最近、お風呂上がりや食事のあとに、子どもの肌が赤く腫れているようなことがある。よく見ると蕁麻疹が出ている。この前はすぐに治まったんだけど、だんだん範囲も広がってきて、なかなか治まらなくなってきた。さすがに病院に連れて行ったほうがいいのかな?
蕁麻疹は多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか?
蕁麻疹が出たからといって、食物アレルギーとは限りません。はっきりした原因が分からないことも多く、すぐに受診したほうがいいサインも決まっています。
結論:蕁麻疹は、皮膚の「肥満細胞(マスト細胞)」から「ヒスタミン」が出て起こる症状です。アレルギーが原因とは限らず、はっきりした原因が分からないことも多くあります。呼吸が苦しそう・のどがふさがる感じがあるときは、すぐに受診してください。
症状が2日以上続く・繰り返すときも、医療機関に相談してください(MSDマニュアルによる)。
「肥満細胞」から「ヒスタミン」の放出でおきる

蕁麻疹は、皮膚の真皮にある「肥満細胞」から「ヒスタミン」が放出されて起こります。ヒスタミンが血管に働いて血液の成分がもれ出すと皮膚が腫れ(膨疹)、同時に知覚神経を刺激してかゆみが生じます(日本臨床内科医会による)。
蕁麻疹には様々な種類がありますが、そのほとんどは、肥満細胞から出たヒスタミンが血管と神経に働くことで症状が現れます(日本皮膚科学会による)。アレルギーが原因の場合も、そうでない場合も、この仕組みは共通です。食べ物が原因のアレルギー性の蕁麻疹は、IgEを介して皮膚の肥満細胞が活性化されて起こります。くわしくは「1型(Ⅰ型)アレルギー|食物と花粉症は実は同じIgEの仕組み」で紹介しています。
蕁麻疹の特徴は、皮膚の一部が突然、赤くくっきりと盛り上がり、一つ一つの皮疹は数十分から数時間以内に、跡かたなく消えるのが普通ということです。蚊に刺されたときの皮膚の変化によく似ていますが、虫刺されは数日しこりが残ったり、掻いているうちにジクジクしたりすることがあります。数時間以内に跡かたなく消えるなら、蕁麻疹の可能性が高いとされています。一度出た皮疹が何日も残り、茶色い色がついたり、表面がガサガサしたりする場合は、蕁麻疹とは別の病気と考えられます(日本皮膚科学会による)。
| アレルギー性 | 非アレルギー性 | |
|---|---|---|
| 主な原因 | エビ・カニ・そば・果物などの食べ物。薬や虫刺されなども原因になる | 汗・寒さや熱・圧迫・日光などの物理的な刺激、疲れ、ストレスなど |
| 特徴 | 特定の食べ物を食べると必ず出る。皮膚検査や血液検査で、比較的簡単に原因が分かる | 同じ食べ物でも、材料やその日の体調で、出たり出なかったりする。皮膚や血液の検査では原因が分からない |
「蕁麻疹=食物アレルギー」とは限らない

多くの方が「蕁麻疹が出た=食物アレルギー」と考えがちですが、実際には、そうとは限りません。急性の蕁麻疹でも半分以上ははっきりした原因が分からず、慢性の蕁麻疹では、ほとんどの場合で原因が特定できないとされています(MSDマニュアルによる)。
食べ物が関わる場合でも、アレルギーとは限りません。サバやアジなどの青魚、豚肉をはじめとする肉類、タケノコ、ほうれん草などでは、食品に含まれるヒスタミン様物質が直接血管に働いたり、ヒスタミンを遊離させやすい成分が含まれていたりして、アレルギーとは別の仕組みで蕁麻疹が起こることがあると、日本皮膚科学会は説明しています。
また、何週間も続けて毎日のように出たり消えたりする蕁麻疹では、食べ物が原因になっていることはほとんどないとされています(日本皮膚科学会による)。食物による蕁麻疹は、特定の食物を食べたときにだけ症状が出ることが多いので、まずは「何を食べたか」「どんな状況で出たか」を振り返ってみてください。多くの場合、原因となった食物を予想できるとされています。
アレルギー性の蕁麻疹は、特定のもので繰り返し出る

特定の食品を食べると必ず蕁麻疹が出るのは、アレルギー性の蕁麻疹の特徴の一つです。食べ物では、エビ・カニ・そば・果物などによるものは、アレルギー性が多いようです。これらの食品に含まれるアレルゲンがIgEを介して皮膚の肥満細胞を活性化することで起こります(日本皮膚科学会による)。
アレルギー性の場合は、疑わしい食品やそのエキスを使った皮膚検査、または血液検査で、比較的簡単に原因を突き止められるとされています。一方、非アレルギー性の仕組みで起こる蕁麻疹は、食品の食べ方や量、消化管からの吸収のされ方に大きく影響されるため、皮膚や血液の検査では原因を明らかにできません(日本皮膚科学会による)。
果物では、花粉との関係で起こるものもあります。くわしくは「果物で口がイガイガ|花粉-食物アレルギー症候群は17歳で1割」で紹介しています。
食べ物以外のきっかけもある
急性の蕁麻疹で原因が特定できる場合には、食品アレルギー(卵・魚・貝・ナッツ類・果物など)のほか、薬(特に抗菌薬)、虫刺され、圧迫・寒さ・熱・日光などの物理的な刺激があげられています(MSDマニュアルによる)。
汗・摩擦・寒暖差でも出る|非アレルギー性の蕁麻疹

