「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「ココナッツオイルを肌に塗ると、アレルギーにいいらしい」
そんな話を聞いたことはありませんか?
ココナッツオイルというと料理に使う油のイメージがありますが、肌のお手入れに使う人もいます。特にアトピー性皮膚炎の子どもがいると、「乾燥したところに塗ったらどうなんだろう?」と気になりますよね。
実際に、ココナッツオイルをアトピー性皮膚炎の肌に使った研究があります。
しかも、子どもを対象にした研究です。
では、本当にココナッツオイルはアレルギー症状に効くのでしょうか?
今回は、肌に塗った場合を中心に、食べた場合についても少しだけ調べてみました。
ここが大事
ココナッツオイルを肌に塗ることで、アレルギーそのものが治るとは分かっていません。
一方で、アトピー性皮膚炎の肌に使った研究では、皮膚の状態が改善したという結果があります。
「アレルギーそのものへの効果」と「アレルギーにともなう肌の状態への効果」は、分けて考えたほうがよさそうです。
ココナッツオイルを肌に塗った研究がある
まず、ここはちょっと意外でした。
2014年に、軽症から中等症のアトピー性皮膚炎がある子ども117人を対象に、バージンココナッツオイルを肌に使った研究があります。
ココナッツオイルを使うグループと、ミネラルオイルを使うグループに分けて、8週間にわたって比較しました。
その結果、ココナッツオイルを使ったグループでは、アトピー性皮膚炎の重症度を示すSCORADが大きく改善しました。さらに、皮膚から水分が逃げていく量を示すTEWLや、皮膚の水分状態にも改善が見られています。
つまり、「ココナッツオイルを肌に塗ったら、アトピー性皮膚炎の肌の状態が良くなった」という研究は実際にあるんです。
これは、「ココナッツオイルがアレルギーに良い」という話が、まったく何の根拠もなく出てきたわけではなさそうです。
でも、肌が良くなった=アレルギーが良くなった?
ここは少し分けて考えたほうがよさそうです。
アトピー性皮膚炎の肌が良くなったという研究結果はあります。ただ、それをそのまま「ココナッツオイルがアレルギーを抑えた」と考えるのは少し違います。
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下して乾燥しやすくなったり、外からの刺激を受けやすくなったりします。
乾燥してかゆくなると、つい掻いてしまいますよね。
すると肌がさらに傷ついて、またかゆくなる……。
こうした悪循環が、症状をつらくしてしまうことがあります。
だから、ココナッツオイルを塗ったことで肌の乾燥やバリア機能が改善し、それによってかゆみなどが楽になったのであれば、「アレルギーそのものが治った」というより、肌の状態が良くなったことで症状が軽くなったと考えるほうが自然です。
ここは分けて考えたい
| どういうこと? | |
|---|---|
| アレルギーそのものが改善 | アレルギー反応を起こす免疫の仕組みなどに変化が起こる |
| 肌の状態が改善 | 乾燥や皮膚バリアなどの状態が良くなる |
| かゆみが楽になる | 肌の状態が良くなった結果として、かゆみが軽くなることもある |
「アレルギーに効いた」という言葉だけを見ると、アレルギー体質そのものが変わったように感じます。
でも、実際には肌の状態を整えることで、つらい症状が楽になるということもあります。
この違いは結構大事です。
ココナッツオイルは肌のバリア機能と関係している?
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が重要になります。
皮膚のバリア機能が低下すると、水分が逃げやすくなり、外からの刺激も受けやすくなります。
そこで油分を補って、肌の状態を整える。
ココナッツオイルを使う理由の一つも、こうしたところにあります。
実際、先ほどの研究では、ココナッツオイルを使ったグループでTEWLなどの改善が確認されています。
単に「塗ったらしっとりした」という感覚だけではなく、皮膚の状態を測定して変化が確認されたというのは興味深いところです。
ただし、これだけで「ココナッツオイルがアレルギーを治療する」とまでは言えません。
ココナッツ由来の成分を使った研究もある
その後も、ココナッツ油などを原料とする成分を使った外用剤について、アトピー性皮膚炎との関係が研究されています。
2024年の研究では、ココナッツ油とヒマワリ油を由来とする成分を含んだエモリエント剤を使い、軽症から中等症のアトピー性皮膚炎に対する効果が調べられました。
かゆみや皮膚症状、外用ステロイドの使用量などに改善が見られています。
ただし、ここは注意が必要です。
これはココナッツオイルをそのまま肌に塗った研究ではありません。
ココナッツ油などを原料にした成分を含む外用剤についての研究です。
そのため、この結果だけを見て「普通のココナッツオイルを塗れば同じ効果がある」と考えることはできません。
こういうところは、研究で使われたものと家庭で使うものを分けて考えたほうがよさそうです。
「塗ったら楽になった」という体験談はどう考える?
