「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「最近、疲れているとアレルギー症状が出やすい気がする」
そんな経験はありませんか?
仕事や家事、育児で毎日バタバタして、睡眠時間も足りない。
そんな時期に、鼻水がひどくなったり、肌がかゆくなったり、いつもよりアレルギー症状が気になったりすることがあります。
「疲れているからかな?」
と思っても、疲労とアレルギーに本当に関係があるのかは、ちょっと分かりにくいですよね。
疲労そのものがアレルギーを作ってしまうのでしょうか。
それとも、もともとあったアレルギーが、疲れているときに表に出やすくなるのでしょうか。
調べてみると、ここには「コファクター」という、ちょっと気になる考え方が出てきました。
疲労そのものがアレルギーを作る?
まず、一番気になるところから。
現在の研究から、「疲労や過労そのものがアレルギー体質を作る」とまでは言えません。
アレルギーには遺伝的な要素や免疫の特徴、環境など、さまざまな要因が関係しています。
疲れているから新しくアレルギー体質になった、と単純に考えることはできません。
ただし、
すでにアレルギーがある人の反応に、疲労や睡眠不足などが影響する可能性
については研究されています。
ここが今回の話の面白いところです。
「疲労がアレルギーを作る」と「疲労によってアレルギー反応が起こりやすくなる」は、同じ話ではありません。
「コファクター」って何?
食物アレルギーの研究では、**コファクター(cofactor)**という言葉が出てきます。
これは、アレルゲンそのものではないけれど、アレルギー反応を起こしやすくしたり、反応を強くしたりする可能性がある要因のことです。
たとえば、運動、アルコール、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、感染症などが知られています。
成人の食物アナフィラキシーを扱ったレビューでは、コファクターが関与する反応は約30%と報告されており、睡眠不足も比較的よく報告されるコファクターの一つに挙げられています。
| コファクターの例 | アレルギーとの関係 |
|---|---|
| 運動 | 食物アレルギーの反応を強めることがある |
| NSAIDs | 反応の閾値を下げることがある |
| アルコール | 反応を悪化させることがある |
| 感染症 | アナフィラキシーのコファクターとして知られる |
| 睡眠不足 | コファクターの候補として研究されている |
| 疲労・ストレス | 関係が報告されているが、証拠にはばらつきがある |
コファクターがあると、普段なら症状が出ない程度のアレルゲン量でも反応したり、同じ量を食べても反応が強くなったりする可能性があります。
疲れているとアレルギー反応が変わる?
ここで「疲労」に注目してみます。
食物アレルギーの事故について調べた研究では、反応が起きたときに**「疲れていた」と答えた人が38%**いました。
かなり多い数字です。
「やっぱり疲労がアレルギー反応を強くしているのでは?」と思いますよね。
ところが、この研究では、疲労やストレスなどの候補コファクターが存在したことと、実際の反応の重症度との間に有意な関連は確認されませんでした。
疲労があるときの研究結果
| 研究で分かったこと | 結果 |
|---|---|
| アレルギー反応時に疲労があった人 | 38% |
| 疲労・ストレスなどのコファクターが存在した反応 | 多くのケースで確認 |
| コファクターと重症度の関係 | 明確な関連は確認されず |
| 疲労がアレルギーを起こすこと | 証明されていない |
この結果は、なかなか興味深いところです。
「疲れていると症状が出る気がする」という実感があったとしても、それだけで「疲労がアレルギー反応を強くしている」とは判断できません。
睡眠不足はどうなの?
疲労とかなり近いのが、睡眠不足です。
2025年には、食物アレルギーのある子どもで、睡眠不足のあとにアナフィラキシーが起きたケースが報告されています。
その子どもは食物経口免疫療法中で、普段より約3時間睡眠が短い状態で牛乳を摂取したあとにアナフィラキシーを起こしました。
もちろん、これは1人の症例報告です。
この1例だけで「睡眠不足になるとアナフィラキシーが起こる」とは言えません。
ただ、睡眠不足が食物アレルギーのコファクターになる可能性を考える材料として報告されています。
睡眠不足とアレルギー反応の関係は研究されていますが、「睡眠不足ならアレルギーが悪化する」と断定できるほどの証拠がそろっているわけではありません。
ストレスも関係している?
