「犬アレルギー」「猫アレルギー」というと、少数派の話のように思われがちですが、実は多くのご家庭が気になっているテーマです。東京都の調査では、猫アレルギーのある家族がいる世帯は16.7%と、犬(8.0%)の2倍以上にのぼることがわかっています。すでにペットを飼っているご家庭も、これから迎えようとしているご家庭も、正しい知識があれば、無理のない形で付き合っていくことができます。
犬アレルギー・猫アレルギーの症状
犬・猫アレルギーの原因は、毛そのものではなく、毛に付着したフケ・唾液・皮脂などに含まれるタンパク質です。犬アレルギーと猫アレルギーはアレルゲンが異なるため、まったくの別物です。犬アレルギーだけど猫は平気、あるいはその逆というケースも珍しくありません。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり(アレルギー性鼻炎)
- 目のかゆみ・充血(アレルギー性結膜炎)
- 咳・ぜーぜーする呼吸(気管支喘息)
- なめられた部分の皮膚が赤くなる、じんましん
- まれに、顔や舌のむくみ・息苦しさなどのアナフィラキシー症状
もともとアトピー性皮膚炎などで肌のバリア機能が弱いお子さんは、アレルゲンが侵入しやすく、症状が出やすい傾向があります。
飼う前にできること
これからペットを迎えようと考えている場合、後悔しないために、事前にできることがあります。
- アレルギー科・耳鼻科などでアレルギー検査を受ける(血液検査で数千円程度から可能)
- お迎え予定の犬・猫と、事前に何度か触れ合ってみる(ブリーダー先や譲渡会、知人宅などで)
- 家族全員の反応を確認する(本人だけでなく、きょうだいの体質も)
ただし、事前に触れて症状が出なかったからといって、将来的にアレルギーを発症しない保証にはならない点には注意が必要です。犬アレルギーは、飼い始めてから数年後に発症するケースもあります。

また、「お父さん(お母さん)がアレルギー体質でもペットを飼えているから、子供も大丈夫」とは限りません。アレルギーへの反応は一人ひとり異なり、親が症状を感じにくい体質だったり、長年のうちに慣れていたりするケースもあります。家族の誰かが平気だからと安心せず、お子さん自身の反応を確認することが大切です。
低アレルゲン犬種・猫種は「完全にゼロ」ではない
「低アレルゲン犬種」「低アレルゲン猫種」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、抜け毛が少ない・アレルゲンとなるタンパク質(猫の場合はFel d 1と呼ばれる物質)の分泌量が少ないなど、症状が出にくい傾向がある犬種・猫種を指します。
アレルゲンが少ない犬種の特徴
選ぶ基準になるのは「毛の量」ではなく、フケと唾液が拡散しにくいかどうかです。
- 被毛がシングルコート・巻き毛(抜け毛が絡め取られ、拡散しにくい)
- 抜け毛が極めて少ない
- 体臭が少ない(皮脂の分泌が控えめ)
- 毎日のブラッシングと定期的なトリミングが必要(お手入れの手間とセット)
- 犬の例:トイプードル(巻き毛で抜け毛が絡め取られ拡散しにくい)、マルチーズ(シングルコートで抜け毛が少なく換毛期がない)、ビションフリーゼ(抜け毛が少なく皮脂の分泌も控えめ)、ミニチュアシュナウザー(ダブルコートだが抜け毛が非常に少ない)
- 猫の例:サイベリアン(Fel d 1の分泌量が遺伝的に少ないとされる代表格)、ロシアンブルー(短毛で抜け毛が少なく、Fel d 1分泌量も比較的少ない)、バリニーズ(長毛だがシングルコートで抜け毛・皮脂が少ない)
ただし、どの犬種・猫種であっても、アレルギー反応が完全にゼロになるわけではありません。「低アレルゲン=絶対安心」という誤解をしないよう、迎える前には必ずその子自身と実際に触れ合って確認することをおすすめします。
すでに飼っている場合の対策
すでに一緒に暮らしている場合、手放すという選択は簡単ではありません。症状と付き合いながら暮らしていく工夫を紹介します。
- こまめなブラッシング(できれば屋外で)で、抜け毛・フケの拡散を減らす
- 定期的なシャンプー(月1〜2回程度が目安)で、皮膚に付着したフケ・アレルゲンを洗い流す。低刺激・無香料タイプを選ぶと、ペット自身の皮膚への負担も抑えられる
- 掃除機がけ・空気清浄機の活用で、室内に舞うアレルゲンを減らす
- 寝室にはペットを入れないなど、生活空間を分ける
- 触れた後は石鹸で丁寧に手を洗う
- 抱っこや添い寝は、アレルゲンへの接触が増えるため控えめに
- 毛がつきにくい、ツルツルした素材の服を選ぶ
春・秋の換毛期は、抜け毛が増えて症状が悪化しやすい時期です。この時期は特に、ブラッシング・掃除の頻度を増やすと安心です。
実家・親戚の家にペットがいる場合
自宅では対策していても、実家や親戚の家にペットがいる場合は、また別の配慮が必要です。
- 訪問前に、事前に動物を別の部屋に隔離してもらうよう頼む
- 訪問前に、掃除機がけなど部屋の掃除をお願いしておく
- 医師の指示があれば、訪問前に抗アレルギー薬を内服しておく
- 症状が出やすい体質の場合は、無理に長時間滞在しない
「実家だから」と遠慮せず、必要な配慮はきちんと伝えることが、お子さんを守ることにつながります。
まとめ
- 犬アレルギーと猫アレルギーは別物。片方だけという子も多い
- 飼う前の検査・触れ合いは有効だが、将来の発症を完全には防げない
- 家族の誰かが平気でも、お子さん自身が大丈夫とは限らない
- 低アレルゲン犬種・猫種も、リスクをゼロにはできない
- すでに飼っている場合は、ブラッシング・掃除・生活空間の工夫で付き合っていける
- 実家・親戚の家では、事前の一言が大切
ペットとの付き合い方に正解はありません。お子さんの症状の程度に応じて、主治医に相談しながら無理のない形を見つけてください(詳しくは免責事項をご確認ください)。ダニ・カビなど、他の住環境アレルゲンについては「アレルギーとカビ・ダニの関係」もあわせてご覧ください。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。
参考にした情報源
- 犬アレルギーで子供に出やすい症状|受診の目安と家庭での対策|練馬の小児科ベスタ
- お子さんの動物アレルギー|ミューザ川崎こどもクリニック
- 動物アレルギー|犬・猫・うさぎアレルギーの検査・治療|名古屋おもて内科・呼吸器内科クリニック
- 犬アレルギーとは?毛の抜けにくい犬種なら大丈夫って本当?|巣鴨千石皮ふ科
- アレルギーがあってもペットと暮らせる?|東京センタークリニック
- 猫アレルギーでも猫は飼える?症状が出にくい猫種と対策を解説|pettena
- 犬アレルギーでも飼える犬種6選|フローエンス
- 東京都における犬及び猫の飼育実態調査の概要|東京都福祉保健局
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