「食物経口負荷試験を受けたいけれど、どこの病院に行けばいいか分からない」
かかりつけのお医者さんにおすすめされた病院はあるけど、本当にそこがいいのかな?もっと経験豊富な、良い病院があるんじゃないの?
近所の小児科に相談しても、専門的な検査には対応していないことがあります。ここでは、病院を探すときのヒントを紹介します。「実施件数」という見方と、実際に使える病院リストの探し方です。
結論:食物経口負荷試験は、症状が出たときにすぐ対応できる体制の整った病院で受けることが大切です。まずはかかりつけ医に相談して、食物アレルギー研究会の実施施設一覧で近くの病院を探してみましょう。
(一覧の「件数」は病院の経験を知る目安のひとつです。件数だけで決めず、対応体制や通いやすさも一緒に確認しましょう)
食物経口負荷試験ってどんな検査?

「食べて試す」と聞くとドキッとしますが、病院でお医者さんが様子を見ながら、決めた量を少しずつ食べていく検査です。
食物経口負荷試験とは?やり方と目的
食物経口負荷試験は、アレルギーの原因と疑われる食べ物を、少しずつ食べてみる検査です。病院で、医師が見ている中で行います。
この検査は、食物アレルギーかどうかを確かめるための、いちばん確実な方法とされています。すでにアレルギーだと分かっている場合でも、「今は食べられるようになったか」を確認するために行うこともあります。
この検査の目的は、大きく2つです
- 食物アレルギーかどうかをはっきりさせる(原因の食べ物を確かめる)
- 安全に食べられる量を決める。食べられるようになったかを確かめる
「食物経口負荷試験の手引き2023」で、この2つが目的とされています。
負荷試験で症状が出たら?病院の体制が大切な理由
強いアレルギー症状が出ることもあります。厚生労働科学研究の全国調査では、2017年に行われた負荷試験30,725例のうち、495例(1.6%)が、アナフィラキシーに至っていました。そのため、何かあったときにすぐ対応できる病院で受けることが大切です。どこの病院でも気軽に受けられる検査ではない、ということですね。
病院の体制について、資料に書かれていること
- 症状が出たときに、すぐ対応できる体制が必須とされています
- 専任の医師か看護師を置くこと、症状が出たときの対応マニュアルを作っておくことが望ましいとされています
- 症状に対応するための薬や医療備品を、あらかじめ準備しておきます
- 入院できる施設がない病院では、重い症状が出たときなどに、入院施設のある別の病院への搬送が考えられます
- 検査の前に、重い症状が出やすい要因がないかを調べます
食物経口負荷試験ができる病院の探し方|実施施設一覧の見方
お住まいの近くに負荷試験をしている病院があるかは、研究会のリストで調べられます。地域のページを開くと、県ごとに病院の名前が並んでいます。
食物アレルギー研究会「実施施設一覧」の使い方
「食物アレルギー研究会」という団体が、検査を行っている病院のリストをホームページで公開しています。
▶ 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験 実施施設一覧」はこちら
このリストには、病院ごとに「外来で行った件数」「入院で行った件数」が載っています。
リストの見方(研究会のページに書かれていること)
- 北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州沖縄の8つのエリアから選びます
- 件数は、2024年度(令和6年度)の実績です
- 現在の実施状況と違う場合があるので、受けたいときは必ず各病院に問い合わせるよう、書かれています
- 「対象者」の欄の「A」は、小児患者(中学生まで)のことです
食物経口負荷試験の実施件数で病院を比べる目安
実際に見てみると、病院によって件数にかなり差があります。
| リストの記号 | 年間の実施件数(2024年度) |
|---|---|
| ★★★★ | 1,000件以上 |
| ☆☆☆ | 501~1,000件 |
| ☆☆ | 201~500件 |
| ☆ | 101~200件 |
| ◎ | 51~100件 |
| ○ | 1~50件 |
| ─ | 実施なし |
- 記号は、「外来負荷」と「入院負荷」で別々に載っています
- この記号の見方は、関東エリア・近畿エリアのページで確認しました
件数が多いということは、それだけたくさんの子どもを見てきた、ということです。病院を選ぶときの、ひとつの目安になると思います。
食物経口負荷試験の病院選び|件数だけで決めつけないポイント
リストで気になる病院が見つかっても、「件数が多いからここ!」と急いで決めなくて大丈夫です。
病院選びで見ておきたい4つのポイント
ただし、件数だけで病院の良し悪しは決まりません。他にも見ておきたいポイントがあります。
- このリストに載っているのは、載せることに同意した病院だけです。検査をしている病院は、他にもたくさんあります。近所の評判の良い病院が、たまたまリストに載っていないだけかもしれません
- 何かあったときの対応体制も大事です。すぐに対処できる病院かどうかも確認しましょう
- 通いやすさも大切です。件数が多くても、遠くて通うのが大変だと続けにくくなります
- 10年以上の経験がある小児科の先生がいることも、ひとつの目安になります
リスト掲載の条件と、病院の基準:資料でわかること
