効果があるの?
ネットで鍼灸について調べると、よく出てくる言葉があります。
「自律神経を整える」
「血行を促す」
「リラックスにつながる」
「体質改善」
このあたりです。
ただ、全部を同じ意味で受け取ると少し分かりにくくなります。
| よく見かける言葉 | どういう話として使われている? |
|---|---|
| 自律神経を整える | 緊張や休息などに関わる体の働きへの影響 |
| 血行を促す | 刺激を受けた部分などで起こる血流の変化 |
| リラックス | 心身が緊張した状態から落ち着くこと |
| 体質改善 | かなり幅広く使われる言葉で、何を指すのかはサイトによって違う |
特に「自律神経」という言葉は、鍼灸と一緒によく出てきます。
自律神経には、活動しているときに働きやすい交感神経と、休息やリラックスに関わる副交感神経があります。
鍼による刺激と自律神経の反応については研究も行われています。ただし、「鍼を打てば副交感神経が上がって、すべての不調が良くなる」というほど単純な話ではありません。
それでも、ネット上で鍼灸とアレルギーが結びつけられる理由は、このあたりにありそうです。
ネットでよく見かける考え方
鍼灸で自律神経や体の状態に変化が起きる
↓
血流やリラックスなどにも関係する
↓
免疫やアレルギー反応にも何らかの影響があるのではないか
こうした考え方から、「鍼灸はアレルギーにも良いのでは?」という話につながっているようです。
では実際に、アレルギーに効果を感じたという人はいるのでしょうか。
ネットでは「効いた」という声もある
実際にネット上を見ていくと、鍼灸院などでは花粉症やアレルギー性鼻炎について、
- 鼻づまりが楽になった
- 鼻水が減った
- 花粉症の時期が以前より過ごしやすかった
- 薬に頼る場面が減った
といった体験談や症例紹介が見つかります。
つまり、「鍼灸とアレルギー」という話は、単に誰かが思いつきで言い始めたものではなく、実際に施術を受けて変化を感じた人の声がネット上にあることが分かります。
ただ、ここで一つ考えないといけません。
ネットで「効いた」という人がいることと、鍼灸にアレルギーを改善する効果があることは、同じなのでしょうか。
体験談だけでは、その答えまでは分かりません。
そこで、ネット上でよく見かける「研究でも効果が確認されている」という話を追ってみることにします。
その根拠は何なの?
調べていくと、鍼とアレルギーの研究は、特にアレルギー性鼻炎に集まっていました。
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどが原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起こるものです。
2022年には、アレルギー性鼻炎に対する鍼について、それまでの30件・4,413人分の研究をまとめた分析が発表されています。
この分析では、成人のアレルギー性鼻炎について、鍼によって鼻の症状や生活の質が改善する可能性が示されました。
米国のNCCIHも、複数のランダム化比較試験などから、鍼がアレルギー性鼻炎の一部の症状や生活の質を改善する可能性があると紹介しています。
ここで、ネット上の「効いた」という声と、研究の話が少しつながってきます。
単なる体験談だけではなく、アレルギー性鼻炎については、実際に研究も行われていたわけです。
ただし、ここで「やっぱり鍼灸はアレルギーに効く!」と結論を出すには、まだ早そうです。
研究を詳しく見ると、話はもう少し複雑でした。
研究を見てみると、少し話が変わってきた
研究で改善が調べられていたのは、主に鼻水や鼻づまりなどの鼻症状や、生活の質でした。
一方で、
アレルギーそのものが治った
ということまで示しているわけではありません。
さらに、2022年の研究では、含まれている研究の質や偏りについても問題が指摘されており、子どもや思春期についてはデータが十分ではなく、効果ははっきりしていないとされています。
ここまで来ると、「鍼灸でアレルギーが改善した」という言葉の意味を、そのまま受け取れなくなってきます。
「改善した」って、何が改善したの?
鼻づまりが楽になったのか。
花粉症の時期を過ごしやすくなったのか。
薬の使用量が変わったのか。
それとも、アレルゲンに対する反応そのものが変わったのか。
同じ「改善」という言葉でも、中身はかなり違います。
医学的にはどうなの?
ここまでネット上の情報を追ってみると、鍼灸について「ただの根拠のない話」と片付けるのも違いそうです。
特にアレルギー性鼻炎については、症状への影響を調べた研究があり、米国のNCCIHも鍼が症状の改善に役立つ可能性を紹介しています。
一方で、これを「鍼灸でアレルギーが治る」という意味にすることもできません。
今回見つかった研究の中心はアレルギー性鼻炎です。
食物アレルギーやアナフィラキシーなどまで含めて、「アレルギー全般に鍼灸が効く」と考えることはできません。
ここまで集めた情報を整理すると
ネットで見かける情報 現時点で確認できること 鍼灸で花粉症が楽になった そう感じた人の体験談はある 鍼灸はアレルギーに効く 特にアレルギー性鼻炎について研究がある 研究で効果が証明されている 症状改善を示す研究はあるが、研究上の限界も指摘されている 鍼灸でアレルギーが治る そこまで言える根拠とは別の話
ネット上の情報だけを見ると、「効いた」という声が目立ちます。
でも、そのまま研究まで追っていくと、一部のアレルギー症状について可能性が研究されていることと、アレルギーそのものを治療できることは別の話だと分かってきます。
まとめ
「鍼灸はアレルギーに効果あり?」という疑問から、ネット上の情報を集めてみました。
ネットには、花粉症やアレルギー性鼻炎が楽になったという声があります。
そして調べていくと、アレルギー性鼻炎については、鍼による鼻症状や生活の質への影響を調べた研究も見つかりました。
一方で、「アレルギーに効く」という言葉だけでは、何がどう変わったのかまでは分かりません。
今回いちばん印象に残ったのは、ネット上の体験談と研究結果が、完全に無関係なわけではなかったことです。
ただし、その先にある
「だから鍼灸でアレルギーが治る」
という話までは、飛び越えられませんでした。
鍼灸についての情報を見るときは、「効いた」「効かない」だけではなく、何のアレルギーについて、どんな症状が変わったのかまで見る必要がありそうです。
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