アレルギーではないきっかけでも、蕁麻疹は起こります。皮膚への直接的な刺激として、摩擦・圧迫・温度変化・日光・発汗などがあげられています(日本臨床内科医会による)。
- 入浴や運動などで体が温まったとき、緊張して汗をかいたとき
- 摩擦・圧迫・温度変化・日光などの物理的な刺激
- 感染症や疲れ、ストレス
特にお風呂上がりなどに見られる、1〜4mm程度の小さなブツブツは「コリン性蕁麻疹」と呼ばれるものです。入浴や運動で体が温まったときや、精神的な緊張で汗が出るときに現れ、大部分は30分〜1時間以内に消えていきます。小児から20歳代に発症のピークがあり、年を取るにつれて軽くなることが多いようです。かゆみがないか、あってもわずかであれば、放置しても構わないとされています。もし何日も続くようであれば、蕁麻疹ではなく、アセモや湿疹など他の病気を考える必要があります(日本皮膚科学会による)。
ストレスや疲れでも蕁麻疹は出る
「食べ物にも触れていないのに蕁麻疹が出た」というとき、ストレスや疲れが関わっていることがあります。こころと体のストレスは、一定の限度を超えると症状を悪化させることがあり、蕁麻疹も例外ではないとされています。特に、毎日のように繰り返す慢性の蕁麻疹では、心身のストレスで症状が悪化することが多いようです(日本皮膚科学会による)。
実際に、職場や家庭の環境の変化をきっかけに蕁麻疹が出るようになったり、逆に、毎日出ていた蕁麻疹が環境の変化のあとに出なくなったりすることもあります。日本皮膚科学会は、皮膚以外に体の異常が見つからない場合、自分では気づかない過度なストレスに対する体からの信号と受け止め、生活を振り返る機会とするのもよい、としています。
生活上の注意点としては、疲労やストレスをためないこと、魚介類や肉類はできるだけ新鮮なものをとること、防腐剤や色素を含む食品を控えめにすることがあげられています(日本皮膚科学会による)。
まぶたや唇が大きく腫れる

朝起きたら、まぶたや唇だけが大きく腫れていた——これは蕁麻疹の特殊なタイプの、「血管性浮腫(クインケ浮腫)」かもしれません。
通常の蕁麻疹は皮膚のごく浅い血管が反応するのに対し、血管性浮腫は皮膚の深いところの血管が反応します。そのため、境界のはっきりした膨疹ではなく、赤みもあまりはっきりしない腫れとして現れます。目やまぶたをはじめとする顔に出やすい傾向がありますが、手・腕・足に起こることもあります。かゆみがなく、一度現れると消えるまでに2〜3日かかることがあります(日本皮膚科学会による)。
通常の蕁麻疹と同じ仕組みで起こるものと、血液中の「C1インヒビター」というたんぱく質の働きが弱いために起こるものがあり、血液検査である程度まで調べることができます。
蕁麻疹との違いや、くわしい原因・対処法は「まぶたや唇の突然の腫れ|クインケ浮腫(血管性浮腫)とは」で紹介しています。
蕁麻疹そのものは、一部の例外を除いて遺伝しない

結論からいうと、蕁麻疹は他の人にうつることはなく、ごく一部の例外を除いて遺伝もしません。例外として、寒冷蕁麻疹の一部と血管性浮腫の一部は遺伝するとされ、原因遺伝子の解明が進んでいます(日本皮膚科学会による)。
アレルギー性の蕁麻疹の場合、様々な物質にアレルギー反応を起こしやすい体質(アトピー)は、ある程度遺伝する傾向があります。ただし、具体的にどの物質でアレルギーが起こるかは、その人の生活環境によって決まります。たとえば、両親がそばアレルギーでも、子どもが必ずそばアレルギーになるわけではありません(日本皮膚科学会による)。
まずは応急処置をしましょう

蕁麻疹が出たときは、次のような対応を心がけてください(日本臨床内科医会による)。
| 対処法 | ポイント |
|---|---|
| 掻かない | ボリボリ掻くと、かえって刺激になって、新たなかゆみを引き起こす |
| 冷やす | かゆみは冷やすと和らぐ。よく絞った冷たいタオルをあててみる |
| 爪の手入れ | 爪をこまめに切り、やすりで角を落としておく。手袋をして眠るのも一つの方法 |
なお、外用薬はかゆみを多少軽くする程度で、あまり大きな効果は期待できません。明らかな効果が期待できるのは、抗ヒスタミン薬などの内服薬や注射薬です(日本皮膚科学会による)。
すぐに受診・救急要請すべきサイン

