「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
暑い日。
運動をしたとき。
緊張して汗をかいたとき。
お風呂で体が温まったとき。
そんなときに、急に体がかゆくなる。
赤いポツポツが出る。
蕁麻疹のように皮膚が盛り上がる。
「汗をかいたからかな?」
そう思ったことがある人もいるかもしれません。
そして次に気になるのが、
「これって汗アレルギー?」
ということです。
でも、ここには一つ不思議な点があります。
汗は、自分の体から出ているものです。
そんな自分の汗に、アレルギー反応を起こすことなんて本当にあるのでしょうか。
今回、「汗アレルギーってあるの?」を調べてみました。
すると、単純に「汗そのものに反応する」という話では説明できない、少し意外なものが汗の中から見つかっていました。
汗をかいてかゆい。それだけで汗アレルギー?
まず最初に確認したいのが、
汗をかいてかゆくなった=汗アレルギーなのか
ということです。
これは、そう簡単には言えません。
汗をかいたあとに皮膚がかゆくなる原因には、汗や蒸れ、衣服との摩擦などによる皮膚への刺激があります。
いわゆる「汗かぶれ」と呼ばれる状態です。
汗をかいた。
皮膚が蒸れた。
衣服が擦れた。
その結果、皮膚に赤みやかゆみが出る。
この場合、必ずしも、
「汗の中の何かを、免疫が敵だと判断して反応している」
わけではありません。
つまり、
汗をかく
↓
かゆくなる
↓
汗アレルギー
とは限らないということです。
汗かぶれと汗アレルギーは、同じではない
汗をかいたあとに皮膚がかゆくなっても、汗や蒸れ、摩擦などの刺激で皮膚が荒れている場合があります。
一方で、汗の中に含まれる成分に対して、アレルギー反応が起きているケースも研究されています。
同じ「汗をかくとかゆい」でも、体の中で起きていることは一つではありません。
では、本当に汗アレルギーはあるの?
ここからが今回の本題です。
調べてみると、医学研究では「汗アレルギー」は、
汗の中に含まれるものに対するI型アレルギー反応
として研究されています。
特に、アトピー性皮膚炎やコリン性蕁麻疹の一部では、汗に対する反応が症状に関係していることが調べられてきました。
ここで、最初の疑問に戻ります。
では、汗の何に反応しているのでしょうか。
水でしょうか。
塩分でしょうか。
それとも、自分の体が作った別の成分でしょうか。
この疑問を追った研究で、汗の中から一つの重要なタンパク質が見つかりました。
汗の中から見つかった「MGL_1304」
そのタンパク質の名前は、
MGL_1304(エムジーエル1304)
です。
……名前だけ聞いても、
「それがどうしたの?」
ですよね。
今回重要なのは、この名前を覚えることではありません。
重要なのは、
このMGL_1304が、汗をかいたときの症状とどうつながるのか
です。
そこで、順番に追ってみます。
皮膚にいるマラセチアがMGL_1304を作る
まず、人の皮膚には、
マラセチア
という真菌が存在しています。
マラセチアは、特別な人だけにいるものではなく、人の皮膚に存在することがある常在真菌の一つです。
このマラセチアの一種であるマラセチア・グロボーサが、
MGL_1304というタンパク質を作ります。
そして研究では、このMGL_1304が処理された形で、
人の汗の中から見つかっています。
つまり、
皮膚にマラセチアがいる
↓
マラセチアがMGL_1304を産生する
↓
MGL_1304が汗の中に存在する
という流れです。
ここまで来て、ようやく次の疑問が出てきます。
汗の中にMGL_1304がある。それで、なぜかゆくなるのでしょうか。
MGL_1304に反応する人では、免疫が反応する
ここが、「汗アレルギー」の一番大事な部分です。
すべての人が、MGL_1304に反応するわけではありません。
しかし研究では、一部のアトピー性皮膚炎やコリン性蕁麻疹の患者では、
MGL_1304に反応するIgE抗体
が確認されています。
IgEという言葉は難しく聞こえますが、ここでは、
「その物質に反応する準備をしている免疫の仕組み」
くらいに考えてください。
