「スキンケアがアレルギー対策になる」って、意外と知られていません
赤ちゃんや子供の肌って、見た目はすべすべできれいですよね。だから「スキンケアなんて、そんな丁寧にしなくても大丈夫でしょ」と思う方もいるかもしれません。実際、見た目に問題がなければ、そう思うのも無理はないと思います。
でも、アレルギーのある子(またはアレルギーが心配な子)に関しては、話が別なんです。見た目がきれいでも、肌のバリア機能自体はまだ未熟で、目に見えないレベルで乾燥やダメージが進んでいることがあります。だからこそ、「今は特に問題なさそうだから」と油断せず、日々のスキンケアをきちんと行うことが大切なんです。
赤ちゃんや子供のスキンケアというと、「肌をきれいに保つため」というイメージが強いかもしれません。でも実は、毎日の保湿が食物アレルギーの予防にもつながる可能性がある、ということが分かってきているんです。
「え、保湿と食物アレルギーって関係あるの?」と思いますよね。私も最初知ったときは意外でした。この記事では、その仕組みと、毎日どんなふうにスキンケアをすればいいのか、基本のところをまとめてみます。
なぜ肌のケアがアレルギー対策になるの?
「経皮感作」ってどういうこと?
肌には、外からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐ「バリア機能」が備わっています。ただ、赤ちゃんや子供の肌は大人よりも薄くて乾燥しやすいので、このバリア機能が弱くなりがちなんです。
肌が乾燥してバリア機能が低下すると、食べ物のかけらやほこりなどに含まれるアレルゲンが、荒れた肌から体内に入り込みやすくなります。これがきっかけで、体がその食べ物を「異物」と勘違いして反応するようになってしまうことがあり、これを「経皮感作(けいひかんさ)」と呼ぶそうです。口から食べて起こる感作とは別に、肌から起こる感作もある、ということなんですね。
国立成育医療研究センターの研究結果
国立成育医療研究センターが2014年に発表した研究では、生まれたばかりの赤ちゃんに保湿剤を塗り続けたグループは、そうでないグループに比べて、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下したという結果が出ているそうです。肌のバリア機能をしっかり保つことが、結果としてアレルギー予防にもつながる、という考え方の裏付けになっている研究のひとつです。
もちろん、保湿さえすれば絶対にアレルギーにならない、というわけではありません。ただ、「肌を健やかに保つことには意味がある」と知っておくだけでも、日々のスキンケアへの向き合い方が変わってくるんじゃないかと思います。
毎日の保湿、どうやるのがいい?
タイミングは1日2回が目安
お風呂上がり(沐浴後)と、朝の着替えのタイミングで、1日2回保湿するのが目安とされています。お風呂上がりは肌の水分が蒸発しやすいタイミングなので、できるだけ早めに、5分以内を目安に保湿できるとよさそうです。
- お風呂上がり:体を拭いたらすぐに保湿剤を
- 朝の着替え時:寝ている間に失われた潤いを補う
- そのほか気になるとき:おむつ替えの後や、口の周りを拭いた後など
塗り方のコツ
- 量はしっかりめに:肌が少しテカるくらいがちょうどいい目安のようです。量が少なすぎると効果が発揮されにくくなります
- ゴシゴシこすらない:手のひらで優しく、円を描くようになじませます。摩擦は肌への刺激になるので避けましょう
- 関節部分やしわを忘れずに:首のしわ、わきの下、ひじ・ひざの裏、足の付け根なども、しわを伸ばしながら塗ります。こうした部位は皮膚同士がこすれ合ったり汗や汚れがたまりやすかったりするため、もともと肌が弱く、湿疹やあせもが出やすい場所でもあります。だからこそ、塗り残しがないよう意識したいポイントです
- 乾燥しやすい部分は重ね塗り:頬や口の周りなど、カサつきやすい部分は少し多めに
保湿は「たっぷりめ」が基本ですが、汗をかきやすい季節に油分の多いクリームを厚く塗りすぎると、あせもや毛穴づまりの原因になることもあるようです。ベタつきすぎるくらいの量になっていないか、季節や汗のかき方に合わせて調整できるとよさそうです。
どんな成分の保湿剤を選べばいい?
一般的に良いとされる成分
セラミド、ヒアルロン酸、ヘパリン類似物質、ワセリンなどは、保湿効果が高く、比較的刺激が少ないとされる成分としてよく紹介されています。「無香料」「無着色」「アルコールフリー」といった表示があるものを選ぶと、余計な刺激を避けやすいようです。
避けたほうがよさそうなもの
香料、着色料、エタノール(アルコール)、パラベンなどの成分は、肌への刺激になることがあると言われています。特にエタノールは肌を乾燥させてしまうこともあるようなので、気になる場合は成分表示をチェックしてみるとよさそうです。
意外と知られていない注意点:食品由来の成分
これはあまり知られていないポイントだと思うのですが、「天然由来だから安心」とは限らないケースがあります。
イギリスで行われた調査では、ピーナッツオイルが入ったスキンケア用品を使っていた子供は、そうでない子供に比べてピーナッツアレルギーの発症が増えていた、という報告があります。理由は、精製が不十分なオイルにはたんぱく質がわずかに残っていることがあり、それが荒れた肌から繰り返し吸収されることで、経皮感作が進んでしまうと考えられているからです。
日本でも似たような出来事がありました。小麦成分を配合した石けんを長年使っていた人たちの中から、小麦アレルギーを発症する人が相次いだ「茶のしずく石鹸事件」というものです。食べ物の成分を肌に塗り続けることが、思わぬ形でアレルギーのきっかけになってしまうことがある、という一例です。
もちろん、化粧品用に精製されたオイルは、たんぱく質がほとんど取り除かれていて感作のリスクは低いとされているものも多いです。ただ、特に赤ちゃんや、すでに肌荒れがある子には、食品由来の成分(ピーナッツオイル、小麦胚芽エキス、大豆エキスなど)が入った製品を使うときは、成分表示を確認したり、心配であれば医師に相談したりすると安心だと思います。
「敏感肌用」という表示、信用していい?
