「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「腸内フローラを調べれば、自分に合う食べ物が分かる」
そんな話を見かけることがあります。
アレルギーやアトピーについて調べていると、腸内細菌との関係を扱った研究もたくさん出てきます。実際、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも、腸内細菌とアレルギー疾患との関連や、プロバイオティクスなどについて紹介されています。
じゃあ、腸内フローラ検査を受ければ、
「アトピーの原因はこれ」
「この食品がアレルギーの原因」
「この食べ物は自分の体に合わない」
といったところまで分かるのでしょうか。
結論からいうと、そこまで単純ではありません。
結論
腸内フローラとアレルギー・アトピーには関係が研究されています。
ただし現在の腸内フローラ検査だけで、個人のアレルギーやアトピーの原因、原因食品まで特定できるわけではありません。
「腸内環境を調べること」と「アレルギーの原因を診断すること」は、別の話です。
まず、腸内フローラ検査で何が分かる?
腸内フローラ検査は、便などを調べて、そこにどのような細菌がいるのか、その構成にどんな特徴があるのかを見るものです。
検査によって調べ方や表示される項目は違いますが、イメージとしてはこんな感じです。
| 知りたいこと | 腸内フローラ検査 |
|---|---|
| 腸内細菌の種類・構成 | ○ 調べられる |
| 特定の菌が多い・少ない | ○ 検査方法によって分かる |
| 腸内細菌のバランスの特徴 | ○ 検査によって評価される |
| アトピーとの関連 | △ 研究されている |
| アレルギーとの関連 | △ 研究されている |
| アトピーの原因 | × 特定できない |
| アレルギーの原因食品 | × 特定できない |
| 食べてはいけない食品 | × これだけでは判断できない |
この表を見ると、かなり分かりやすいと思います。
「腸内フローラについて分かること」と「病気の原因が分かること」は別です。
じゃあ、腸内フローラとアレルギーは関係ないの?
いや、そこが面白いところです。関係がないわけではありません。
腸内細菌は免疫系と関わっており、アレルギー疾患との関連が研究されています。アトピー性皮膚炎についても、患者と健康な人の腸内細菌を比較した研究などがあります。日本皮膚科学会のガイドラインでも、こうした研究やプロバイオティクスなどによる介入研究が紹介されています。
ただ、「関係がある」と、「原因が分かった」の間には、かなり大きな距離があります。
たとえば、アトピーの人とそうでない人で腸内細菌に違いが見つかったとしても、それだけでは「その腸内細菌がアトピーを起こした」とは言えません。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能、免疫反応、遺伝的な要因、環境など、複数の要素が関係する病気です。
腸内フローラも、その中の一つとして研究されている段階と考えたほうが近いでしょう。
「アトピーの原因」まで分かる?
ここはかなり重要です。
現在の診療で、腸内フローラ検査をして、「あなたのアトピーの原因は、この腸内細菌です」と診断することはできません。
アトピー性皮膚炎については、食物アレルギーが関係しているケースもありますが、すべてのアトピーが食べ物によって起きているわけではありません。
食物が関係している可能性を調べる場合も、症状の経過や食べたものとの関係を確認し、必要に応じてアレルギー検査などを組み合わせて判断します。
腸内フローラの結果だけを見て、アトピーの原因食品を決めるわけではありません。
「アレルギーの原因食品」は分かる?
これも同じです。
食物アレルギーの診断では、まず症状や食事との関係を確認し、必要に応じて特異的IgE検査や皮膚プリックテストなどを行います。
判断が難しい場合には、医療機関で食物経口負荷試験を行うこともあります。食物アレルギーの診断では、食物経口負荷試験が重要な位置を占めています。
| 調べたいこと | 主に使われる方法 |
|---|---|
| 食べた後にどんな症状が出たか | 問診・食物摂取歴 |
| 特定の食物に対するIgE感作 | 特異的IgE検査 |
| 皮膚の反応 | 皮膚プリックテストなど |
| 実際に食べると症状が出るか | 食物経口負荷試験 |
ここに腸内フローラ検査は入っていません。
だから、「腸内フローラ検査をしたら卵アレルギーの原因が分かった」というような使い方は、現在の一般的な食物アレルギー診断とは別の話になります。
では「自分に合う食べ物」は?
