「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「髪の毛を少し送るだけで、何のアレルギーがあるか分かる」
そんな検査を見かけたことがある人もいるかもしれません。
採血も注射も必要なく、髪の毛を送るだけ。
小さな子どもでも痛みがないため、
「これでアレルギーが分かるなら便利なのでは?」
と思いますよね。
では、本当に毛髪だけでアレルギー検査はできるのでしょうか。
結論:毛髪を使った検査はあるが、アレルギー診断として確立しているわけではない
結論からいうと、髪の毛を送ってアレルギーや食物不耐性を調べるとうたう民間検査は存在します。
しかし、毛髪分析によって食物アレルギーなどを診断できるという方法は、標準的なアレルギー検査として確立していません。
英国のNICE(国立医療技術評価機構)は、子どもの食物アレルギー診断において、毛髪分析を含む代替的な検査方法を推奨していません。理由として、これらの検査が有効であることを示す証拠が非常に少ないことを挙げています。
また、NHS informも、毛髪分析によって食物アレルギーを調べる検査について、科学的な原理が証明されておらず、独立した評価で信頼性が低いとされた方法の一つとして挙げています。
つまり、
「毛髪を使った検査が存在する」
ことと、
「毛髪でアレルギーを診断できる」
ことは別の話です。
そもそも、なぜ髪の毛で分かると言われるの?
ここが一番気になるところです。
毛髪検査をうたうサービスの中には、髪の毛から、
- 食物への反応
- 食物不耐性
- 体に合わない食品
- アレルギーの可能性
などを調べられると説明するものがあります。
しかし、一般的なアレルギー検査では、体が特定の物質に対してどのような免疫反応を起こしているかを確認します。
例えば、代表的な検査には、
- 皮膚プリックテスト
- 血液検査による特異的IgE検査
- パッチテスト
- 必要に応じた食物経口負荷試験
などがあります。
アレルギーの専門団体であるAAAAIも、アレルギー検査では症状や病歴を確認したうえで、皮膚検査や血液検査などを組み合わせて判断すると説明しています。
一方で、
髪の毛のどの成分を、どのように調べれば、特定の食物へのアレルギーが分かるのか
について、標準的なアレルギー診断として確立された方法はありません。
髪の毛は「何でも分かる魔法の検体」ではない
ここは少し誤解されやすいところです。
毛髪を使った科学的な検査そのものはあります。
例えば、毛髪から薬物などを調べる検査がありますし、日本毛髪科学協会でも、毛髪や毛根の状態、毛髪の損傷などを調べる検査を行っています。
つまり、
毛髪検査そのものが全部ニセモノ
という話ではありません。
問題は、
「毛髪を使って何を調べるのか」
です。
薬物を調べることと、毛髪から食物アレルギーを診断することは、まったく別の技術です。
「髪の毛から何かを調べられる」ことを理由に、「髪の毛からアレルギーも分かる」と考えることはできません。
食物アレルギーは、検査結果だけで決まらない
実は、通常のアレルギー検査でも、数字だけで診断が決まるわけではありません。
例えば血液検査で特定の食品に対するIgE抗体が検出されても、
実際にその食品を食べて症状が出るとは限らない
ことがあります。
そのため、医療機関では、
- どんな食品を食べたか
- どのくらい食べたか
- どのような症状が出たか
- どのくらいの時間で症状が出たか
- 皮膚検査や血液検査の結果
などを合わせて判断します。
つまり、通常の検査でさえ、
「検査結果に反応があった=食べてはいけない」
と単純には決められません。
まして、アレルギー診断として十分に確立されていない毛髪検査だけで食事を大きく制限することには注意が必要です。
毛髪検査で「あなたは○○に反応しています」と言われたら?
ここが、この検査で最も注意したいポイントかもしれません。
例えば、毛髪検査で、
- 卵
- 牛乳
- 小麦
- 大豆
などについて「反応あり」と表示されたとします。
その結果を信じて、これらをすべて食事から除去してしまうとどうなるでしょうか。
本当はアレルギーではなかった食品まで避けることになる可能性があります。
特に子どもの場合、自己判断による食品除去は栄養面にも影響するため注意が必要です。
NICEも、食物アレルギーの診断では症状の経過や食事内容などを確認し、必要に応じて皮膚プリックテストや血液検査を用いることを推奨しています。一方で、毛髪分析のような代替検査は推奨していません。
「痛くない検査だから良い」とは限らない
毛髪検査が魅力的に見える理由の一つは、
痛くない
ことでしょう。
特に子どもの採血を考えると、
「髪の毛だけで分かるなら、そのほうがいい」
と思うのは自然です。
しかし、検査では、
痛みがないこと
と、
正しく原因を調べられること
は別です。
たとえ痛みがなくても、結果の信頼性が低ければ、
- 必要のない食品除去
- 間違った自己判断
- 本当の原因を見逃す
といった問題につながる可能性があります。
「楽に検査できる」というメリットだけでは、検査の価値は判断できません。
毛髪アレルギー検査は完全に意味がない?
現時点では、アレルギー診断を目的とした毛髪検査については、標準的な医学的検査として信頼できる方法とはいえません。
これは、
毛髪に関する科学的検査がすべて意味がない
という意味ではありません。
また、
髪の毛から将来どんな医学的情報も調べられない
という意味でもありません。
科学技術は進歩するため、将来的に毛髪を使った新しい検査技術が開発される可能性まで否定するものではありません。
ただ、現在「毛髪を送るだけで食物アレルギーが分かる」とされる検査については、アレルギー診断として確立されたものではないという点が重要です。
まとめ
毛髪を使った「アレルギー検査」は存在します。
しかし、
検査サービスがある=医学的にアレルギー診断として認められている
わけではありません。
食物アレルギーなどの診断では、症状の経過や食事との関係を確認し、必要に応じて皮膚検査や血液検査などを組み合わせるのが一般的です。
毛髪分析については、NICEなども食物アレルギー診断への使用を推奨していません。
だから、
「髪の毛を送るだけでアレルギーが全部分かる」
という話を見かけたら、少し立ち止まって考えたほうがよさそうです。
髪の毛から調べられるものは確かにあります。
でも、
「毛髪で何かを調べられる」ことと、「毛髪でアレルギーを診断できる」ことは同じではありません。
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