「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「圧力アレルギー」って聞いたことあります?
……いや、なんですかそれ(笑)。
食物アレルギーなら分かります。卵や牛乳など、特定の食べ物に反応するものですよね。
花粉症だって、花粉という原因があります。
でも、**「圧力がアレルギーの原因になる」**と言われると、「もう何でもアレルギーやん」と思ってしまいます。
ところが調べてみると、これが完全なデタラメでもありませんでした。
医学的には「圧力アレルギー」という病名ではなく、**「遅延性圧迫じんましん」**という病気があります。
しかも、重い荷物を持ったり、硬い椅子に座ったりするような、普段の生活で受ける圧力がきっかけになることがあります。
本当に「圧力」でじんましんが出る
遅延性圧迫じんましんは、名前の通り、皮膚に圧力が加わったあとに、じんましんや血管性浮腫(皮膚の奥のほうまで腫れる症状)が起こる病気です。
特徴的なのは、圧力を受けた直後に症状が出るとは限らないこと。
むしろ、圧力がかかってから4~6時間ほどたって症状が出ることが多いとされています。症状が出ると、赤く腫れたり、痛みやかゆみを感じたりします。腫れが8~72時間ほど続くこともあります。
例えばこんな感じ
🎒 重いバッグを長時間持つ
💺 硬い椅子に長時間座る
👖 きつい服やベルトで締めつけられる
🪜 はしごの段を踏み続ける
🐎 馬に長時間またがるその場では何ともないのに、数時間後になって押されていた部分が腫れてくることがあります。
「圧力をかけたら赤くなった」というだけなら、普通の圧迫による皮膚の変化ということもあります。
でも、圧迫から時間がたって、じんましんのような腫れが繰り返し起こるとなると、話が変わってきます。
なんで「遅れて」出てくるの?
これが、この病気のちょっと不思議なところです。
一般的な誘発性じんましんでは、刺激を受けると比較的早く症状が出るものがあります。
ところが遅延性圧迫じんましんでは、圧力を受けた場所に数時間たってから症状が現れます。
しかも、単純に皮膚の表面が赤くなるだけではありません。
皮膚の奥の組織まで腫れ、痛みを伴うことがあります。DermNetでは、手、足、体幹、臀部、脚、顔などが影響を受けやすい部位として挙げられています。
普通の「押されたあと」とはちょっと違う
圧力
↓
その場では症状がないことも
↓
4~6時間ほど後
↓
赤み・腫れ・痛み・かゆみ
↓
数時間~数日続くこともこの「時間差」が、遅延性圧迫じんましんの特徴です。
「圧力アレルギー」は正式な名前なの?
ここはちょっと注意したいところです。
「圧力アレルギー」というのは、正式な医学用語ではありません。
医学的には「圧迫じんましん(pressure urticaria)」、特に時間をおいて症状が出るタイプを「遅延性圧迫じんましん(delayed pressure urticaria)」と呼びます。
そしてこれは、慢性誘発性じんましんというグループに分類されています。
慢性誘発性じんましんというのは、何らかの外からの刺激によって、じんましんが誘発されるタイプです。国際的なじんましんのガイドラインでも、圧力によって起こるタイプが分類されています。
「圧力アレルギー」という言葉を整理すると
圧力アレルギー
→ 分かりやすく言った呼び方遅延性圧迫じんましん
→ 医学的に使われている病名なので、「圧力アレルギー」という名前の病気があるというより、圧力によってじんましんが起こる病気が実際にある、ということです。
食物アレルギーとは何が違う?
ここで、「じゃあ卵アレルギーと同じなの?」という疑問が出てきます。
これは少し違います。
食物アレルギーでは、食べ物に含まれる特定の成分をアレルゲンとして免疫が認識し、反応するケースがあります。
一方、遅延性圧迫じんましんでは、圧力という物理的な刺激がきっかけになっています。
つまり、「圧力という物質に対するアレルギー」というわけではありません。
国際的な分類でも、圧迫じんましんは「慢性誘発性じんましん」の一つとして、寒冷じんましん、日光じんましん、振動による血管性浮腫などと並んで分類されています。
| きっかけ | 代表的なタイプ |
|---|---|
| 皮膚をこする・ひっかく | 皮膚描記症 |
| 寒さ | 寒冷じんましん |
| 日光 | 日光じんましん |
| 水 | 水によるじんましん |
| 振動 | 振動による血管性浮腫 |
| 圧力 | 遅延性圧迫じんましん |
「アレルギー」という言葉から、食べ物や花粉のような「何かの物質」を想像すると、ちょっと分かりにくいですよね。
じんましんには、物質ではなく物理的な刺激が引き金になるタイプもあるということです。
体の中では何が起きている?
