入園・入学の手続きが終わっても、実は本番はそこからです。食物アレルギーのある子が、毎日の給食を安心して食べさせてもらうために、家庭と園・学校が日々どう連携していくか——ここでは、アレルギー給食対応の基本と、日々のちょっとした工夫をまとめました。入園・入学前の手続きや面談については「保育園・学校との連携」もあわせてご覧ください。
給食は「全部だめ」か「全部OK」かのどちらかが基本
おうちでは「ちょっとなら食べられる」というものがあっても、保育園・学校の給食では、おうちと同じようにはいきません。これは、多くの園・学校で共通しているルールです。
「完全除去」「一部除去」「解除」って何のこと?
給食の話でよく出てくる言葉を、かんたんに説明しておきますね。
- 完全除去:その食べ物を、少しの量も、加工品も、まったく出さないこと
- 解除:除去をやめて、みんなと同じ給食にすること
- 一部除去(部分除去):「醤油やお味噌みたいに、ごくわずかしか入っていないものは食べられる」というふうに、範囲を決めて除去すること
一部除去の場合、給食そのものではなく、特定の一品だけを家から持って行くという形で対応することもあります。例えば、おかずだけ食べられないときはおかずだけ持参し、ご飯は給食のものを食べる。逆に、炊き込みご飯のように、ご飯自体にアレルゲンが混ざっているときは、白いご飯だけ持参して、おかずは給食のものを食べる、というように、「何が食べられて、何を持参するか」を1品単位で決めておくイメージです。
なぜ「全部だめ」か「全部OK」が基本なの?
多くの園・学校では、「全部だめ(完全除去)」か「全部OK(解除)」の、どちらかにしておくのが基本とされています。「一部除去」は、厨房や人手に余裕がある園・学校で、お医者さんの指示があれば行われる、例外的なやり方です。
- 給食では、その食べ物を「まったく使わない」か「そのまま使う」かのどちらかにするのが基本
- 「これくらいなら食べられる」に細かく合わせようとすると、作る側・配る側の手間が増え、間違えるリスクが上がってしまうため
- おうちと園・学校で対応が違うのは、園・学校の対応がゆるいからではなく、安全のためのルールだから
このことを先に知っておくと、「思っていたのと違った」と戸惑うことが少なくなります。醤油やだしなど、その食べ物がごくわずかしか入っていない調味料は、「除去しなくても大丈夫」と判断されて、そのまま給食に使われることも多いです。ただ、園や学校によって考え方が違うこともあるので、入園(入学)先に一度聞いておくと安心です。
日々の連携で気をつけたいこと
- 毎月配られる献立表は、必ず目を通す(除去食・代替食の内容が書いてあることが多い)
- 献立表に書いてある内容が、子供の除去内容と合っているか、自分の目でも確かめる
- 連絡帳や口頭で、その日の体調や食事のことを伝える
- お弁当や代わりの食事を持って行く日は、前もって伝えておく
- 「今日は◯◯さん、除去食です」というように、口に出して伝え合うことが、実際とても効果的なようです
保育・教育の現場の話を聞くと、口で確認し合う習慣がある園ほど、誤って食べてしまう事故が少ないという声もあります。連絡帳に書くだけでなく、送り迎えのときにひとこと確認するだけでも、意外と大きな安心につながります。献立表も、届いたその日のうちに目を通して、気になるところがあれば早めに園・学校に聞いておくと安心です。
担任や栄養士さんが変わる日は特に注意

実際にあったヒヤリハットの例を見ると、いつもと違う体制の日に、間違って食べてしまうリスクが高まる傾向があります。
- パートさんや、代わりの保育士さんが対応する日
- 新人さんや実習生さんがいる日
- 担任の先生がお休みで、他の先生が代わりに対応する日
- 行事などで、いつもと配膳や保育の流れが変わる日
こうした「いつもと違う日」は、園・学校側も気をつけてくれていることが多いですが、保護者の側からも「今日は特別な体制の日かもしれない」と意識して、連絡帳などで念のためひとこと伝えておくと、より安心です。
実際にあったヒヤリハット
配膳ミスや誤食のヒヤリハットは、「いつもと違う」「いろんな作業が重なる」ときに起きやすい傾向があります。実際に起きた事例や、その対策については「給食でのヒヤリハット集」で詳しく紹介しています。
実際、「先生が間違えて卵入りのおかずを持ってきたよ」と、子供自身が教えてくれて、誤って食べるのを防げた、という経験を持つ保護者も少なくありません。園・学校側の体制を整えるだけでなく、子供自身にも「おかしいなと思ったら、食べる前に確認する」という習慣を持たせておくことが、最後の砦として大きな意味を持ちます。
行事のときに確認しておきたいこと
給食以外にも、気をつけておきたい場面があります。
- 年間の行事予定表(食べ物に関するもの)も、もらえるなら早めにもらっておく
- おやつ作り、調理実習、食育の授業(アレルゲンに触れる可能性がある)
- 遠足や宿泊行事でのお弁当・食事(詳しくは「学校行事でのアレルギー事例集」もご覧ください)
- 誕生日会など、園ならではのイベントでのおやつの有無
餅つき大会は、特に見落としやすい行事のひとつです。ついたお餅にまぶす「きな粉」は大豆からできているので、大豆アレルギーがある場合は注意が必要です。餅つきは季節の定番行事ですが、給食の献立表には載らないことも多く、「まさかきな粉で反応するとは思わなかった」ということも起こり得ます。給食だけでなく、1年を通して食べ物が関わる予定を一覧でつかんでおくと、こうした見落としを防ぎやすくなります。
行事の予定がわかったら、早めに確認・相談しておくと、当日になって慌てずに済みます。
まとめ
- 給食は「全部だめ」か「全部OK」のどちらかが基本。「一部除去」は例外的なやり方
- 毎月の献立表は必ず確認し、子供の除去内容と合っているかチェックする
- 連絡帳+口に出して伝え合うことが、誤食を防ぐのに効果的
- 「いつもと違う日」「作業が重なる日」ほどヒヤリハットが起きやすい
- 園・学校側の体制づくりだけでなく、子供自身にも確認する習慣を持たせておく
- 年間の食べ物に関する行事予定表ももらっておくと安心(餅つきのきな粉など、見落としやすい行事もある)
- 行事の予定がわかったら早めに確認・相談を
給食対応の内容は、園や学校によって差があります。不安な点は遠慮せず相談してください(詳しくは免責事項をご確認ください)。入園前の手続きについては「保育園・学校との連携」もあわせてご覧ください。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。
参考にした情報源
- 集団給食の食物アレルギー対応で知っておきたいこと|株式会社明治「知って!食物アレルギー」
- 保育所・幼稚園・学校における対応|食物アレルギー研究会
- 学校における食物アレルギー対応ヒヤリハット・ヒント事例集|東京都教育庁
- 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン|厚生労働省
- 「完全除去」と「解除」の両極で対応を進めるべきである、について|山梨大学医学部附属病院アレルギーセンター
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