「運動は控えたほうがいい?」いいえ、基本は逆です
アレルギーや喘息があると、「激しい運動はさせないほうがいいのかな」と、つい心配になりますよね。でも実は、多くの場合、運動を制限する必要はありません。むしろ、発作を恐れて運動を避けてしまうと、体力が落ちて、ちょっとした運動でも息が上がりやすくなり、かえって発作を起こしやすくなってしまうこともあるようです。
とはいえ、アレルギーのある子の運動には、知っておいたほうがいい注意点もいくつかあります。この記事では、運動のメリットと、気をつけたいポイントの両方をまとめてみます。
運動には、こんな良いことがあります
免疫力アップにつながる
ジョギングやウォーキングのような有酸素運動は、心拍数を上げて血流を促すので、体内の免疫細胞が活性化されると言われています。激しい運動でなくても効果が期待できるので、運動が苦手な子でも無理なく続けやすいのも良いところです。水泳は肺機能を鍛える効果もあり、成長期の子にとってメリットの多い運動のひとつとされています。
自律神経のバランスを整える
体には、活動しているときやストレスを感じているときに働く「交感神経」と、リラックスしているときや眠っているときに働く「副交感神経」があります。この2つは、シーソーのようにバランスを取り合っているのですが、実はこのバランスとアレルギー症状にも、関係があると言われているんです。
副交感神経が優位な状態は、本来は体を休めてくれる大切な時間なのですが、その状態が続きすぎると、免疫細胞の一種であるリンパ球が増えすぎて、逆に免疫が過剰に働きやすくなる、という考え方があります。花粉症などのアレルギー症状は、この副交感神経が優位になりすぎている状態と関係している可能性がある、とも言われています。
適度な運動は、交感神経と副交感神経、両方の働きを整えてくれると報告されています。ただし、あまりに激しい運動は交感神経を過剰に働かせてしまい、逆に体の緊張を高めてしまうこともあるようです。「しんどすぎない、心地よいと感じるくらいの強度」の運動を続けることが、自律神経のバランスを整えるうえでも良さそうです。
血流改善は、寒暖差アレルギーに特に効果的
運動によって血流が良くなることは、「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)」という、気温差でくしゃみや鼻水が出やすくなるタイプの症状には、特に効果が期待できると言われています。運動で筋肉がつくと体温が上がりやすくなり、自律神経が乱れにくくなることで、症状が出にくくなる、という仕組みのようです。
一方で、食物アレルギーなど他のタイプのアレルギーについても血流改善が効果的かどうかは、まだはっきりした根拠がある段階とは言えないようなので、「血流を良くすればアレルギーが治る」と過度に期待しすぎないほうがよさそうです。
喘息があっても、基本的には運動していい
昔は、喘息のある子はできるだけ安静にして、運動は避けたほうがいいと考えられていた時代がありました。でも今は、考え方が変わってきています。喘息があるからといって、運動を制限する必要は基本的にないとされているんです。予防薬などでコントロールしながら、子供が好きな運動を楽しむのがよいようです。体を動かすことは、心と体の発育にとっても大切なことなので、発作を恐れすぎて運動そのものを避けるのは、かえってもったいないことなのかもしれません。
運動するときに気をつけたいこと
運動誘発性の喘息・鼻炎症状
激しい運動をきっかけに、咳や息苦しさなどの症状が出ることがあります。予防のためのお薬を運動前に使うことで、ある程度コントロールできると言われているので、症状が気になる場合は主治医に相談してみてください。この記事では日常生活の工夫を中心に紹介していますが、具体的な薬の使い方など医療的な内容は、主治医の指導に沿って進めるのが安心です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー、知っていますか?
これは、あまり知られていないけれど、知っておきたい大事な注意点です。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)」というもので、特定の食べ物を食べただけなら何ともないのに、その後に運動をすると、じんましんや息苦しさ、血圧低下などのアナフィラキシー症状が出てしまう、というタイプのアレルギーです。
原因になりやすい食べ物は、小麦や甲殻類(エビ・カニ)が多く、最近では果物や野菜が原因になるケースも増えているそうです。中学生ではおよそ6,000人に1人の頻度で、思春期前後に多いと言われていますが、年齢を問わず起こり得るものです。
FDEIAを防ぐために気をつけたいこと
- 食後2〜4時間は、激しい運動を控える
- 逆に、運動した直後(30分〜1時間程度)に原因食物を食べるのも避ける
- 風邪気味のとき、寝不足のとき、疲れているときは、いつもより症状が出やすくなる
- 解熱鎮痛薬の服用と、原因食物・運動の組み合わせにも注意が必要
給食を食べた後の体育の授業や、部活動の後の食事などで起こりやすいパターンなので、心当たりがある場合は、一度医師に相談してみることをおすすめします。頻繁に症状が出る場合や重症化しやすい場合は、エピペンを携帯するよう指導されることもあります。
花粉やカビ・ダニが多い時期は、運動する場所を工夫する
花粉が多く飛ぶ季節や、気温・湿度が高くカビ・ダニが増えやすい季節は、屋外での運動よりも屋内での運動を選んだほうが、症状が出にくいこともあるようです。外で運動した後は、服についた花粉をはたいてから家に入る、というひと工夫も効果的だと言われています。
まとめ
アレルギーや喘息があっても、運動そのものを避ける必要は基本的にありません。免疫力アップや体力づくりにつながる良い面もたくさんあります。ただ、食物依存性運動誘発アナフィラキシーのように、食事と運動のタイミングが関わる注意点もあるので、心当たりがあれば自己判断せず、早めに医師に相談してみてください。
免責事項
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考情報源
・独立行政法人環境再生保全機構「運動時のポイント|小児ぜん息基礎知識」
・日本小児アレルギー学会「食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)」食物アレルギー診療ガイドライン2021ダイジェスト版
・こあら内科クリニック「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」
・ウェザーニュース「自律神経の乱れで花粉症の症状悪化 整える方法は?」
・森整形外科クリニック「運動不足も解消!自律神経を整える運動を紹介」
・あだち耳鼻咽喉科「寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)の症状とは?」
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