「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「アレルギーと自己免疫疾患って、何か関係あるの?」
どちらも免疫が関係する病気なので、そう思うのは自然です。
アレルギーは、花粉や食べ物など、本来なら体に害を与えないものに免疫が反応してしまう状態。一方、自己免疫疾患は、自分の体の成分を免疫が攻撃してしまう病気です。
こう聞くと、似ているような、まったく違うような……。
実際に研究を見ていくと、この2つは単純に「同じ」でも「無関係」でもありませんでした。
そもそもアレルギーと自己免疫疾患は何が違う?
まず、ここを整理しておきます。
アレルギーでは、花粉、ダニ、食物などの体の外から入ってくる物質に対して、免疫が過剰に反応することがあります。
たとえば花粉症なら、花粉に対する免疫反応によって、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが起こります。
一方、自己免疫疾患では、免疫が自分自身の細胞や組織などを標的にしてしまうことが問題になります。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病などが代表的な自己免疫疾患です。
つまり、免疫が関わるという大きな共通点はありますが、何に対して免疫反応が起こっているのかが違います。
それなら、やっぱり別々の病気?
ここが今回のポイントです。
これまで、アレルギーと自己免疫は、免疫反応の方向が違うものとして考えられることが多くありました。
ところが近年は、両者に共通する免疫の仕組みや、遺伝的な背景、上皮バリア、腸内細菌叢などが研究されています。
2025年に発表されたレビューでも、アレルギーと自己免疫疾患には、遺伝的な背景や上皮バリアの障害、マイクロバイオームの変化など、共通する要素がある可能性が整理されています。
だからといって「アレルギーが自己免疫疾患になる」という話ではありません。
ただ、2つの病気がまったく別々に存在しているとも言い切れないところまで研究が進んでいます。
実際に「両方」が見られる人はいる?
います。
しかも、これは単なる医学上の理論だけではありません。
アレルギー疾患と自己免疫疾患が同じ人に見られるケースについて、以前から疫学研究が行われています。
たとえば2019年に発表された大規模な縦断研究では、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息の3つのアレルギー疾患を持つ人について、自己免疫疾患との関係が調べられました。
その結果、3つのアレルギー疾患すべてで、SLE(全身性エリテマトーデス)、シェーグレン症候群、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、セリアック病など、いくつかの自己免疫疾患の発症率が高くなっていました。
「アレルギーがある人は自己免疫疾患になる」という意味ではありませんが、両者が一緒に見られる傾向は実際に研究されています。
アトピー性皮膚炎では、かなり研究されている
特に研究が進んでいるのが、アトピー性皮膚炎です。
2025年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関係を調べた26研究、合計約163万人のアトピー性皮膚炎患者と約1,511万人の対照群が検討されました。
その結果、アトピー性皮膚炎の人では、自己免疫疾患全体のリスクが高いという関連が確認されています。
関連が報告された病気には、セリアック病、SLE、シェーグレン症候群、関節リウマチ、円形脱毛症、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎などが含まれていました。
ただし、このような研究は基本的に**「一緒に起こりやすいか」という関連を調べたもの**です。
「アトピー性皮膚炎が原因で自己免疫疾患になった」と証明したものではありません。
ここはかなり重要です。
花粉症のようなアレルギーでも関係はある?
アトピー性皮膚炎だけではありません。
たとえばアレルギー性鼻炎とSLEの関係を調べた2020年のシステマティックレビュー・メタ解析では、アレルギー性鼻炎のある人はSLEのリスクが高いという結果が出ています。
8つの研究、合計約332万人を対象とした解析で、アレルギー性鼻炎とSLEの関連はオッズ比1.36でした。
また、アレルギー性鼻炎と関節リウマチについても研究されています。
こちらは全体の解析では明確な関連が確認されませんでしたが、研究の質を考慮した解析では、アレルギー性鼻炎のある人で関節リウマチのリスクが高いという結果が出ています。
つまり、病気の組み合わせによって研究結果はかなり違います。
「アレルギーがあれば自己免疫疾患も増える」と一括りにはできません。
では、なぜ両方が起こるの?
ここはまだ研究途中の部分もあります。
現在考えられているのは、アレルギーと自己免疫疾患が、それぞれ別々の病気でありながら、免疫の調節に関係する共通の仕組みを一部持っているのではないかということです。
免疫細胞、抗体、サイトカインなどは、アレルギーにも自己免疫疾患にも関わっています。
さらに、遺伝的な体質だけではなく、皮膚や粘膜などのバリア機能、腸内細菌叢、環境因子なども関係している可能性があります。
ただし、これも「この仕組みがあるから両方の病気になる」とまで単純には説明できません。
免疫の世界は、かなり複雑です。
「アレルギーは免疫の暴走」とも少し違う
ここで、以前調べた「アレルギーは免疫の暴走なのか?」という話にもつながります。
アレルギーも自己免疫疾患も、免疫反応の調節がうまくいかないことが関係しています。
ただ、アレルギーでは「外から来たもの」に対する反応が問題になり、自己免疫疾患では「自分自身」に対する反応が問題になります。
だから、
アレルギー=自己免疫疾患
ではありません。
でも、
アレルギーと自己免疫疾患には、免疫の調節という部分で重なるところがある。
現在の研究を見ると、このくらいの捉え方が一番しっくりきます。
アレルギーがある人は心配したほうがいい?
ここまで読むと、「アレルギーがあるんだけど、自己免疫疾患にもなりやすいの?」と心配になるかもしれません。
ただ、今回確認した研究の多くは、集団としてのリスクや関連性を調べた研究です。
たとえばアレルギー性鼻炎とSLEに関連が見つかったとしても、アレルギー性鼻炎の人がそのままSLEになるという意味ではありません。
実際、特異的IgEによるアトピー体質と自己免疫疾患全体の発症を長期間追跡した研究では、自己免疫疾患全体について明確なリスク上昇が確認されなかったという結果もあります。
研究によって結果が違うことからも、両者の関係はまだ一枚岩ではないことが分かります。
アレルギーと自己免疫疾患は関係ある?
今回調べてみると、「関係がある」と考えられる研究は実際にありました。
アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患と、SLE、関節リウマチ、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患について、両方の病気が同じ人に見られたり、発症リスクとの関連が報告されたりしています。
一方で、「アレルギーがあるから自己免疫疾患になる」という単純な関係が証明されたわけではありません。
病気によって研究結果も異なり、遺伝や環境、免疫の調節など、いくつもの要素が絡んでいると考えられています。
なので今回の答えは、
アレルギーと自己免疫疾患には、確かに関連を示す研究がある。
でも、アレルギーと自己免疫疾患を同じものと考えたり、アレルギーが原因で自己免疫疾患になると考えたりする段階ではない。
というところでした。
免疫は「強い・弱い」だけでは説明できない。
今回のテーマを調べていくと、そんなところも見えてきます。
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