ここは、実際に使った人の話をどう見るかという問題でもあります。
「ココナッツオイルを塗ったら、肌が落ち着いた」
「かゆみが少し楽になった」
そう感じる人がいたとしても、それだけでアレルギーが治ったとは言えません。
でも、だからといって「そんなの気のせい」と片付ける必要もないと思います。
乾燥していた肌が少し落ち着く。
かゆみが少し楽になる。
掻く回数が減る。
その結果、肌の状態もさらに落ち着いていく。
そんな流れは十分考えられます。
実際に、子どものアトピー性皮膚炎を対象にした研究でも、ココナッツオイルを使ったグループで皮膚の状態が改善しています。
だから「アレルギーを治す」という話ではなく、肌を整えることで結果的に症状が楽になる可能性として見ると、体験談と研究結果がつながりやすくなります。
ただし、ココナッツが合わない人もいる
ここは忘れないようにしたいところです。
ココナッツオイルは天然のものですが、だからといって誰の肌にも合うとは限りません。
そして、そもそもココナッツ自体がアレルゲンになることもあります。
2025年に発表された小児の研究では、IgEが関係するココナッツアレルギーの子ども41人が調べられ、そのうち9.8%にアナフィラキシーの経験がありました。
また、2022年の研究では、ココナッツミルクにアレルギーがある人の血液を調べたところ、未精製のココナッツオイルにも反応するアレルゲンが含まれている可能性が示されています。
つまり、
「油だからアレルギーとは関係ない」
とは言い切れません。
特にココナッツでアレルギー反応を起こしたことがある人は、肌に使う場合も自己判断で試さないほうが安心です。
ココナッツオイルを食べたらアレルギーにもいい?
ここは今回のメインではないので、少しだけ。
ココナッツオイルを食べると「健康に良い」「炎症に良い」といった話もあります。
ただ、ココナッツオイルを食べることで、アレルギーそのものが改善すると確認された十分な研究はありません。
ココナッツオイルに含まれる脂肪酸などと炎症との関係は研究されていますが、「食べればアレルギー症状が改善する」というところまで話を広げるには、まだ材料が足りません。
今回調べた範囲では、食べることよりも、肌に塗った場合のアトピー性皮膚炎についての研究のほうが具体的です。
結局、ココナッツオイルを肌に塗ったらアレルギー症状に効くの?
今回調べてみると、単純に「効く」「効かない」の二択ではなさそうでした。
ココナッツオイルを肌に塗ることで、アレルギーそのものが治るという根拠はありません。
一方で、アトピー性皮膚炎の子どもを対象にした研究では、バージンココナッツオイルを使うことで、皮膚の重症度や水分保持などに改善が見られています。
つまり、
「アレルギーを治す」という意味では、まだ分からない。
でも、
「アレルギーにともなう肌の状態を整える」という意味では、研究からも気になる結果が出ている。
このくらいの距離感で考えるのが、今のところ一番しっくりきます。
ココナッツオイルを塗ったことで肌の状態が良くなり、結果として乾燥やかゆみなどが楽になるのであれば、「アレルギーに効いた」と感じる人がいるのも不思議ではありません。
もちろん、すべての人に合うわけではなく、アレルギー治療の代わりになるものでもありません。
それでも、「アレルギーには効かないから意味がない」と切り捨てるのではなく、肌の状態を良くすることで症状が楽になる可能性があるものとして見ると、少し違った景色が見えてきます。
ココナッツオイルがアレルギーそのものにどう関係するのかは、まだ分かっていません。
でも、肌のバリア機能や炎症との関係については研究が続いています。
もしかすると、これから研究が進むことで、「なぜココナッツオイルで肌が楽になったと感じる人がいるのか」も、もう少し分かってくるのかもしれません。
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