「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
春になると、天気予報で「今日は黄砂が飛来するでしょう」と聞くことがあります。
すると、
「今日は花粉も多いし、黄砂も来るのか……」
と、鼻や目の症状が心配になる人もいますよね。
実際、黄砂が飛んだ日に、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが増えることはあるようです。
では、これは黄砂そのものにアレルギー反応を起こしているのでしょうか?
それとも、花粉症などが黄砂によって悪化しているのでしょう。
黄砂が飛ぶと、アレルギー症状は増える?
まず、ここは研究で実際に調べられています。
環境省がまとめた研究では、黄砂の濃度が高い日に、鼻・目・胸の症状を訴える人が増える傾向が確認されています。
さらに興味深かったのが、スギ花粉症のある人ほど黄砂の影響を受けやすかったことです。
花粉が飛んでいる時期には、黄砂の濃度が高くなるほど症状が出る人が増える傾向が見られました。環境省の資料では、黄砂はそれ自体が症状を起こすというより、いわば「火に油」のような役割をしている可能性が示されています。
黄砂とアレルギー症状の研究で見えてきたこと
・黄砂が多い日に症状が増える傾向がある
・スギ花粉症のある人では影響を受けやすい
・花粉が飛んでいる時期には、その傾向が強く見られる
つまり、「黄砂が飛んだから症状が出た」と感じても、黄砂だけが原因とは限らないわけです。
黄砂そのものに反応している可能性は?
ここで、もう一つ気になる研究があります。
2014年に日本で行われた研究では、アレルギー性鼻結膜炎の患者さんと健康な人を対象に、黄砂に対する皮膚プリックテストが行われました。
すると、アレルギーのあるグループでは、未処理の黄砂に対する陽性反応が健康なグループより多く見られました。
一方で、黄砂を加熱処理したものや、黄砂に含まれる成分の一つである二酸化ケイ素だけを使った場合では、反応は小さくなっています。さらに、黄砂への反応は植物の花粉や真菌への反応とも関連していました。
研究者は、黄砂が花粉や真菌など、吸い込んだアレルゲンによるアレルギー反応を促進する「アジュバント」のように働く可能性を示しています。
ここから見えてくるのが、
「黄砂そのものがアレルゲンなのか?」
という最初の疑問に対する、少し複雑な答えです。
黄砂に対して反応する人がいる可能性は研究されています。
でも、それだけで「黄砂アレルギー」という病気が確立している、と考えるのは早いようです。
黄砂は「アレルギーを起こすもの」より「反応を強めるもの」?
これまでの研究を見ると、かなり気になる共通点があります。
黄砂が飛んだ日にアレルギー症状が増える。
しかも、花粉症の人ほど影響を受けやすい。
さらに、黄砂が花粉などによるアレルギー反応を強める可能性も研究されています。
つまり、
花粉 + 黄砂
という組み合わせが問題になる可能性があります。
実際、日本のスギ花粉症患者41人を調べた研究では、黄砂の飛来によって、スギ花粉が本格的に飛び始める前の時期には、くしゃみや鼻水が増加しました。また、花粉シーズン後には目の症状も増えています。
ただし、この研究ではスギ花粉が大量に飛んでいる時期には、黄砂による鼻や目の症状への影響は確認されませんでした。
黄砂が飛べば必ず症状が悪化する、という単純な関係ではないことも分かります。
どうして黄砂で反応が強くなるの?
黄砂は、砂漠などから巻き上げられた土壌や鉱物の粒子が、偏西風に乗って日本まで運ばれてくるものです。
その途中で、さまざまな物質が付着することもあります。
研究では、黄砂に含まれる粒子だけでなく、付着した微生物由来の成分や大気中の物質などが、炎症や免疫反応に影響する可能性が調べられています。
つまり、黄砂は単純な「砂ぼこり」だけではありません。
花粉などのアレルゲンと一緒に吸い込んだとき、鼻や目などの粘膜で起こる反応に影響している可能性があります。
最近の研究では、目への影響も
さらに新しい研究では、スギ花粉に反応するマウスを使って、黄砂がアレルギー性結膜炎に与える影響が調べられています。
スギ花粉だけの場合と比べ、スギ花粉と黄砂を組み合わせた場合には、目の充血や腫れが強くなり、IgEの上昇や炎症細胞の浸潤も増加しました。
これは人間を対象にした研究ではありません。
それでも、「黄砂が花粉によるアレルギー反応を強める」というこれまでの研究を考えるうえで、仕組みを探る材料になっています。
ここまでの研究を整理すると
疑問 現在分かっていること 黄砂でアレルギー症状は増える? 増える傾向が報告されている 花粉症の人は影響を受けやすい? その傾向が報告されている 黄砂そのものがアレルゲン? 可能性は研究されているが、単純には言えない 黄砂が花粉などの反応を強める? その可能性を示す研究がある
「黄砂アレルギー」と呼んでもいい?
ここまで調べると、「黄砂アレルギー」という言葉が使われる理由も分かります。
黄砂が飛んだ日に鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが出れば、本人からすると「黄砂でアレルギーが出た」と感じても不思議ではありません。
ただ、医学的には、
黄砂そのものに対するアレルギーなのか
花粉など別のアレルゲンによる症状を黄砂が強めているのか
を分けて考える必要があります。
現在の研究からは、後者を示す材料がかなりあります。
だから「黄砂アレルギー」という言葉だけで、花粉症と同じような独立したアレルギー疾患だと考えるのは適切ではありません。
黄砂が多い日は、どうすればいい?
黄砂と花粉の両方が気になる時期には、できるだけ体に入れないことが基本になります。
環境省の研究では、黄砂が飛んでいる日に屋外で過ごす時間が長いほど、症状が出る人が増える傾向も確認されています。
そのため、症状が出やすい人は黄砂の飛来情報を確認し、飛来が多い日は不要な長時間の外出を控える、帰宅後に衣服や髪についたものを落とす、室内に持ち込まないようにするといった対策が考えられます。
黄砂でアレルギー反応は出るの?
今回調べた研究から分かるのは、黄砂が飛んだ日にアレルギー症状が増えることはあり、その影響は特に花粉症のある人で目立つことがあるということです。
一方で、「黄砂そのものが花粉と同じようなアレルゲンで、黄砂アレルギーという病気を起こしている」とまでは言えません。
むしろ現在の研究では、黄砂が花粉などによるアレルギー反応に影響し、症状を強める側面が注目されています。
「黄砂アレルギー」という名前だけを見ると、黄砂そのものが原因のように感じます。
でも実際には、黄砂と花粉などが重なったときに、アレルギー反応が強くなる可能性がある。
このほうが、現在分かっている研究には近いようです。
※本記事は、現時点で公開されている情報をもとに、できるだけわかりやすくまとめたものです。医師による診断・治療に代わるものではなく、医学的な助言を目的としたものでもありません。症状やアレルギーについてご不安な点、気になる症状がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。緊急性の高い症状が見られる場合は、直ちに救急要請または医療機関を受診してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
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