「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
犬や猫を飼っている家庭で、アレルギーがある子どもがいると気になることがあります。
「ペットを洗ってあげたら、アレルギーも少し楽になるのかな?」
毛が抜けるからアレルギーが起こると思いがちですが、実際に問題になるのは毛そのものだけではありません。
犬なら「Can f 1」、猫なら「Fel d 1」など、動物が作る特定のタンパク質がアレルゲンになります。
では、ペットをシャンプーして、そのアレルゲンを洗い流せばどうなるのでしょうか?
実際に犬や猫を洗って調べた研究がありました。
犬を洗うとアレルゲンはどれくらい減る?
まず犬から見てみます。
25頭の犬を調べた研究では、シャンプーで洗った直後、毛に付着していた主要アレルゲン「Can f 1」が約84%減少しました。
さらに、フケに含まれるCan f 1も約86%減少しています。
かなり大きな変化ですよね。
しかも犬を飼っている5軒の家庭で空気中のCan f 1を調べたところ、洗浄後は空気中のアレルゲンも低下しました。
| 調べた場所 | シャンプー後の変化 |
|---|---|
| 犬の毛 | Can f 1 約84%減少 |
| フケ | Can f 1 約86%減少 |
| 家の空気 | 洗浄後に低下 |
「じゃあ、犬を洗えばアレルギー対策になるんじゃない?」
そう思いますよね。
ところが、ここから少し話が変わります。
ずっとアレルゲンが少ないわけではなかった
同じ研究では、犬の毛に付着するCan f 1を洗浄後7日間調べています。
すると、洗った直後から1~2日程度では低い状態が確認されたものの、3~7日後には洗う前との差がはっきりしなくなりました。
研究者は、毛に付着するアレルゲンを低く保つには少なくとも週2回の洗浄が必要としています。
つまり、
洗う → アレルゲンが減る → また増えてくる
ということです。
ペットのシャンプーは、アレルゲンを一時的に減らす方法としては研究されています。
でも、一度洗えばしばらく安心、というものではありません。
猫も洗えばFel d 1が減る?
猫についても研究されています。
猫アレルギーの主要アレルゲンは「Fel d 1」というタンパク質です。
8匹の猫を使った研究では、猫を洗うことで毛からFel d 1が取り除かれ、空気中のFel d 1も減少しました。
週1回の洗浄を続けたところ、空気中のFel d 1が平均44%減少した方法や、別の洗浄方法では平均79%減少した方法もありました。
ただし、こちらも注意点があります。
次の洗浄まで効果が安定して続いたわけではありません。
研究では、繰り返し洗浄しても、次の洗浄前には空気中のアレルゲン量が一貫して低くなるわけではありませんでした。
猫の場合、Fel d 1は唾液だけでなく皮膚でも作られています。
毛づくろいをすれば唾液由来のFel d 1が毛や皮膚に広がりますし、皮膚そのものもアレルゲンの供給源になります。
だから、洗ったからといってアレルゲンがなくなるわけではないんですね。
ペットを洗うと、アレルギー症状も軽くなる?
ここが一番知りたいところです。
「アレルゲンが減った」というだけなら、まだ「症状が軽くなる」とは言えません。
実際、猫アレルギーの人を対象に、家庭内のFel d 1を減らす環境対策を行った研究があります。
18人を環境対策グループ、22人を対策なしのグループに分けて調べたところ、8か月後には環境対策グループの家庭内Fel d 1が開始時の6.8%まで低下しました。
さらに、鼻の通りやアレルギー症状にも改善が見られました。
ただし、この研究は**「猫をシャンプーするだけ」の研究ではありません。**
家庭内のアレルゲンを減らすための環境対策全体を行ったものです。
ここは分けて考える必要があります。
| 研究で分かったこと | どこまで言える? |
|---|---|
| ペットを洗うとアレルゲンが減る | 研究あり |
| 空気中のアレルゲンも減ることがある | 研究あり |
| 家庭内のアレルゲンを減らすと症状が改善した研究がある | 研究あり |
| シャンプーだけでアレルギー症状が改善する | まだはっきりしない |
| シャンプーでアレルギーが治る | そうは言えない |
「毛を洗えばいい」だけではなかった
ここも意外なところです。
犬や猫のアレルゲンは、毛だけに存在しているわけではありません。
毛やフケから落ちたアレルゲンは、床や家具、カーペットなどにもたまります。
特に猫のFel d 1は、猫がいない場所からも検出されるほど環境中に広がりやすいことが分かっています。
そのため、ペットを洗うだけでなく、
- 寝室にペットを入れない
- 布製品にアレルゲンをためない
- 掃除をする
- 換気を考える
など、家の中にあるアレルゲンそのものを減らすことも重要になります。
「シャンプーさえすれば大丈夫」というほど単純ではないんですね。
アレルギー対策用シャンプーなら、もっと効果がある?
ここも気になるところです。
ペットショップなどでは、「アレルギー対策」をうたった商品を見かけることがあります。
ただ、今回確認できた研究から言えるのは、ペットを洗うことで付着しているアレルゲンを減らせる可能性があるというところまで。
特定の商品を使えばアレルギー症状まで改善する、とまでは研究から判断できません。
実際、猫を対象にした比較研究では、市販のアレルゲン対策スプレーなどについて、Fel d 1の放出量を明確に減らせなかった結果もあります。
商品名や「アレルギー対策」という言葉だけで判断するのではなく、実際に何が研究されているのかを見ることが大切です。
ペットのシャンプーでアレルギーは軽くなる?
最初の疑問に戻ります。
今回調べてみると、
ペットを洗うことで、毛やフケに付着したアレルゲンを減らせることは分かっています。
犬ではCan f 1、猫ではFel d 1が洗浄によって減少し、空気中のアレルゲンが低下した研究もあります。
ただ、その効果はずっと続くわけではありません。
そして、「ペットをシャンプーするだけで、アレルギー症状が軽くなる」とまでは、現在の研究からは言い切れません。
それでも、ペットを手放さずにアレルゲンへの曝露を少しでも減らす方法として、シャンプーを含めた環境対策を考える意味はありそうです。
アレルギーのある子どもとペットが一緒に暮らしているなら、「飼うか、飼わないか」の二択だけではなく、家の中に持ち込まれるアレルゲンをどう減らすか。
そこまで考えてみると、できる対策が少し見えてきます。
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