「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「プロポリスには抗炎症作用があるらしい」
健康食品やサプリメントの話で、こんな説明を見かけることがあります。
炎症を抑える働きがあるなら、アレルギーにも良いのでは?
花粉症やアレルギー性鼻炎などで悩んでいると、ちょっと期待したくなりますよね。
実際に調べてみると、プロポリスが炎症に関係する物質へ影響することを調べた研究はあります。さらに、アレルギー性鼻炎の人を対象にした研究も見つかります。
ただ、ここには一つ大きな違いがあります。
「炎症を抑える作用がある」ことと、「アレルギー症状が改善する」ことは同じではありません。
では、プロポリスはアレルギーに良いのでしょうか?
プロポリスには本当に抗炎症作用がある?
まず、アレルギーの話に入る前に、プロポリスそのものの抗炎症作用を見てみます。
プロポリスは、ミツバチが樹木などから集めた樹脂をもとに作る物質です。フラボノイドやフェノール系化合物など、さまざまな成分が含まれています。
こうした成分には、炎症反応に関係する仕組みに影響する可能性が研究されています。
人を対象にした研究をまとめた2024年のメタ解析では、20件のランダム化比較試験、合計1139人のデータが検討されました。
プロポリスを摂取したグループでは、炎症に関係するIL-6やTNF-αが対照群より低下したという結果が出ています。
これは「プロポリスには炎症反応に影響する可能性がある」という意味では興味深い結果です。
ただし、血液中の炎症マーカーが下がったからといって、アレルギー症状まで必ず改善するとは限りません。
| 調べられたもの | 分かってきたこと |
|---|---|
| IL-6 | 低下を示した研究がある |
| TNF-α | 低下を示した研究がある |
| CRP | 研究によって結果が異なる |
| アレルギー症状 | 抗炎症作用とは別に評価が必要 |
| アレルギー体質 | 改善するとは確認されていない |
プロポリスの「抗炎症作用」については、人を対象にした研究があります。
でも、それだけで「アレルギーにも効く」とはまだ言えません。
アレルギーにも良い可能性は研究されている
では、本題です。
プロポリスとアレルギーの関係は、実験レベルだけの話ではありません。
アレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などを対象に、プロポリスがアレルギー反応にどう影響するかを調べた研究があります。
特に注目されているのが、肥満細胞や好塩基球といったアレルギー反応に関わる細胞です。
アレルギーでは、IgEなどをきっかけにこうした細胞が活性化し、ヒスタミンなどの物質が放出されます。
プロポリスには、こうしたアレルギー反応に関係する細胞の働きを抑える可能性が研究されています。
マウスや細胞を使った研究では、プロポリスによってアレルギー炎症に関係する物質の産生が抑えられた結果もあります。
ここまで見ると、確かに「アレルギーに良さそう」と感じます。
ただし、動物や細胞で確認された作用が、そのまま人の花粉症や食物アレルギーの改善につながるとは限りません。
人がプロポリスを摂った研究ではどうだった?