その状態で、汗に含まれるMGL_1304が皮膚に関わると、
MGL_1304を認識する免疫反応が起こり、ヒスタミンの放出につながる
と考えられています。
ヒスタミンは、かゆみや蕁麻疹に深く関係する物質です。
つまり、流れをまとめると、
① 皮膚にマラセチアがいる
↓
② マラセチアがMGL_1304を作る
↓
③ MGL_1304が汗の中に存在する
↓
④ 汗をかく
↓
⑤ 汗に含まれるMGL_1304が皮膚に関わる
↓
⑥ MGL_1304に反応するIgEを持つ人では、免疫反応が起こる
↓
⑦ ヒスタミンの放出につながる
↓
⑧ かゆみや蕁麻疹などの症状が出る可能性がある
という流れになります。
ここが「汗アレルギー」の意外なところ
汗をかくと症状が出るため、「自分の汗そのものにアレルギーがある」と感じるかもしれません。
しかし研究を追ってみると、一部では、汗の中に含まれているマラセチア由来のMGL_1304というタンパク質が、アレルゲンとして関係していました。
汗をかいたことがきっかけでも、体が反応している相手は、汗そのものとは限らない。
これが、今回調べてみて分かった一番重要な点でした。
じゃあ、汗をかけばMGL_1304が増えるの?
ここは誤解しやすいところです。
「汗をかく → その瞬間にMGL_1304が増殖する」
ということではありません。
MGL_1304を作っているのは、皮膚にいるマラセチアです。
汗をかいた瞬間にMGL_1304そのものが増殖する、という仕組みが示されているわけではありません。
今回の研究から見えてくるのは、
マラセチアが作ったMGL_1304が汗の中に存在し、それが汗とともに皮膚に関わることで、反応する人ではアレルギー反応につながる可能性がある
ということです。
この違いは大切です。
汗が「アレルゲンを作る」のではありません。
汗の中に存在するアレルゲンが、汗をかくことで皮膚と関わる。
だから、
「汗をかくと症状が出る」
という現象につながると考えると、分かりやすいかもしれません。
では、汗をかいて蕁麻疹が出たら全部汗アレルギー?
ここまで読むと、
「汗をかいて蕁麻疹が出たら、汗アレルギーなんだ」
と思うかもしれません。
でも、ここも違います。
汗をかいたときや、体温が上がったときに小さな蕁麻疹が出るものに、コリン性蕁麻疹があります。
この中には、汗に対する過敏反応が関係しているタイプがあることが知られています。
一方で、
コリン性蕁麻疹のすべてが、MGL_1304へのアレルギーで説明できるわけではありません。
実際、コリン性蕁麻疹には複数のタイプが考えられており、汗に対する過敏性が関係するタイプは、その一部として研究されています。
つまり、
汗をかく
↓
かゆくなる・蕁麻疹が出る
という同じ現象があっても、
全員が同じものに反応しているわけではない
ということです。
汗かぶれかもしれない。
汗の中のアレルゲンへの反応かもしれない。
別の仕組みで起こる蕁麻疹かもしれない。
症状だけを見て、
「汗アレルギーだ」
と決めることはできません。
結局、汗アレルギーってあるの?
今回、「汗アレルギーってあるの?」という疑問を調べてみました。
結論からいうと、
汗の中に含まれる成分に対するアレルギー反応は、実際に研究されています。
そして、その研究の中では、
マラセチアが作るMGL_1304というタンパク質が、汗の中の重要なアレルゲンの一つとして見つかっています。
今回の記事を一つの流れにすると、
皮膚にマラセチアがいる
↓
マラセチアがMGL_1304を作る
↓
MGL_1304が汗の中に存在する
↓
汗をかく
↓
MGL_1304が皮膚に関わる
↓
反応する人では免疫反応が起こる
↓
かゆみや蕁麻疹につながる可能性がある
ということでした。
「汗アレルギー」という言葉だけ聞くと、
自分の汗そのものに体が反応している
ように思えます。
しかし調べてみると、少なくとも一部では、
汗の中に含まれている別のものが、体の反応に関係している
ことが分かっています。
これが、今回調べてみた「汗アレルギー」の本当のところです。
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