「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「MCTオイルは免疫に良いらしい」
「腸内環境が整うから、アレルギーにも良いのでは?」
健康食品として注目されることの多いMCTオイル。ダイエットやエネルギー補給のイメージが強い一方で、ネット上では「免疫を整える」「腸に良い」といった話から、アレルギーとの関係を気にする人もいるようです。
では、MCTオイルを摂ればアレルギーは改善するのでしょうか。
今回は、MCTオイルとアレルギーの関係について調べてみました。
ここが気になる
MCTオイルがアレルギーそのものを改善するといえる十分な人での科学的根拠は、今のところありません。
一方で、MCTが腸での免疫反応や食物アレルギーに影響する可能性を調べた研究はあります。
しかも、マウスを使った研究では、MCTとアレルゲンを一緒に摂取したことで、アレルギー反応が強くなったという、ちょっと意外な結果も出ています。
MCTオイルって、そもそも何?
MCTは「中鎖脂肪酸」からなる油脂です。
一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸と比べて、消化・吸収されやすく、エネルギーとして利用されやすい特徴があります。
そのため、MCTは栄養補給や、脂肪の消化・吸収に問題がある場合など、特定の目的で利用されることがあります。
ただし、
エネルギーとして利用されやすい
=
アレルギーに良い
ということにはなりません。
ここを混同しやすいのが、このテーマです。
MCTオイルが免疫に影響する研究はある
MCTと免疫の関係については、まったく研究されていないわけではありません。
実際、MCTを含む脂肪が、腸での免疫反応や食べ物に対する反応に影響する可能性を調べた研究があります。
ところが、ここで少し意外な結果があります。
マウスを使った研究では、食物アレルゲンとなるタンパク質をMCTと一緒に摂取させた場合、アレルギー感作が促進され、再びアレルゲンを摂取した際の反応も強くなったという結果が報告されています。
つまり、この研究だけを見ると、
「MCTは免疫を整えるからアレルギーに良い」
という単純な話とは、むしろ逆方向の結果です。
ただし「MCTオイルを飲むとアレルギーが悪化する」とも言えない
ここは非常に重要です。
先ほどの研究はマウスを使った研究です。
人が日常的にMCTオイルを摂取した場合に、食物アレルギーが増えたり、アレルギー症状が悪化したり、アナフィラキシーが起こりやすくなったりすることを証明した研究ではありません。
動物実験の結果を、そのまま人に当てはめることはできません。
そのため、「MCTオイルはアレルギーに悪い」と断定することもできません。
ただ少なくとも、この研究は「MCTオイルは免疫に良いから、アレルギーにも良いはず」というイメージを、そのまま科学的根拠として使うことはできない、と考える材料にはなります。
「腸に良い」=「アレルギーに良い」ではない
MCTオイルがアレルギーに良いと言われる背景には、「腸」の存在もありそうです。
近年、腸と免疫の関係が注目されているため、
腸に良い
↓
免疫に良い
↓
アレルギーにも良い
というイメージが作られやすいのかもしれません。
でも、この3つはすべて同じ意味ではありません。
腸と免疫が関係していることと、特定の油を摂ることでアレルギーが改善することは別の話です。
MCTオイルは、アレルギー治療薬ではありません。
「腸に関係するから」「免疫に関係する可能性があるから」という理由だけで、アレルギー改善効果まで期待することはできません。
MCTは食物アレルギー用の特別な油?
MCTが、医療や栄養管理の場面で使われることがあるのは事実です。
例えば、脂肪の消化や吸収に問題がある場合など、特定の病気や状態に合わせてMCTを利用することがあります。
また、一部の特殊な栄養製品や乳児用の製品にもMCTが含まれることがあります。
ここで、
食物アレルギーの人向けの製品にMCTが使われることがある
ことと、
MCTそのものが食物アレルギーを治す
ことは、まったく別です。
栄養製品では、MCTだけではなく、使用されているタンパク質の種類なども重要になります。
「アレルギー対応の食品に入っているから、アレルギーに効く」という考え方はできません。
MCTオイル自体にアレルギーを起こす可能性は?
一般的なMCTは、ココナッツ油やパーム核油などを原料として作られることがあります。
そのため、「ココナッツ由来なら、ココナッツアレルギーの人は使えないの?」と気になる人もいるでしょう。
MCTは製造過程で精製された油脂で、アレルギー反応の原因になりやすいタンパク質とは別の成分です。
過去の毒性評価レビューでは、MCT自体について皮膚感作を起こす性質は確認されていないとされています。
ただし、これは「すべての人に絶対安全」という意味ではありません。
原料や製品によって成分や製造方法は異なりますし、個別の食物アレルギーがある場合は、自己判断せず製品情報を確認したほうが安心です。
「アレルギーに良いから飲む」はおすすめできる?
現時点では、アレルギーを改善する目的でMCTオイルを積極的に飲むだけの根拠は十分ではありません。
MCTオイルには、エネルギーとして利用されやすいなどの特徴があります。
しかし、それはアレルギー改善効果を意味するものではありません。
むしろ動物実験では、食物アレルゲンと一緒に摂取した場合の免疫反応について、注意が必要とも考えられる結果が報告されています。
だからといって、MCTオイルを怖がる必要があるわけでもありません。
大切なのは、
「健康に良い油」
と
「アレルギーに効果がある油」
を同じ意味として扱わないことです。
まとめ
MCTオイルは、消化・吸収されやすく、エネルギーとして利用されやすい特徴を持つ油です。
ただ、MCTオイルがアレルギーを改善することを示す十分な科学的根拠は、現時点ではありません。
また、動物実験では、MCTが食物アレルゲンに対する感作やアレルギー反応に影響したという、少し意外な結果も報告されています。
もちろん、この結果だけで「MCTオイルは人のアレルギーに悪い」と断定することはできません。
ただ、「免疫に良さそうだから、アレルギーにも良いはず」と考えるほど、話は単純ではなさそうです。
MCTオイルについて言えるのは、アレルギーに良いと証明された油ではないということ。
その一方で、研究を見ていくと、「脂肪の種類によって、食べ物に対する免疫反応が変わる可能性がある」という、まだ研究途中の面白いテーマでもあります。
今後、人を対象にした研究が増えてくれば、MCTオイルとアレルギーの関係も、もう少し見えてくるのかもしれません。
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