「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「アレルギー検査で100種類以上調べられる」って聞いたら、ちょっとびっくりしませんか?
卵、牛乳、小麦、そば、花粉、ダニ、ハウスダスト……。アレルギーの原因になりそうなものを考えていくと、それだけでもかなりの数があります。
それが一度の検査で100種類以上分かるとなると、「それなら原因を全部調べてもらえばいいんじゃない?」と思ってしまいますよね。
実際、ネットでアレルギー検査について調べると、「100種類以上」「200種類以上」といった数字が出てきます。
これ、本当にそんなに調べられるのでしょうか。
調べてみると、「100種類以上のアレルゲンを検査できる」という話自体は本当でした。
ただし、ここには少し注意が必要でした。
「200種類以上の検査に対応している」ということと、「200種類を一度の採血ですべて調べる」ということは、同じ意味ではなかったんです。
日本でも約200種類のアレルゲンが検査対象になっている
まず、日本で本当に100種類以上のアレルゲンを調べられるのかを確認してみました。
すると、ちゃんとありました。
Thermo Fisher Scientificの「イムノキャップ」という特異的IgE検査では、日本国内で約200種類のアレルゲンが検査対象になっています。
対象は食べ物だけではありません。
食品、花粉、ダニ、動物、カビ、昆虫毒、職業性アレルゲンなど、かなり幅広く用意されています。
つまり、
「日本では100種類以上のアレルゲンを検査できない」
というわけではありません。
むしろ、検査の候補になるアレルゲンはかなり多いんです。
Thermo Fisher Scientific「イムノキャップ 特異的IgE検査」
でも、約200種類を全部一度に調べるわけではない
ここが今回、一番分かりにくかったところです。
特異的IgE検査には、アレルゲンを一つずつ調べる方法があります。
たとえば、卵白、小麦、牛乳、スギ、ヒノキ、ダニ……というように、それぞれのアレルゲンに対するIgE抗体を測定していきます。
Thermo Fisherの一般向け情報でも、約200種類の検査項目の中から、症状や生活環境、食事内容などを参考に、原因として疑われる項目を選んで検査すると説明されています。
つまり、
「約200種類に対応している」=「200種類を全部一度に調べる」ではない
ということです。
この違いは、検査を受ける側として知っておいたほうがよさそうです。
Thermo Fisher「アレルギーの原因を個別に調べられるアレルギー検査」
実際のクリニックを見ると、もっと分かりやすい
「200種類以上あるっていうけど、実際の病院ではどうしているの?」
と思いますよね。
そこで、実際にアレルギー検査について案内している医療機関を見てみました。
たとえば豊洲イーウェルクリニックでは、200項目以上のアレルゲンを一覧で公開しています。
ただし、実際の検査では、その中から症状や生活環境などに合わせて13項目を選ぶと案内されています。
つまり、
200種類以上の候補がある
↓
その人に必要そうなものを選ぶ
↓
選んだ項目を検査する
という形です。
「200種類以上調べられる」という言葉から想像するものとは、ちょっと違いますよね。
一度にたくさん調べる検査もある
では、「一度にたくさん調べる」という検査はないのでしょうか。
もちろんあります。
日本で使われているものの一つがViewアレルギー39です。
名前のとおり、39種類のアレルゲンを一度に調べる特異的IgE抗体検査です。
食物だけでなく、花粉、ダニ、動物のフケなども含まれています。
つまり、
「一度の採血で複数のアレルゲンを調べる」
という検査そのものは、特別な海外サービスではありません。
日本でも医療機関で利用されています。
200種類以上の中から選ぶ検査も実際に受けられる
もう一つ、実際の医療機関の例を見てみます。
渋谷ウェルネストクリニックでは、200以上の項目から選ぶ特異的IgE検査と、39項目をまとめて調べるView39の両方を案内しています。
ここでも、
「たくさんある検査項目から必要なものを選ぶ」
という方法と、
「あらかじめ決められた複数項目をまとめて調べる」
という方法の違いを見ることができます。
同じ「アレルギー検査」でも、検査の組み方が違うんですね。
検査を行う会社と、実際に受診する病院は別
ここは少し分かりにくいところなので整理しておきます。
たとえば、先ほど出てきたThermo Fisherは、アレルギー検査に使われる「イムノキャップ」などを提供している会社です。
一方、実際に患者さんが診察を受けて採血してもらうのは医療機関です。
臨床検査を行うLSIメディエンスも、特異的IgEについて200項目以上の検査メニューを案内していますが、ここも基本的には医療機関などから検査を依頼する側です。
なので、
「200種類以上調べられる検査がある」
と知っても、その検査会社に直接行って検査してもらう、という話ではありません。
実際に検査を受ける場合は、対応している医療機関を受診することになります。
近くの医療機関はどうやって探す?