では、圧力を受けると、どうして皮膚が腫れるのでしょう。
ここは、実はまだ完全に分かっていません。
遅延性圧迫じんましんでは、**肥満細胞(マスト細胞)**という免疫に関係する細胞が重要な役割を果たしていると考えられています。
肥満細胞にはヒスタミンなどの物質が含まれていて、これらが放出されると血管などに変化が起こり、皮膚が赤くなったり、腫れたりします。
ただ、「圧力を受けたことが、どうやって数時間後のこの反応につながるのか」という細かな仕組みについては、まだはっきりしていない部分があります。
つまり、
圧力がかかる
↓
何らかの仕組みで免疫・炎症反応が起こる
↓
肥満細胞などが関係して腫れが起こる
↓
数時間後に症状が出てくる
というところまでは分かっていますが、その途中にはまだ分からない部分が残っています。
どんな人に起こるの?
遅延性圧迫じんましんは珍しい病気ですが、「ものすごく特殊な病気」というわけでもありません。
発症のピークは20~30代とされ、慢性的に続くことがあります。平均罹病期間は9年とする報告もあります。
また、圧迫じんましんだけを持っているとは限りません。
慢性じんましんや、皮膚をこすると膨らむ「皮膚描記症」、血管性浮腫などを一緒に持っている人もいます。DermNetでは、圧迫じんましんの患者の最大60%に、こうした別のじんましん症状などがみられるとしています。
病院ではどうやって調べる?
診断では、症状が出た状況や時間経過を詳しく確認します。
「何をしたあとに腫れたのか」「どこに圧力がかかったのか」「何時間後に症状が出たのか」といった情報が重要です。
必要に応じて、実際に一定の圧力をかけて、その後にじんましんが出るかを見る誘発試験が行われることもあります。
ただし、圧迫じんましんは反応が出るまで数時間かかることがあるため、すぐに結果が分かるとは限りません。
「自分も圧力アレルギーかも」と思って、自宅で強く押して試す必要はありません。
繰り返し腫れる、痛みが強い、日常生活に支障があるといった場合は、皮膚科やアレルギーを診療する医療機関に相談するほうが安心です。
治療はどうするの?
まずは、できる範囲で圧力を減らすことが基本になります。
たとえば重いバッグなら、肩の一点に負担が集中しないようにするなど、圧力を分散させる工夫があります。
ただ、圧迫じんましんは治療が簡単とは限りません。
一般的な抗ヒスタミン薬は、併存する慢性じんましんには役立つことがありますが、圧迫じんましんそのものには十分な効果が得られないこともあるとされています。
症状が強い場合には、医師が症状や経過を見ながら治療方法を検討します。
結局、「圧力アレルギー」はあるの?
あります……と言いたくなるところですが、ここは少しだけ正確に。
「圧力アレルギー」という正式な病名があるわけではありません。
でも、圧力をきっかけにじんましんや腫れが起こる「遅延性圧迫じんましん」という病気は、実際にあります。
しかも、重いバッグ、ベルト、硬い椅子、長時間の立ち仕事など、普段の生活でも圧力はかかります。
さらに面白いのが、押された直後ではなく、何時間もたってから症状が出ることがあること。
「圧力アレルギー?もう意味わかんない…」と思って調べ始めたら、ほんまにそんな病気があった。
今回の話は、まさにそんな感じでした。
ただ、正式には「アレルギー」というより、圧力によって誘発されるじんましんと考えるほうが正確です。
「アレルギー」という言葉だけでは、体の中で起こっていることを全部説明できない。そんなことを感じさせてくれる、ちょっと変わったじんましんです。
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