ここは期待できる材料です。
アレルギー性鼻炎の患者30人を対象に、プロポリスを1日200mg摂取するグループと、プラセボを摂取するグループを比較したランダム化比較試験があります。
期間は4か月。
この研究では、特定の花粉に対するIgEや、鼻炎による生活の質・症状の程度などが調べられました。
プロポリスを使ったグループで改善を示した項目があり、プロポリスがアレルギー性鼻炎に影響する可能性を考える材料になっています。
ただ、30人という規模は決して大きくありません。
また、参加者はすでに鼻炎の治療として鼻噴霧ステロイドも使用していました。
そのため、「プロポリスだけで花粉症が改善した」とまでは言えません。
| 研究の段階 | プロポリスについて分かっていること |
|---|---|
| 細胞実験 | アレルギー反応に関係する細胞への作用が研究されている |
| 動物実験 | アレルギー炎症を抑える結果がある |
| 人の炎症研究 | 炎症マーカー低下を示すメタ解析がある |
| 人のアレルギー研究 | アレルギー性鼻炎を対象にした小規模研究がある |
| 大規模な臨床研究 | まだ十分とはいえない |
「抗炎症作用がある=アレルギーが治る」ではない
ここが一番大切なところです。
アレルギーは、単純に「体のどこかが炎症を起こしている」というだけの病気ではありません。
免疫反応やIgE、肥満細胞、好酸球など、さまざまな仕組みが関係しています。
そのため、炎症を抑える働きがある成分でも、それだけでアレルギーの原因そのものをなくせるわけではありません。
例えば、プロポリスを摂取して炎症に関係する数値が下がったとしても、
花粉症の鼻水やくしゃみがどれくらい減ったのか
アトピー性皮膚炎のかゆみや湿疹がどれくらい改善したのか
という部分は別に確認する必要があります。
「抗炎症作用」は、アレルギーに良い可能性を考える理由の一つです。
ただ、それだけで「アレルギーを改善する」と結論づけることはできません。
プロポリスなら全部同じ?
もう一つ、プロポリスを考えるうえで面白いポイントがあります。
実は、プロポリスは採取された地域や植物によって成分がかなり変わります。
ミツバチがどの植物から樹脂を集めるかによって、含まれる成分が変わるためです。
研究では、ブラジル産のグリーンプロポリスなど、特定の種類が注目されることもあります。
そのため、研究で使われたプロポリスと、店頭で販売されているサプリメントがまったく同じものとは限りません。
「研究でプロポリスに効果があった」という情報だけで、すべてのプロポリス製品に同じ効果があると考えるのは難しいところです。
そして、プロポリス自体がアレルギーの原因になることも
ここまで「アレルギーに良い可能性」を見てきましたが、反対の話もあります。
プロポリスは、それ自体がアレルギーの原因になることがあります。
特に知られているのが、プロポリスに触れた部分に湿疹や赤み、かゆみなどが出る「アレルギー性接触皮膚炎」です。
2025年の研究では、皮膚炎の患者を対象にプロポリスのパッチテストを行ったところ、産地によって反応する人の割合に大きな違いがみられました。
イタリアの施設では、ブラジル産プロポリスに反応した人が257人中13人、中国産では257人中3人でした。
別の施設で中国産を調べた場合は329人中3人でした。
プロポリスは天然由来だから安心、とは限りません。
| プロポリスについて | 実際には |
|---|---|
| 天然だからアレルギーを起こさない | アレルギーの原因になることがある |
| どのプロポリスも同じ | 産地や植物によって成分が異なる |
| アレルギーに良いから多く摂ればいい | 効果と摂取量の関係はまだ十分に分かっていない |
| 体に合わなければ好転反応 | アレルギー反応の可能性も考える必要がある |
結局、プロポリスの抗炎症作用はアレルギーに良い?
今回の疑問を追っていくと、かなり興味深いところまで分かってきました。
プロポリスには、炎症に関係する物質を抑える働きが研究されています。
人を対象にした研究をまとめても、IL-6やTNF-αなどの炎症マーカーが低下する結果が出ています。
さらに、アレルギー性鼻炎を対象にした研究もあり、プロポリスがアレルギー反応に影響する可能性は十分に研究する価値がありそうです。
ただし、
抗炎症作用があることと、アレルギー症状が改善することは別。
そして、現在ある研究だけで「プロポリスを摂ればアレルギーが改善する」とまでは言えません。
さらに意外なのが、アレルギーに良い可能性を研究されているプロポリスそのものが、別の人にとってはアレルゲンになることがあるという点です。
現時点では、
「アレルギー改善の可能性を研究されている成分ではある。でも、治療として確立したものではなく、人によってはアレルギーを起こすこともある」
くらいに考えておくのがよさそうです。
コラム・レビューの新着
よく読まれている記事



コメント