蕁麻疹の多くは皮膚の症状だけで治まりますが、まれに命に関わる「アナフィラキシー」の一部として現れることがあります。MSDマニュアルでは、次のように示されています。
すぐに救急対応が必要
- 呼吸が苦しい、ゼーゼー(喘鳴)する
- のどがふさがりつつあるように感じる
できるだけ早く受診
- 症状が重い
- 力が入らない、ふらつく、重い発熱がある
- 嘔吐、腹痛、下痢がある
アナフィラキシーについては「食物アレルギーの症状|気を付けたいアナフィラキシーの緊急対応」、食後の症状の見分け方は「食物アレルギーの症状ベスト5|食後のこんな様子は要注意」で紹介しています。
こうした症状がなくても、蕁麻疹が2日以上続く場合や、原因となりそうなものに触れていないのに繰り返す場合は、医療機関を受診するよう、MSDマニュアルは示しています。一方で、子どもに蕁麻疹が突然出てすぐ消え、再発しない場合は、医師の診察はたいてい不要とされています(原因は多くの場合ウイルス感染)。
急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹の違いは?

蕁麻疹は、症状が続く期間によって「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」に分けられます。
| 急性蕁麻疹 | 慢性蕁麻疹 | |
|---|---|---|
| 続く期間 | 最初の症状が出てから1か月以内 | 1か月以上続くもの |
| 原因 | 感染症や疲労などが背景にあることもあるが、半分以上は原因が分からない | ほとんどの場合、原因が特定できない |
| 経過 | たまたま一度だけ出るか、繰り返しても1か月以内に出なくなることがほとんど | 数か月〜数年にわたり、出たり消えたりを繰り返すことも珍しくない |
- この期間の目安は、資料によって異なります。日本皮膚科学会と日本臨床内科医会は「1か月」、MSDマニュアルは「6週間」を目安にしています。
ずっと症状が出ているという意味ではなく、出たり治まったりを繰り返しながら、その状態が続く場合も、慢性蕁麻疹に含まれます。慢性蕁麻疹では、多くが夕方から夜にかけて現れ、翌朝から翌日の午前中ごろには消え、また夕方から出始める、という経過をとります。最近の研究では、自分自身の血液の中に、皮膚の肥満細胞を活性化するたんぱく質(自己抗体)がある例も明らかになっています(日本皮膚科学会による)。
治療は、まず原因や悪化させる要因をできるだけ探して取り除く・避けることが第1、第2が薬による治療です。ヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン薬などが、蕁麻疹の種類によらず効果を期待できます。慢性の蕁麻疹では、薬で症状は抑えられても、中止すると再発することが多く、長期にわたり飲み続ける必要があります。ただし、症状をうまくコントロールできれば、徐々に薬を減らし、最終的には中止できることがほとんどです(日本皮膚科学会による)。
一部の人では、甲状腺の病気、ウイルス性肝炎、胃炎などが背景にあって蕁麻疹が起こりやすくなっていたり、膠原病や血管炎などの全身の病気の一部として蕁麻疹が現れたりすることもあります。しかし、大部分の蕁麻疹は内臓の病気と関係ありません。皮膚症状のほかに、全身のだるさ、関節の痛み、発熱などがある場合は、内臓の病気を疑って詳しい検査が必要とされています。一方、自覚できる症状が皮膚だけなら、何か月から何年か続いたあと、ほとんどの場合は、やがておさまっていきます(日本皮膚科学会による)。
まとめ
蕁麻疹は、肥満細胞から出るヒスタミンで起こる皮膚症状で、アレルギー性・非アレルギー性のどちらもあります。
- 仕組みは同じでも、アレルギー性は「特定のもので必ず出る」、非アレルギー性は「出たり出なかったりする」という違いがある
- はっきりした原因が分からないことも多く、「蕁麻疹=食物アレルギー」とは限らない
- まずは、掻かない・冷やすなどで様子を見る
- 呼吸が苦しい・のどがふさがる感じがあるときは、すぐに救急対応
- 2日以上続く・原因が思い当たらず繰り返すときは、医療機関を受診する
「蕁麻疹=食物アレルギー」と決めつけず、原因が分からないことも多いと知っておくと、必要以上に不安にならずに済むと思います。日頃の対処法(掻かない、冷やす)と合わせて、いざというときの判断材料として覚えておいていただけたらと思います。
「へっちゃら」まっさんより
うちの息子は蕁麻疹は出ないのですが、ワタクシまっさん自身が、いろんな場面で蕁麻疹が出ることがあります。
夏場に日光を浴びすぎたときや、精神的・身体的にストレスが極度にたまったときなどに出ることがあり、クインケ浮腫を発症することもあります。
いずれも食物アレルギーと関連するような心当たりはなく、直接的な原因がはっきりしないこともあります。特に夏場は、日光が当たっていないところにも蕁麻疹が出ることがあり、これが結構つらいんですよね。(汗)
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