疲労と一緒に語られやすいのがストレスです。
ストレスがかかると、体内ではホルモンや神経系の変化が起こります。
免疫系にも影響が及ぶため、ストレスとアレルギーの関係は以前から研究されています。
近年のレビューでも、ストレスによる免疫機能の変化がアレルギー疾患の発症や症状の悪化に関係する可能性が検討されています。
ただし、これも、
「ストレスがある」
↓
「アレルギーになる」
という単純な話ではありません。
遺伝的な体質やアレルゲンへの曝露など、ほかの要因と組み合わさって影響する可能性があります。
アレルギーのせいで疲れていることもある
ここで、話が反対向きになります「疲れているからアレルギー症状が出る」だけではありません。
アレルギーのせいで疲れているということもあります。
たとえばアレルギー性鼻炎では、鼻づまりや鼻水が続くと、夜の睡眠が妨げられることがあります。
睡眠の質が下がれば、翌日の眠気や疲労感につながります。
アレルギー性鼻炎と睡眠、日中の眠気や疲労については以前から研究されており、鼻づまりなどによる睡眠障害が日中の疲労につながることが報告されています。
| 起こっていること | その先に起こり得ること |
|---|---|
| アレルギー性鼻炎 | 鼻づまり・鼻水 |
| 鼻づまりが続く | 夜の睡眠が妨げられる |
| 睡眠の質が低下 | 日中の眠気・疲労 |
| 疲労が続く | 「疲れているから症状が悪い?」と感じる |
こうして見ると、疲労とアレルギーは一方向だけの関係ではなさそうです。
アレルギー → 睡眠の悪化 → 疲労という流れもあります。
「疲労→アレルギー」はまだ決着していない
今回の研究を並べてみると、かなり微妙なところが見えてきます。
疲労は食物アレルギー反応のときによく見られる要因です。
睡眠不足もコファクターとして研究されています。
ストレスとアレルギーの関係も研究されています。
でも、「疲労があればアレルギー反応が強くなる」と一律に言えるわけではありません。
実際、食物アレルギー患者の反応を調べた研究では、疲労などの候補コファクターが多く存在していたにもかかわらず、反応の重症度との明確な関連は確認されませんでした。
さらに、重症の食物アレルギー反応を予測するための2022年のエビデンスレビューでも、コファクターが重症化に与える影響については不確実性が残っているとされています。食物依存性運動誘発アナフィラキシーなど、一部を除いて明確な予測因子とは言い切れません。
疲労や過労でアレルギーになるの?
ここまで調べると、「疲労や過労が原因で、新しくアレルギー体質になる」とは、今のところ言えません。
ただ、「疲労や睡眠不足などが、すでにあるアレルギー反応に影響する可能性がある」という研究はあります。
特に食物アレルギーでは、運動や薬、アルコール、感染症などと同じように、睡眠不足やストレスなどがコファクターとして研究されています。
ただし、疲労については研究結果がそろっていません。
「疲れているとアレルギーが悪化する」という体感があったとしても、それだけで疲労が原因だと決めつけることはできません。
アレルギーそのものが睡眠を邪魔して、疲労につながっている可能性もあります。
疲れているときに症状が気になる。
そんな場合には、「疲れのせいだ」と片付けるより、睡眠が取れているか、鼻づまりやかゆみなどのアレルギー症状が続いていないかも一緒に見ておくと、原因を考えるヒントになるかもしれません。
疲労はアレルギーの「原因」なのか、それとも反応を左右する「脇役」なのか。
今の研究を見る限り、どうやら後者として注目されているようです。
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