- リストに載っているのは、日本アレルギー学会のアレルギー専門医教育研修施設や、日本小児科学会の専門医研修プログラムの基幹施設・連携施設への調査に答えて、掲載の許可があった病院です。研究会は、「負荷試験を行っている施設は掲載の施設以外にも多数ある」と書いています
- 保険診療で小児の食物負荷検査を行える病院の基準は、小児科があること、小児の食物アレルギーの診断・治療の経験が10年以上ある小児科の常勤医師が1名以上いること、急変時などに対応する体制が整っていることです
- 保険診療の対象は、基準を満たした病院で受ける16歳未満の検査で、年3回までです
- 重い症状が出るリスクがあるなど、その病院で難しいときは、専門の病院に紹介することが勧められています
食物経口負荷試験の病院を口コミで探すときのコツ

病院の雰囲気は、数字だけだとなかなか見えてこないですよね。
病院探しに使える口コミサイト3つ
最近は、病院を選ぶときに口コミサイトを見る方も多いと思います。実際に通った方の感想が分かるので、実施件数だけでは見えてこない、雰囲気や対応の様子を知る手がかりになります。
- Caloo(カルー):口コミが読める病院検索サイト。エリアや路線・駅、診療科目などから病院を探せます
- EPARKクリニック・病院:ネット受付・予約ができる病院を探せるサイトです。土日や19時以降の診療などの条件でも探せます
- 病院なび:診療時間や診療科目、症状などから探せて、口コミも見られる医療機関検索サイトです
口コミを見るときの注意点
口コミはあくまで個人の感想なので、実施件数などの客観的な情報とあわせて、参考程度に見るのがおすすめです。
研究会のリストも、病院なびも、受診する前に病院へ直接確認するよう書いています。
食物経口負荷試験の病院を探す手順|今日からできること
今日、お子さんが寝たあとにスマホでできることを、順番に並べました。
食物経口負荷試験の病院を探す4つのステップ
- まずは、かかりつけの小児科に相談してみる。専門の病院を紹介してもらえることがあります
- 「食物アレルギー研究会」のリストで、近くの病院と、その件数を調べる
- 気になる病院が見つかったら、件数だけでなく、対応体制や通いやすさも確認する
- まずは外来で相談してみる(すぐに検査を受けるわけではありません)
病院に相談するときに伝えること・聞くこと
電話や外来で、何を話せばいいか迷いますよね。次のことをメモしておくと、スムーズです。
伝えること
- これまでに、どの食べ物を食べて、どんな症状が出たか。今、どれくらい食べられているか
- 血液検査(特異的IgE抗体価)の結果があれば、持っていく
- ぜんそくがあるときは、必ず伝える。ぜんそくのコントロールが悪いと、重い症状のリスクになるため、日頃から薬で安定させておくことが大切とされています
- 飲んでいる薬・使っている薬。検査の前に、一定の期間やめておく薬があります
聞くこと
- 今も食物経口負荷試験をしているか(リストは2024年度の実績で、今と違うことがあります)
- 外来(日帰り)か入院かどちらになるか。病院の状況やお子さんのリスクに応じて選ばれます
- 症状が出たときの体制。入院施設がない場合は、どこに搬送されるか
- 保険診療で受けられるか
食物経口負荷試験の病院探しのまとめ
食物経口負荷試験の病院は、体制・件数・通いやすさを見て、まずは外来で相談するのが基本です。
- 検査は、症状が出たときにすぐ対応できる体制の病院で受けることが大切
- 近くの病院は、食物アレルギー研究会の「実施施設一覧」で調べられる
- 件数は経験を知る目安。ただし、リストに載っていない病院もあるので、件数だけで決めない
- 口コミは個人の感想なので、参考程度に見る
- まずはかかりつけ医に相談し、病院には「今も実施しているか」を必ず確認する
無理なく通える病院が見つかりますように。
「へっちゃら」まっさんより
食物経口負荷試験の病院選びでは、良い病院があっても住んでいる場所から遠いと、時間もお金もかかってしまいます。いろいろ考えたうえで選んでください。
もちろん先生との相性も大切です。話をしっかり聞いて答えてくれる先生もいれば、あまり聞いてくれず説明もわかりにくい先生もいます。なので、実績がある病院だからといって、一概に良いとは言えないような気がします。
参考にした情報源
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験 実施施設一覧」
- 食物アレルギー研究会「関東エリア」(食物経口負荷試験 実施施設一覧)
- 食物アレルギー研究会「近畿エリア」(食物経口負荷試験 実施施設一覧)
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験の手引き2023 総論」
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験の手引き2023 準備編」
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験の手引き2023 実践編」
- 日本小児アレルギー学会「アレルギーガイドライン2021 ダイジェスト版 第9章 食物経口負荷試験(OFC)」
- 厚生労働科学研究費補助金「食物アレルギー診療における重篤な誘発症状に関する全国調査」ほか(総括研究報告書)
- 厚生労働科学研究費補助金「食物経口負荷試験の標準的施行方法の確立 -食物経口負荷試験実施状況調査-」
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