「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「デトックス」という言葉は、健康や美容の話でよく見かけます。
体にたまったものを外に出す、食事を見直して身体をリセットする、といった意味で使われることが多いようですが、その方法はかなり幅があります。
では、アレルギーについてはどうでしょうか。
デトックスによってアレルギー症状が軽くなった、という話もあります。実際にどんな方法が行われていて、アレルギーとの関係についてどこまで分かっているのか、調べてみました。
そもそも「デトックス」って何?
実は、デトックスには医学的に決まったひとつの方法があるわけではありません。
断食やジュースだけの食事、特定の食品を避ける食事、サプリメントやハーブ、腸内洗浄、サウナなど、さまざまな方法が「デトックス」や「クレンズ」と呼ばれています。
つまり、「デトックスでアレルギーが改善する?」と考える場合も、まず何をするデトックスなのかによって話が変わってきます。
デトックス=ひとつの治療法ではありません
食事を変えるものから、断食、サプリ、腸内洗浄などまで、かなり幅広い方法が「デトックス」と呼ばれています。
「毒素を出せばアレルギーもよくなる」は本当?
デトックスについてよくある説明のひとつが、「身体にたまった毒素を外に出す」というものです。
ただ、一般的なデトックス・クレンズについて、身体から「毒素」を取り除く効果を裏付ける質の高い研究は十分ではありません。
アメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)も、デトックス・クレンズについて、人を対象とした研究は少なく、研究自体にも参加者が少ない、研究方法に問題があるといった限界があるとしています。2015年のレビューでも、デトックス食によって毒素を取り除けることを支持する説得力のある研究は確認されていません。
そのため、
「体内の毒素を出す → アレルギーが改善する」
という流れを、そのまま医学的な事実として考えることはできません。
食事を変えるとアレルギーがよくなることはある?
ここは少し話が変わります。
「デトックス」として食事制限を行う人もいますが、食事とアレルギー疾患の関係については、実際に研究されています。
特にアトピー性皮膚炎では、特定の食品を除去することで症状が変化するかどうかについて、多くの研究があります。
2022年のシステマティックレビュー・メタ解析では、アトピー性皮膚炎に対する食事除去について10件のランダム化比較試験、599人を対象に検討しています。
その結果、食事除去によって湿疹の重症度やかゆみ、睡眠などがわずかに改善する可能性が示されました。ただし、エビデンスの確実性は低く、効果も大きなものではありませんでした。
つまり、ここから「食事を制限すればアレルギーが治る」と考えるのは少し飛躍があります。
アレルギーがある人なら、食事制限は効果がある?
これも一律には言えません。
アレルギー疾患では、実際に特定の食品が症状に関係している人もいます。
たとえば食物アレルギーが確認されている場合、その原因食品を避けることは治療や安全管理のうえで重要です。
一方、アレルギーがあるからといって、原因が分からないまま多くの食品を自己判断で除去することには注意が必要です。
アトピー性皮膚炎の研究でも、誰にでも食事制限が有効という結果にはなっていません。2022年のレビューでは、むやみな食事除去によってIgEを介した食物アレルギーが発症するリスクなども考慮する必要があるとされています。
特に子どもの場合は、成長に必要な栄養を確保することも重要です。
「食べない」ことと「アレルギーを治す」ことは同じではありません。
原因となる食品が確認されていて、それを医師の指導のもとで除去することと、「身体をきれいにするため」として自己判断で食品を減らすことは別の話です。
「腸をきれいにすればアレルギーが改善する」という話は?
デトックスでは、腸内環境を整えることがアレルギー改善につながるという話もあります。
腸内細菌と免疫の関係については、実際に研究が進んでいます。
ただし、ここから「腸をきれいにすればアレルギーが治る」と結論づけることはできません。
2024年に発表されたEAACI(欧州アレルギー・臨床免疫学会)のタスクフォースによるレビューでは、食事やプロバイオティクスなどと小児アトピー性皮膚炎との関係が検討されています。プロバイオティクスについては症状スコアの低下がみられた一方、その他の食事介入についてはエビデンスが限られており、さらに質の高い研究が必要とされています。
「腸内環境」という言葉だけで、すべてのアレルギーが改善すると考えるのは難しそうです。
デトックス食品やサプリならどう?
「デトックス」をうたった食品やサプリメントもあります。
しかし、サプリを飲めばアレルギーが改善するという話になると、さらに注意が必要です。
デトックスそのものについて十分な研究がないうえ、サプリメントなどの商品ごとに成分も違います。
また、「天然成分だから安全」とも限りません。ハーブなどにも身体への作用があり、薬との相互作用などが起こる可能性があります。
NCCIHも、デトックス・クレンズとして販売されている商品の中には、安全性に問題があるものや、病気を治療できるかのように宣伝されているものがあると注意しています。
デトックスで症状が軽く感じることはある?
ここは少し面白いところです。
たとえばデトックスをきっかけに、加工食品やアルコールなどを減らしたり、食生活全体を見直したりすることがあります。
その結果、本人が「体調が良くなった」「肌の調子がいい」と感じることは考えられます。
ただ、それだけで「身体の毒素が抜けたからアレルギーが改善した」とは判断できません。
食事内容が変わったこと、体重が変化したこと、生活リズムが変わったことなど、ほかの要因も考えられるからです。
じゃあ、デトックスは危険なの?
デトックスという言葉だけで、危険とも安全とも言えません。
方法によってかなり違います。
たとえば、野菜や果物を増やして食事全体を見直す程度なら、極端な食事制限とは話が違います。
一方、何日も食事をほとんど取らない、特定の食品を大量に除外する、下剤などを使って腸を洗浄する、といった方法になると話は変わります。
NCCIHによると、極端な食事制限では必要な栄養素が不足する可能性があり、下剤を使った方法では脱水や吸収不良につながることがあります。
特に子どものアレルギー対策として、自己判断で食べられるものをどんどん減らしていくのは避けたいところです。
結局、デトックスはアレルギーに効果あり?
今回調べてみると、「デトックス」という言葉だけでは、アレルギーへの効果を判断できないことが分かりました。
一般的なデトックス・クレンズについては、身体から毒素を取り除くことでアレルギーが改善するという十分な根拠はありません。
一方で、食事とアトピー性皮膚炎などの関係については研究があり、特定の条件では食事除去によって症状が少し改善する可能性も示されています。ただし効果は限定的で、誰にでも有効というわけではありません。
なので、今回の答えは、
「デトックスでアレルギーが改善する」と言えるだけの十分な根拠はない。
ただし、食事とアレルギーの関係そのものは研究されており、特定の食品が関係する人では、適切な食事管理が症状に影響することはある。
というところになりそうです。
「身体をきれいにする」というイメージだけで食べるものを減らすのではなく、何を目的に、何を変えるのかを考えることが大切なのかもしれません。
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