ここが一番ややこしいところです。
腸内フローラ検査のサービスには、検査結果から食生活についてアドバイスするものがあります。
「この食品がおすすめ」
「こういう食生活を意識しましょう」
といった提案ですね。
これは、腸内環境を参考にした食生活のアドバイスとして考えるなら分かります。
でも、
「おすすめされた食品=自分に合う食品」
「おすすめされなかった食品=食べないほうがいい食品」
とは限りません。
まして、
「この食品はアレルギーの原因だから避けるべき」
という話とは別です。
「合う」という言葉が便利すぎるんです。
腸内細菌の状態から食生活について何らかの提案ができることと、アレルギーの有無を診断できることは、まったく別の話です。
「腸内フローラでアレルギーが分かる」という話は、どこでズレる?
たぶん、ここです。
研究では、「腸内細菌 ↔ 免疫 ↔ アレルギー」という関係が調べられています。
さらに、「腸内細菌 ↔ アトピー性皮膚炎」という研究もあります。
ここから、「だったら腸内フローラを調べれば、自分のアレルギーの原因も分かるのでは?」となりやすい。
でも、研究で「関連がある」と分かったことを、そのまま個人の診断に使えるとは限りません。
これはかなり大事な線引きです。
たとえば、ある病気の人に特定の菌が多かったとしても、
「その菌が病気を起こした」のか、「病気になったことで菌が変化した」のか、「別の要因によって両方が変化した」のかは、別途調べる必要があります。
だから、腸内フローラ研究が進んでいることと、腸内フローラ検査でアレルギーの原因を診断できることはイコールではありません。
じゃあ腸内フローラ検査は意味がない?
ここも「意味がない」と切ってしまうのは違います。
腸内細菌と免疫、アレルギー、アトピーの関係は現在も研究されています。
実際、日本皮膚科学会のガイドラインでも、アレルギー疾患の子どもと健康な子どもの腸内細菌を比較した研究や、プロバイオティクスなどによる介入研究が紹介されています。
ただし、研究があるからといって、市販の腸内フローラ検査を受ければ、その人のアレルギーやアトピーの原因まで分かるという意味ではありません。
ここは「研究」と「個人向け検査」を分けて考えたほうがいいでしょう。
腸内フローラ研究は進んでいる。
でも、腸内フローラ検査がアレルギーやアトピーの原因を診断する検査になったわけではない。
このくらいの距離感がちょうどよさそうです。
検査を受けるなら、何を目的にする?
「自分の腸内環境を知ってみたい」という目的なら、腸内フローラ検査を利用すること自体は別におかしなことではありません。
ただし、目的が、「子どものアトピーの原因を知りたい」「食物アレルギーの原因食品を特定したい」ということであれば、最初から腸内フローラ検査だけに答えを求めるのはおすすめしません。
まずアレルギーを診療している医療機関で相談する。
必要な検査を受ける。
そのうえで腸内フローラにも興味があるなら、「これは何が分かる検査なのか」を確認して受ける。
この順番のほうが、検査結果に振り回されにくいと思います。
まとめ
腸内フローラ検査で分かること
腸内細菌の構成や特徴など。
研究されていること
腸内細菌と免疫、アレルギー、アトピーとの関係。
現時点で分からないこと
「あなたのアトピーの原因はこれ」「この食品がアレルギーの原因」という個人の原因特定。
「自分に合う食べ物」は?
検査結果から食生活を提案するサービスはあるものの、アレルギー診断や「食べてはいけない食品」の判定とは別。
腸内フローラは、アレルギーやアトピーを考えるうえで無視できない研究分野になっています。
でも、「関係がある」と「原因が分かる」の間には、まだ距離があります。
「腸内フローラを調べれば、自分に合わない食べ物まで全部分かる」というイメージで検査を受けるより、まずはその検査で何を測っていて、その結果から何が言えるのかを確認しておく。
そこを分けて考えると、腸内フローラ検査との付き合い方もかなり見えやすくなります。
コラム・レビューの新着
よく読まれている記事




コメント