「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「アレルギーって遺伝するの?」
子どもにアレルギーがあると、親として気になることがありますよね。
親が花粉症だから子どもも花粉症になるのか。家族にアトピーが多いけれど、子どももアレルギーになりやすいのか。
実際、アレルギー疾患には遺伝的な要素があります。
しかも最近は、単に「家族にアレルギーがある」という話だけではなく、どんな遺伝子の違いがアレルギーになりやすさと関係しているのかまで研究されています。
中でもよく名前が出てくるのが「FLG」という遺伝子です。
では、アレルギーになりやすい遺伝子を持っていたら、将来アレルギーになるのでしょうか?
アレルギーは遺伝する?
まず知っておきたいのは、アレルギーは「遺伝する・しない」の二択ではないということです。
アレルギー疾患は、遺伝的な要素と環境要因の両方が関係する多因子疾患として考えられています。
2025年のレビューでは、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーなどについて、多数の遺伝的なリスク因子が報告されています。
しかも、複数のアレルギー疾患に共通する遺伝的要因もあれば、特定の病気と関係が強い遺伝的要因もあります。
| 考え方 | 実際には |
|---|---|
| アレルギー遺伝子が1個ある | そういう単純な仕組みではない |
| 親がアレルギーなら必ず子どももなる | ならない場合もある |
| 遺伝は関係ない | 遺伝的なリスクは確認されている |
| 遺伝だけで決まる | 環境や免疫、皮膚バリアなども関係する |
「アレルギーになりやすい体質」が、いくつもの遺伝的な違いによって作られているイメージのほうが近そうです。
「FLG」という遺伝子がアレルギーと関係している
アレルギーの遺伝子を調べると、よく登場するのがFLG(フィラグリン)遺伝子です。
フィラグリンは、皮膚のバリア機能に関係する重要なタンパク質です。
皮膚は、外からの刺激やアレルゲンが体内へ入り込むのを防ぐ役割を持っています。
ところがFLGの働きが低下するタイプの遺伝子変異があると、皮膚のバリア機能が弱くなりやすいことが分かっています。
そのためFLGは、特にアトピー性皮膚炎との関係が強く研究されてきました。
2026年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、FLGの機能喪失変異は小児のアトピー性皮膚炎と強く関連していました。
さらに、喘息や食物アレルギーとの関連も確認されています。
FLGは「アレルギーを起こす遺伝子」というより、皮膚のバリア機能に関係し、アレルギー疾患になりやすさに影響する遺伝子の一つと考えるほうが近いです。
なぜ皮膚の遺伝子が食物アレルギーにも関係するの?
ここはちょっと意外なところです。
「皮膚のバリア」と「食物アレルギー」は別の話に感じますよね。
ところが現在は、皮膚のバリア機能がアレルギーの成立に関係するという考え方が研究されています。
皮膚のバリアが弱くなると、環境中にあるさまざまな物質が皮膚から入り込みやすくなります。
その結果、免疫がその物質を異物として認識し、アレルギー反応につながる可能性があります。
特に乳幼児では、皮膚の状態と食物アレルギーの関係が注目されています。
2026年のメタ解析では、FLGの機能喪失変異は小児の食物アレルギーとも関連していました。
また2026年に発表された小児の食物アレルギーのリスク因子をまとめたメタ解析でも、FLGの遺伝的変異は食物アレルギーと関連する因子の一つとして挙げられています。
| 関係するもの | イメージ |
|---|---|
| FLG遺伝子 | 皮膚バリアに関係 |
| 皮膚バリアの低下 | 外からの物質が入りやすくなる |
| 免疫反応 | アレルゲンを認識する可能性 |
| アレルギー | 食物・喘息などとの関連が研究されている |
もちろん、これは「FLGの変異があれば食物アレルギーになる」という意味ではありません。
あくまでなりやすさに関係する要素の一つです。
食物アレルギーには他にも遺伝子がある
FLGだけではありません。
食物アレルギーについては、HLA、IL4、IL13、SERPINB7など、さまざまな遺伝子が研究されています。
2025年のレビューでは、食物アレルギーのゲノム解析から、全ゲノムレベルで関連が確認された16の遺伝的変異が整理されています。
これらには、皮膚や腸などの上皮バリアに関係する遺伝子と、免疫反応に関係する遺伝子の両方が含まれています。
つまり、アレルギーの遺伝的な仕組みは、
「アレルギーを起こす遺伝子がある」
という単純なものではなく、
「バリア機能や免疫反応などに関係する複数の遺伝的な違いが、アレルギーになりやすさに影響する」
という方向に分かってきています。
親がアレルギーなら子どももアレルギーになる?