ドラッグストアやベビー用品店では「敏感肌用」「低刺激」とうたった商品をよく見かけますよね。目安として参考にするのはいいと思うのですが、実はこの「敏感肌用」という表示、国が定めた統一の基準があるわけではないんです。あくまでメーカーが自主的に、香料・着色料・アルコールなど刺激になりやすい成分を除いて作った、という位置づけの表示なんですね。
一方で「医薬部外品(薬用)」と表示されている製品は、厚生労働省が効果を認めた有効成分が一定濃度で配合されているので、単なる「化粧品」よりも、もう少し根拠のある表示だと言えそうです。とはいえ、医薬部外品だからといって、すべての子に合うとは限りません。
結局のところ、「敏感肌用」という表示だけを鵜呑みにせず、成分表示をひと目確認する、初めて使うときは目立たない場所で試してみる、というひと手間が、いちばん確実な選び方なんだと思います。
日光・紫外線対策はどうする?

紫外線も、肌バリアを乱す要因のひとつ
紫外線をたくさん浴びると、肌に炎症が起きて乾燥やダメージにつながることがあります。ここまで説明してきたとおり、肌のバリア機能が乱れると経皮感作のリスクにも関わってくるので、紫外線対策も広い意味でのスキンケアの一部と考えられそうです。とはいえ、紫外線を完全に避ける必要はなく、日陰・帽子・衣類・日焼け止めをうまく組み合わせるのが基本のようです。
日焼け止めは「塗ってもよい」。ただし選び方に注意
アトピー性皮膚炎や乾燥肌のある子、生後6か月以降の赤ちゃんは、肌のバリア機能が弱いぶん、紫外線そのものだけでなく日焼け止めの成分自体で赤みやかゆみが出ることもあるようです。そのため、「塗らない」のではなく「刺激の少ないものを選んで塗る」のがポイントになります。
- ノンケミカルタイプを選ぶ:紫外線吸収剤ではなく、酸化チタン・酸化亜鉛などの紫外線散乱剤が主成分のもの
- 無香料・無着色・アルコールフリー:添加物が少ないほうが、肌への負担を抑えやすいようです
- ウォータープルーフでないタイプ:汗や水で落ちやすいぶん、洗い流すときの肌への負担も少なめです
- 日常使いの目安はSPF15〜30、PA++程度:屋外に長時間いる日はもう少し高いものを検討してもよさそうです
初めて使う製品は、二の腕の内側など目立たない場所に少量つけて、様子を見てから顔や体に使うと安心です。
大人用の日焼け止めについては、3歳以上で肌トラブルがなければ使っても問題ないとされています。子供用と大人用で、SPFなどの効果自体に大きな違いがあるわけではなく、主な違いは、刺激になりやすい成分を抑えて作られているかどうかという点のようです。逆に、子供用(特に赤ちゃん用)は低刺激に作られているものが多いので、敏感肌の大人が使っても問題ありません。3歳未満の子や、肌が敏感・アトピー性皮膚炎があるお子さんには、念のため子供用・低刺激タイプを優先するのが安心です。
塗り方のコツ
- 保湿剤を塗ってから少し時間をおいて、日焼け止めを重ねる(すぐ重ねるとムラになりやすいようです)
- 塗り忘れやすい場所:耳、首の後ろ、手の甲、足の甲、鼻、頬
- 汗をかいたときや水遊びの後は、2〜3時間ごとを目安に塗り直す
お風呂での洗い方
洗うときも、ガーゼではなく手でたっぷりの泡を優しくのせるように洗う、しわの部分は伸ばして洗う、すすぎ残しに注意する、といった基本的な工夫ができます。お湯の温度や入浴剤の選び方など、入浴まわりのことをもっと詳しく知りたい方は、アレルギーっ子の入浴でまとめています
すでに湿疹や肌荒れがあるときは
肌が既に荒れている、湿疹が続いている、という場合は、保湿ケアだけで様子を見るのではなく、皮膚科や小児科を受診して、まずはしっかり治療するのが基本のようです。荒れた肌のままだと、かえって経皮感作が進んでしまう可能性があるとも言われています。治療で肌の状態を落ち着かせてから、日々の保湿ケアにつなげていくのがいい流れのようです。
まとめ
肌のバリア機能を保つことは、見た目のケアだけでなく、食物アレルギーの予防にもつながる可能性がある、というのは知っておいて損はない知識だと思います。1日2回、優しく丁寧に保湿する習慣を続けることが、結果的に子供の肌と体を守ることにつながるはずです。すでに湿疹や肌荒れがある場合は自己判断でケアを続けず、早めに医療機関に相談してください。
免責事項
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考情報源
・国立成育医療研究センター「アレルギーについて」
・千葉大学大学院医学研究院「早期スキンケアはアレルギーマーチを予防するか」
・「ピーナッツオイル」Wikipedia
・エムズこどもクリニック瑞江「子どもの肌を紫外線から守るために」
・花王株式会社「『医薬品』『医薬部外品』『化粧品』にはどんな違いがあるの?」
・資生堂 お客さまサポート「子どもに大人用の日焼け止めを使ってもいいですか?」
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