「じゃあ、自分の住んでいるところではどこで受けられるの?」
という場合は、食物アレルギー研究会の情報も参考になります。
食物アレルギー研究会では、食物アレルギーの診療を行っている医療機関について情報を公開しています。
ただし、すべての医療機関が200種類以上の検査に対応しているわけではありません。
受診する前に、
- どんなアレルギー検査をしているのか
- 何項目まで検査できるのか
- 保険診療になるのか
- 自分が気になっているアレルゲンを調べられるのか
などを確認しておくと安心です。
たくさん調べれば、原因が分かるわけではない
ここまで見ると、
「じゃあ、200種類全部調べてもらえば一番いいんじゃない?」
と思ってしまいます。
でも、アレルギー検査は、単純に項目数を増やせば原因が分かるというものではありません。
特異的IgE検査で調べているのは、特定のアレルゲンに対するIgE抗体です。
そして、特異的IgEが検出されたとしても、それだけで「その物質を摂取したら必ず症状が出る」と決まるわけではありません。
検査結果は、実際にどんな症状が出たのか、いつ出たのか、何を食べたり触れたりしたのか、どんな環境だったのか、といった情報と一緒に見ていく必要があります。
だからこそ、医師が症状や生活環境などを聞いて、検査する項目を選ぶわけです。
「陽性」がたくさん出たらどうする?
ここも、多項目検査を受けるときには気になるところです。
たくさんの項目を調べれば、それだけ陽性になる項目が見つかることもあります。
でも、
陽性=その食品を絶対に食べられない
という意味ではありません。
特異的IgEが検出されている状態は「感作」と呼ばれます。
感作されていることと、実際にそのアレルゲンによって症状が起こることは、同じではありません。
そのため、検査結果だけを見て、陽性だった食品を次々に食事から外してしまうのは避けたいところです。
特に子どもの場合は、必要のない食物除去によって、食事の幅を狭めてしまうこともあります。
ところで、「100種類以上の食品を調べる検査」には別のものもある
ここで、ネットで見かける「100種類以上の食品を調べる検査」についても触れておきます。
実は、食品を100種類以上まとめて調べる検査の中には、IgGを測定するものがあります。
「たくさんの食品を一度に調べられる」という点では、今回のテーマとよく似ています。
でも、これは先ほど紹介した特異的IgE検査とは別物です。
食物アレルギー研究会の「食物アレルギーの診療の手引き」でも、特異的IgG検査を食物アレルギーの診断に使用できるかについて取り上げられています。
つまり、
「100種類以上調べられる」
という数字だけでは、その検査が何を意味するのかは分かりません。
IgEなのかIgGなのか。
ここは確認しておいたほうがよさそうです。
「100種類以上」の正体を整理してみる
ここまでを整理すると、こんな感じになります。
| 検査のタイプ | 何を調べる? | 「100種類以上」の意味 |
|---|---|---|
| 特異的IgE検査 | アレルゲンに対するIgE抗体 | 約200種類の検査項目から必要なものを選べる |
| Viewアレルギー39 | 特異的IgE抗体 | 39種類を一度に検査 |
| IgGを使った食品検査 | 食品に対するIgG | 100種類以上の食品を対象にするものがある |
| 医療機関での診断 | 検査+症状・経過など | 検査結果だけでなく、全体を見て判断する |
こうして並べてみると、同じ「100種類以上」という言葉でも、かなり意味が違うことが分かります。
じゃあ、100種類以上調べられる検査を受ける意味は?
項目数が多いこと自体が悪いわけではありません。
たくさんのアレルゲンの中から、症状の原因として疑わしいものを探すために、幅広い検査項目が用意されていることには意味があります。
一方で、「100種類以上あるから全部調べよう」と考える必要もありません。
アレルギーの原因は人によって違います。
花粉症が疑われている人と、特定の食品を食べたあとにじんましんが出る人では、調べたいものも違います。
だから、「検査項目が何種類あるか」と「自分が何を調べる必要があるか」は別の話なんですね。
結局、アレルギー検査キットで100種類以上調べられるって本当?
「100種類以上調べられる」という話自体は本当です。
日本でも、特異的IgE検査では約200種類のアレルゲンが検査対象になっています。
ただし、「200種類のアレルギーを一度の採血ですべて診断できる」という意味ではありません。
実際には、約200種類の候補から症状や生活環境などをもとに必要な項目を選んだり、Viewアレルギー39のように、あらかじめ決められた39種類をまとめて調べたりします。
そして、「100種類以上の食品を調べられる」という検査の中には、IgGを測定するものもあります。
ここまで調べてみると、
「100種類以上」という数字だけを見て、すごい検査だと思うのはちょっと早い。
何を測定しているのか、どんな方法で調べるのか、そしてその結果をどう判断するのか。
そこまで見て、初めてその検査の中身が分かるんだな、というのが今回調べて分かったことでした。
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