「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「運動するとアレルギーが出る」なんて聞いたら、ちょっと不思議ですよね。
食べ物や花粉なら分かるけど、運動は食べたり吸い込んだりするものではありません。それなのに、運動したあとにじんましんが出たり、ひどい場合には息苦しさや血圧低下まで起こることがあります。
実際に医学の世界では、運動をきっかけにアレルギー症状やアナフィラキシーが起こる病気が知られています。
ただ、調べてみると「運動アレルギー」という一つの病気があるわけではありませんでした。
いくつかのパターンがあるようです。
運動すると、じんましんが出ることがある
運動によって起こる代表的な症状のひとつが、じんましんです。
運動中や運動直後に、皮膚が赤くなったり、かゆくなったり、盛り上がったりすることがあります。症状が強くなると、唇やまぶたなどが腫れる血管性浮腫や、呼吸器・消化器の症状を伴うこともあります。さらに重症になると、アナフィラキシーに進むこともあります。
医学的には、こうした状態を**運動誘発アナフィラキシー(EIA)**などと呼びます。
ただし、ここで少しややこしいのが、運動したときに出るじんましんには別のタイプもあることです。
「運動するとじんましん」と「運動誘発アナフィラキシー」は同じじゃない
たとえば、運動して体温が上がると、小さなポツポツしたじんましんが出る人がいます。
これはコリン性じんましんと呼ばれるタイプかもしれません。
コリン性じんましんでは、運動だけでなく、入浴や緊張など、体温が上がる場面でも症状が出ることがあります。
一方、運動誘発アナフィラキシーでは、運動をきっかけに、じんましんだけでなく呼吸器症状や血圧低下など、全身的な症状につながることがあります。
研究では、コリン性じんましんは比較的小さなじんましんが出るのに対して、運動誘発アナフィラキシーでは大きな膨疹が出るなど、症状の現れ方にも違いがあるとされています。
つまり、「運動したらじんましんが出た」というだけでは、どのタイプなのかまでは分かりません。
もっと気になるのが「食べ物+運動」
運動によるアレルギー反応で、特に重要なのがこちらです。
**食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)**というものがあります。
これは、食べ物だけなら大丈夫なのに、その食べ物を食べたあとに運動するとアナフィラキシーが起こるというものです。
逆に、運動だけなら症状が出ないこともあります。
つまり、
食べ物だけ → 大丈夫
運動だけ → 大丈夫
食べ物+運動 → 症状が出る
という、一見するとかなり分かりにくいパターンがあります。
「運動したからアレルギーが出た」と思っていても、実はその前に食べたものが関係している可能性があるわけです。
どんな食べ物が関係するの?
FDEIAでは、さまざまな食品が原因になる可能性があります。
その中でも特に多く報告されているのが小麦です。
2022年に発表されたシステマティックレビューでは、722人の症例を検討したところ、小麦が最も多く報告された原因食品でした。運動ではランニングが最も多く、食事から運動までの時間は5分〜6時間、運動してから症状が出るまでの時間は5分〜5時間の範囲でした。
ただし、小麦だけではありません。
甲殻類など、ほかの食品でも起こることがあります。原因となる食品は、その人の食生活によっても変わります。
どうして「食べ物+運動」で起こるの?
ここは、まだ完全には分かっていません。
現在考えられているのは、運動が食物アレルギーの反応を起こしやすくする「補助的な要因」になるという仕組みです。
運動によって腸管の透過性が変化したり、血流などが変化したりすることで、食物アレルゲンが体内に入りやすくなる可能性が考えられています。
また、アスピリンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)やアルコールが、運動と同じように症状を起こしやすくする要因になることもあります。
ただ、FDEIAがなぜ起こるのかについては、まだ研究が続いています。
「食べたあとに運動したら出た」なら全部FDEIA?
これも違います。
アレルギーの診断では、症状が出たときの状況を詳しく確認することが重要です。
何を食べたのか、どのくらい食べたのか、何時間後に運動したのか、どんな運動をしたのか、薬を飲んでいなかったか、アルコールを摂っていなかったかなど、いろいろな情報を組み合わせて判断します。
必要に応じて皮膚検査や血液検査などを行い、場合によっては医療機関で負荷試験が検討されることもあります。
ただし、FDEIAの負荷試験はアナフィラキシーを起こす可能性があるため、自己判断で試すものではありません。専門的な管理のもとで行われます。
運動をやめればいいの?
原因が運動そのものなのか、食べ物との組み合わせなのかによって対応は変わります。
FDEIAの場合は、原因となる食品を食べたあとに運動しないことが基本になります。
2022年のシステマティックレビューでは、原因食品を運動前に避けることで、その後に食物依存性のアレルギー反応を起こさなくなった患者が報告されています。
一方、運動誘発アナフィラキシーでは、原因や症状の程度を確認したうえで、医師と運動について相談する必要があります。
「運動するとアレルギーが出るから、運動は全部やめる」という単純な話ではありません。
運動中にアナフィラキシーが起こることもある
ここは「運動アレルギー」という言葉で検索したときに、ぜひ知っておきたいところです。
運動誘発アナフィラキシーでは、じんましんやかゆみだけでなく、喉の違和感、息苦しさ、喘鳴、腹痛、嘔吐、めまい、血圧低下など、全身に症状が出ることがあります。重症化する可能性もあるため、単なる「運動すると肌がかゆくなる」という話とは分けて考える必要があります。
特に、運動中や運動直後に複数の症状が同時に出たことがあるなら、自己判断で「体質かな」と済ませないほうがよいでしょう。
「運動アレルギー」ってあるの?
今回調べてみると、「運動アレルギー」という言葉で呼ばれるような症状は、実際に医学的にも存在していました。
ただし、それは一つの病気ではありません。
運動によってじんましんが出る場合にはコリン性じんましんなどがあり、運動そのものをきっかけにアナフィラキシーが起こる運動誘発アナフィラキシーもあります。
さらにややこしいのが、食べ物を食べたあとに運動することで初めて症状が起こるFDEIAです。
この場合、運動だけでも食べ物だけでも症状が出ないことがあります。
だから「運動アレルギー」と聞いたときに、単純に「運動に対するアレルギーなんだ」と考えるより、
「運動がきっかけになって起こる、いくつかのアレルギー関連の病気がある」
と考えたほうが実態に近いようです。
そして、もし運動中にじんましんだけでなく、息苦しさ、喉の腫れ、めまいなどが出た経験があるなら、次の運動で同じことが起こらないとは限りません。アナフィラキシーは重症化することがあるため、医療機関で一度相談しておくことが大切です。
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