「新しい洗剤に変えたらすぐ肌が赤くなった」「マスクをつけていると頬がヒリヒリする」「同じ服を着ているのに、この子だけ痒がる」——そんな様子を見て、「うちの子は敏感肌なのかな」と感じたことはありませんか?
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎のあるお子さんは、こうした「肌の敏感さ」を併せ持っていることが少なくありません。今回は、そもそも「敏感肌」とはどういう状態を指すのか、そしてアレルギー体質の子がなぜ敏感肌になりやすいのか、日常のきっかけと対策も含めてお伝えしていきます。
そもそも「敏感肌」とはどんな状態?
実は、「敏感肌」という言葉は医学用語でも学術用語でもなく、明確な定義があるわけではありません。皮膚科学的な正式な病名ではなく、一般に使われている通称なのです。
一般的には、「外部からの刺激に対して過剰に反応しやすい肌の状態」を指して使われます。具体的には、次のような症状が挙げられます。
- 化粧品や日焼け止め、洗剤などがしみる・ヒリヒリする
- ちょっとしたことで赤みが出る
- かゆみやムズムズ感を感じやすい
- 同じ製品を使っても、他の人は平気なのに自分(我が子)だけ荒れる
ここで押さえておきたいのが、「敏感肌」は乾燥肌・脂性肌・普通肌といった「肌質(肌タイプ)」とは別のカテゴリーだという点です。肌質は水分量や皮脂量のバランスで決まる比較的固定的な分類ですが、敏感肌は「刺激に弱くなっている状態(コンディション)」であり、体調や季節、環境によって変動します。つまり、どの肌質のお子さんにも「敏感肌の状態」は起こり得るということです。
なぜアレルギー体質の子は敏感肌になりやすいのか
敏感肌の主な原因として考えられているのが、肌の「バリア機能」の低下です。肌には、外からの刺激の侵入を防ぎ、体内の水分を保持する働き(バリア機能)が備わっていますが、この働きが弱まると、普段なら何ともない刺激にも過敏に反応しやすくなります。
アレルギー体質のお子さんの場合、このバリア機能が生まれつき弱い傾向があることが分かっています。皮膚の角層を丈夫にする「フィラグリン」というタンパク質を作る遺伝子に変異があると、バリア機能がうまく働かず、敏感肌や乾燥肌になりやすいことが報告されています。フィラグリン遺伝子変異は、アトピー性皮膚炎だけでなく、アレルギー性鼻炎や喘息とも関連が深いとされ、アレルギー体質全体と肌の弱さが、根っこの部分でつながっていることも少なくありません。
とはいえ、遺伝的な背景だけがすべてではありません。次の章でお伝えするような、日常の中の「きっかけ」が重なることで、敏感な状態が引き起こされたり悪化したりすることも多いのです。
敏感肌になりやすい日常のきっかけ
お子さんの敏感肌は、次のようなタイミングで表面化しやすい傾向があります。
マスクによる摩擦・蒸れ
マスクの内側は呼気の水分でムレやすく、高温多湿な状態になります。角質層が水分を含みすぎてふやけると、逆にバリア機能が低下し、わずかな刺激にも過敏に反応しやすくなります。加えて、会話や表情の変化でマスクと肌がこすれる摩擦も、刺激の原因になります。
汗・あせも
特に乳幼児は体の大きさに対して汗腺の密度が高く、動きも活発なため汗をかきやすい体質です。汗が肌に長時間残ると、あせも(汗疹)やかゆみの原因になります。
季節の変わり目・乾燥
子どもの肌はもともと皮脂の分泌が少なく、大人に比べて乾燥しやすい状態にあります。特に空気が乾燥する季節は、バリア機能がさらに低下し、外部刺激に敏感になりやすくなります。
新しい製品への切り替え
洗剤や柔軟剤、日焼け止め、スキンケア用品を新しいものに替えたタイミングは、肌に合わないことに気づきやすいポイントです。特に香料や、初めて使う成分が含まれる製品は注意して様子を見てあげてください。
プール・水遊び
プールの塩素や、水遊びの後の濡れたままの肌は、乾燥や刺激の原因になりやすいです。上がった後にしっかり洗い流し、保湿することが大切です。
敏感肌への対策の基本
こうした「肌が敏感になりやすい」体質・状態に対しては、次のような対策が基本になります。
- 新しい製品はパッチテストをしてから:二の腕の内側などに少量つけて、24時間ほど様子を見てから顔や広範囲に使う
- 低刺激・無香料の製品を選ぶ:香料や特定の添加物が刺激になることがあるため、敏感肌向けの製品を選ぶと安心です
- 汗・マスクの摩擦のあとはこまめにケア:汗をかいたらシャワーで流す、マスクを外したら保湿するなど、刺激が続く時間を短くする
- 保湿でバリア機能をサポートする:季節を問わず、日々の保湿を続けることが、敏感な状態を落ち着かせる一番の基本です
具体的な保湿の方法やスキンケアの手順については、別記事(アトピーのスキンケア)で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
「敏感肌」で片付けず、気になるときは皮膚科へ
「敏感肌」はあくまで一般的な状態を指す言葉であり、医学的な診断名ではありません。赤み・かゆみ・湿疹が続く、範囲が広がる、繰り返すといった場合は、単なる「肌が敏感」というだけでなく、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎など、治療が必要な状態が背景にあることもあります。
「敏感肌だから仕方ない」と自己判断で済ませず、症状が長引くときは、一度皮膚科を受診して、正確な状態を確認してもらうことをおすすめします。
まとめ
「敏感肌」は医学的な定義がある言葉ではなく、外部の刺激に過剰に反応しやすい肌の状態を指す一般的な呼び方です。アレルギー体質のお子さんは、生まれつき肌のバリア機能が弱い傾向があることに加え、マスクの摩擦や汗、季節の変わり目、新しい製品との相性など、日常のさまざまなきっかけで敏感な状態が表面化しやすくなります。
パッチテストや低刺激な製品選び、こまめな保湿といった基本のケアを続けつつ、症状が長引くときは自己判断せず皮膚科に相談してみてくださいね。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報源
- 敏感肌ってどんな肌?敏感肌を健やかにととのえる方法|ロート製薬
- マスクかぶれによる肌荒れ・かゆみの治し方|こばとも皮膚科
- 赤ちゃん・子どものお肌に起こりがちな皮膚トラブルとセルフケア|第一三共ヘルスケア
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