「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「母乳で育てると、アレルギーになりにくい」
そんな話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
母乳には赤ちゃんに必要な栄養が含まれているだけでなく、免疫に関わる成分もたくさん入っています。
それなら、母乳を飲むことで赤ちゃんの免疫が整って、アレルギーにも強くなるのでしょうか。
気になるところですよね。
実際に調べてみると、母乳とアレルギーの関係はかなり昔から研究されていました。
しかも、ただ「母乳のほうがいい」という話だけではありません。
母乳そのものに含まれている成分や、お母さんが食べたもの、赤ちゃんの腸内細菌まで関係していることが分かってきています。
母乳には、赤ちゃんの免疫に関わるものが入っている
母乳をただの「栄養」として見ると、この話は少し分かりにくくなります。
母乳には、免疫グロブリンA(IgA)、サイトカイン、オリゴ糖など、赤ちゃんの免疫や腸内環境に関係する成分が含まれています。
特に注目されているのが、**ヒトミルクオリゴ糖(HMO)**です。
HMOは赤ちゃん自身が栄養として直接使うというより、腸内細菌の環境に影響を与えることが知られています。
腸内細菌が変われば、免疫の働きにも影響する。
アレルギーとの関係を考えると、ここはかなり興味深いところです。
2024年のレビューでも、母乳中の成分が腸内細菌や免疫系の発達に影響し、それが食物アレルギーとの関係につながる可能性が研究されています。
母乳は「栄養を届けるもの」だけではなく、赤ちゃんの免疫が育っていく時期にさまざまな成分を届けています。
では、それが実際のアレルギーの発症に影響しているのでしょうか。
母乳を飲んでいる子は、本当にアレルギーが少ない?
ここから少し話が複雑になります。
母乳育児をした子どものほうがアレルギーが少なかったという研究はあります。
一方で、母乳育児だからアレルギーを防げたとまでは言えない研究もあります。
2024年に発表された大規模なメタ解析では、68件の研究、約77万人の子どもを対象に、母乳育児と食物アレルギー・アレルギー性鼻炎との関係が調べられました。
その結果、6か月を超える母乳育児では、アレルギー性鼻炎のリスクが低いこととの関連がみられました。
一方、食物アレルギーについては、母乳育児による明確な予防効果は確認されませんでした。
アレルギー性鼻炎と食物アレルギーで、結果が同じではなかったわけです。
「母乳ならアレルギーになりにくい」という一言では、この違いまで説明できません。
母乳の中には、お母さんが食べたものも入ってくる
ここも面白いところです。
お母さんが食べた食品の成分の一部は、母乳中に検出されることがあります。
食品に含まれるアレルゲンも母乳中に移行することが研究されています。
たとえば、お母さんが卵や牛乳などを食べたからといって、そのたびに赤ちゃんがアレルギーを起こすという意味ではありません。
むしろ研究者の間では、母乳を通して少量の抗原に触れることが、免疫の「慣れ」や免疫寛容に関係する可能性も研究されています。
動物実験だけでなく、人間を対象にした研究でもこの仕組みが調べられています。
ただし、ここはまだ研究途中です。
「授乳中にアレルゲンを食べれば、赤ちゃんのアレルギー予防になる」とまで言える段階ではありません。
母乳の中の「免疫成分」が関係している?
さらに研究を追っていくと、母乳に含まれる抗体にも注目が集まっています。
母乳中のIgAなどの抗体は、赤ちゃんの腸の中で働き、病原体などが粘膜に付着するのを防ぐ役割があります。
最近では、こうした母乳中の抗体が、アレルゲンとの接触や腸内細菌、免疫反応にも関係している可能性が研究されています。
2026年のレビューでも、母乳中の抗体がアレルギー予防に関わる可能性が取り上げられています。
ただ、研究者が注目している「可能性」と、実際に「母乳を飲めばアレルギーを防げる」という話は同じではありません。
ここはまだ分かっていないことが残っています。
じゃあ、母乳で育てれば食物アレルギーを防げる?
今の研究からは、そこまで単純には言えません。
母乳には免疫に関係する成分が含まれていて、腸内細菌や免疫の発達に影響する可能性があります。
母乳育児とアレルギー性鼻炎の発症が少ないこととの関連を示した研究もあります。
でも、食物アレルギーについては研究結果が一致していません。2025年のレビューでも、母乳育児による食物アレルギーへの影響について、予防効果を示す研究がある一方、効果が確認されなかった研究もあり、議論が続いているとされています。
つまり、「母乳だから食物アレルギーにならない」というところまでは分かっていません。
母乳で育てられなかったら、アレルギーになりやすい?
ここは、お母さんにとってかなり気になるところだと思います。
でも、「母乳で育てられなかったからアレルギーになった」と考えることはできません。
アレルギーには、遺伝的な要素、皮膚の状態、腸内環境、食生活、生活環境など、いろいろな要因が関係しています。
母乳育児とアレルギーの研究でも、母乳を飲んだかどうかだけで結果が決まるわけではありません。
そもそも、母乳育児をしている家庭とそうでない家庭では、食事、生活環境、出産時の状況など、ほかの条件も違うことがあります。
研究で「母乳育児をした子どものほうがアレルギーが少なかった」という結果が出ても、それだけで母乳が原因だと証明するのは難しいのです。
アレルギー予防は「母乳だけ」の話ではなかった
赤ちゃんのアレルギーを考えると、母乳だけに目を向ける必要はありません。
現在は、乳児期の食べ物の与え方についても研究が進んでいます。
特に食物アレルギーでは、離乳期に適切な時期から卵やピーナッツなどの食品を摂取することが、発症予防との関係で注目されています。
母乳を飲んでいるかどうかだけで、アレルギー予防を考える時代ではなくなってきています。
母乳には、赤ちゃんの免疫に関係する興味深い成分がたくさんあります。
それがアレルギーの発症にも関係している可能性は、今も研究されています。
ただ、「母乳ならアレルギーになりにくい」と一言で片づけられるほど、話は簡単ではありません。
母乳育児ができたかどうかで、お母さんが自分を責める必要もありません。
アレルギーは一つの原因だけで決まるものではなく、赤ちゃんの成長の中でいろいろな要素が重なっていくもの。
母乳について調べてみると、そんなことも見えてきました。
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