「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「バターバーでアレルギーが改善する」
そんな話があります。
バターバーは、Petasites hybridusという植物です。ヨーロッパやアジアなどに生育する植物で、昔から健康目的でも利用されてきました。現在では、片頭痛や花粉症(アレルギー性鼻炎)などとの関係が研究されています。
ハーブや植物の話というと、「昔からそう言われているだけなのかな」と思ってしまいます。
ところがバターバーについて調べてみると、ちょっと様子が違いました。
実際にアレルギー性鼻炎の人を集めて、プラセボや抗ヒスタミン薬と比較した研究があるんです。
まず、バターバーってどんな植物?
バターバーは、キク科の植物です。
大きな葉を持つ植物で、「butterbur」という名前は、昔、大きな葉をバターを包むために使ったことに由来するとされています。
現在、アレルギー性鼻炎との関係で研究されているのは、主にバターバーの抽出物です。
そして、研究で注目されている成分のひとつが「ペタシン」です。
ペタシンには、ロイコトリエンなどアレルギー反応に関係する経路への作用や、抗ヒスタミン作用が報告されています。
ここがポイント
「バターバー」という植物そのものと、研究で使われた「バターバー抽出物」は同じものとして考えないほうがいいです。
研究では、成分量などが管理された特定の抽出物が使われています。
では、実際に人が使ったらどうだったのでしょうか。
花粉症の人125人で、抗ヒスタミン薬と比較した研究
まず紹介したいのが、2002年に発表された研究です。
季節性アレルギー性鼻炎の患者を対象に、バターバー抽出物と、抗ヒスタミン薬として使われるセチリジンを比較しました。
125人がランダムに2つのグループに分けられ、2週間使用しています。
結果はこちらです。
| 研究 | バターバー | 比較対象 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2002年 | 61人 | セチリジン64人 | 全般的な改善度などで、両群に同程度の改善が報告された |
患者さん自身による健康状態の評価や、医師による全般的な改善評価では、バターバーとセチリジンの結果が似ていました。
つまり、この研究だけを見ると、
「バターバーでも花粉症の症状が改善する可能性がある」
という結果です。
しかも比較相手は、普通のハーブではありません。
抗ヒスタミン薬のセチリジンです。
これはなかなか興味深いですよね。
さらに、プラセボと比べた研究でも改善が見られた
2004年には、さらに大きな研究が行われています。
対象となったのは、季節性アレルギー性鼻炎の186人。
バターバー抽出物を2種類の用量に分け、プラセボと比較するランダム化二重盲検試験が行われました。
| グループ | 人数 | 内容 |
|---|---|---|
| バターバー高用量 | 60人 | 1日3回 |
| バターバー低用量 | 65人 | 1日2回 |
| プラセボ | 61人 | 比較用 |
そして、2週間後の症状を比較すると、バターバーを使用した2つのグループはいずれもプラセボより改善が大きく、さらに用量による差も確認されました。
ここはちょっと面白い
「バターバーを使った人のほうが、なんとなく良かった」というだけではありません。
この研究では、プラセボより症状が改善し、さらに高用量と低用量の間にも差が見られました。
こうした結果があると、単なる「ハーブだから効くかもしれない」という話とは少し違って見えてきます。
鼻の通り方そのものを調べた研究もあった
さらに別の研究では、季節性アレルギー性鼻炎の患者20人を対象に、バターバーとプラセボを比較しています。
ここでは、症状を聞くだけではなく、鼻に刺激を与えたときの鼻の通りやすさなどを測定しました。
その結果、バターバーを使った場合には、刺激によって起こる鼻の反応がプラセボより抑えられました。
つまり、バターバーについては、
「本人が楽になったと感じた」
という研究だけではなく、
「鼻の反応そのものを測定して変化が見られた」
という研究もあるわけです。
でも、「効かなかった」という研究もある
ここで話が少し変わります。
バターバーには良い結果が出た研究だけがあるわけではありません。
2004年には、季節性アレルギー性鼻炎の患者35人を対象に、バターバーとプラセボを比較した二重盲検クロスオーバー試験も行われています。
ところが、この研究では、
- 鼻の通り
- 鼻症状
- 目の症状
- 生活の質
のいずれについても、プラセボと比べて有意な改善は確認されませんでした。
研究結果を並べてみると、こんな感じです。
| 研究 | 対象 | 比較 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2002年 | 125人 | セチリジン | 同程度の改善 |
| 2004年 | 186人 | プラセボ | バターバー群で改善 |
| 2004年 | 35人 | プラセボ | 明確な差なし |
| 2003年 | 20人 | プラセボ | 鼻の反応を抑える変化 |
これを見ると、バターバーの研究はなかなか面白いです。
「全部の研究で効いた」わけではない。
でも、
「一度も効果が確認されていないハーブ」でもない。
むしろ、いくつかの臨床試験でアレルギー性鼻炎への効果が調べられ、改善を示した研究も複数ある、という位置づけです。
そして、バターバーには大きな問題がある
ここまで読むと、
「じゃあバターバー、けっこう良さそうじゃん」
と思うかもしれません。
ところが、ここで絶対に知っておきたいことがあります。
それが、**ピロリジジンアルカロイド(PA)**です。
バターバーには、種類や処理によってはPAという成分が含まれます。
このPAには、肝臓や肺にダメージを与える可能性があり、発がん性も問題になっています。
そのため、バターバーを使う場合についてNCCIHは、PAを除去した「PA-free」と明確に表示・認証された製品だけを検討するよう注意しています。
ここは絶対に押さえておきたい
バターバーは「天然だから安全」という植物ではありません。
PAを含むバターバーは、安全性の面で問題があります。
研究で使われた抽出物と、市販されているすべてのバターバー製品を同じものとして考えるのも危険です。
さらに、PA-freeと表示された製品でも、過去には肝障害との関連が報告されています。そのため、長期間の安全性まで確認されているわけではありません。
じゃあ、バターバーでアレルギーは改善する?
ここまで調べてみると、バターバーはちょっと変わった存在でした。
「昔から花粉症にいいと言われている」というだけではありません。
実際に人を対象とした研究があり、プラセボより症状が改善した研究もあります。
さらに、抗ヒスタミン薬のセチリジンと比較した研究では、全般的な改善度が同程度だったという結果まで出ています。
一方で、プラセボとの差が確認できなかった研究もあります。NCCIHも、アレルギー性鼻炎についていくつかの研究があるものの、データは十分に説得力があるとはいえず、研究数も限られているとしています。
だから今回の答えは、
「バターバーには、アレルギー性鼻炎の症状改善を示した臨床研究が実際にある」
です。
ただし、ここで終わらないのがバターバーの面白いところ。
「効く可能性が研究されている植物」なのに、「安全性」という別の大きな問題を抱えている。
これが今回調べて一番気になったところでした。
特にPAの問題があるため、バターバーを普通のハーブティーのような感覚で使っていい、という話ではありません。
「天然だから安心」ではなく、何が入っている製品なのかまで見る必要があるハーブ。
バターバーは、アレルギーに対する効果を研究する価値がある一方で、安全性まで含めて考えないといけない植物だったんですね。
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