ここは、遺伝子の話と家族歴の話を分けて考えたほうが分かりやすいところです。
親や兄弟にアレルギーがあると、子どももアレルギー疾患を発症するリスクが高くなることが知られています。
ただし、
親がアレルギーだから、子どもも必ずアレルギーになる
ということではありません。
2026年の小児食物アレルギーのメタ解析でも、母親や父親、兄弟に食物アレルギーがあることはリスク因子として関連していました。
一方で、家族歴だけですべてが決まるわけではありません。
同じ家族でも、アレルギーになる人とならない人がいるのは、そのためです。
| 家族にアレルギーがある | 考え方 |
|---|---|
| 親にアレルギーがある | 子どものリスクに影響する可能性がある |
| 兄弟にアレルギーがある | 子どものリスクに影響する可能性がある |
| 家族にアレルギーがない | アレルギーにならないとは限らない |
| アレルギー関連遺伝子がある | 発症が決まるわけではない |
遺伝子があってもアレルギーにならないことがある
ここが今回、一番大事なところかもしれません。
遺伝子研究では「リスクが上がる」という結果が出ても、それは発症が決まるという意味ではありません。
例えばFLGの機能喪失変異はアトピー性皮膚炎などとの関連が確認されていますが、変異を持つ人が全員アトピー性皮膚炎になるわけではありません。
反対に、FLGの変異がなくてもアトピー性皮膚炎になる人はいます。
アレルギーには、遺伝だけでは説明できない部分があるからです。
環境、皮膚バリア、免疫、生活環境など、いろいろな要素が重なって発症すると考えられています。
遺伝子は「運命」ではなく、アレルギーになりやすさに関係する一つの要素。
ここは「遺伝する」と「発症が決まっている」を混同しないためにも大切なところです。
アレルギーの遺伝子検査をすれば発症するか分かる?
ここまで聞くと、
「じゃあ遺伝子を調べれば、将来アレルギーになるか分かるの?」
と思いますよね。
現在、アレルギー疾患の遺伝子研究はかなり進んでいます。
複数の遺伝的な特徴を組み合わせて、将来の発症リスクを予測しようとするポリジェニック・リスクスコアという研究も進められています。
ただし、2025年のレビューでは、こうした遺伝的リスクスコアには可能性がある一方、集団によって予測精度が変わり、個人が実際に発症するかどうかを正確に判断するところにはまだ課題があるとされています。
そのため、
「この遺伝子があるから、あなたは将来アレルギーになる」
と遺伝子だけで断定できる段階ではありません。
アレルギーは遺伝だけで決まらない
アレルギーになりやすい遺伝子は、確かにあります。
特にFLGのように、皮膚のバリア機能と関係する遺伝子は、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患との関係が詳しく研究されています。
食物アレルギーについても、FLG、HLA、IL4など複数の遺伝子が候補として研究されています。
ただし、
遺伝子がある=アレルギーになる
ではありません。
アレルギーは、遺伝的な体質に環境や皮膚・粘膜の状態、免疫反応などが重なって発症する病気です。
今回の話でいえば、
「アレルギーになりやすい遺伝子はある。でも、それだけでアレルギーになることが決まるわけではない」
というのが現在の研究に近い答えです。
昔は「アレルギーは体質だから」と一言で片づけられることもありました。
今は、その「体質」の中身を遺伝子レベルで少しずつ解明しようとしている段階。
これから研究が進めば、遺伝的な体質に合わせてアレルギーを予防したり、治療したりする方法につながる可能性もあります。
ただ、現時点では遺伝子だけで未来のアレルギーを決めることはできません。
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