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給食でのヒヤリハット集

給食でのヒヤリハット集の絵 園・学校生活とそなえ

「うちの子に限って」なんて、実はないんです

わが家でも、こんなことがありました。子供が給食で卵入りのおかずを配膳されたとき、「あれ?」と自分で気づいて、先生に伝えてくれたそうです。おかげで食べることなく済みました。私たち親がそのことを知ったのは、数日たってから子供が話してくれたときでした。原因は、担任の先生の勘違いによる配膳ミスでした。

正直なところ、「いつもいろいろ気を配ってもらっているし……」という気持ちもあって、特に強く抗議するようなことはしませんでした。ただ、心のどこかで「やっぱり100%は信用しきれないな」という思いが残ったのも事実です。この感覚は、アレルギーのある子を育てている人じゃないと、なかなか分かってもらえないところかもしれません。

学校や園の先生たちは、本当に一生懸命アレルギー対応をしてくれています。それでも、先生は一人でクラス全体、何十人もの子供を見ているわけで、アレルギーのある子だけにつきっきりというわけにはいきません。給食の時間はただでさえ配膳・おかわり・こぼした物の片付けなど、やることが一気に重なる時間帯でもあります。人がやることである以上、ちょっとした勘違いや連絡漏れは起きてしまうものなんです。この記事では、東京都教育委員会がまとめている事例集をもとに、実際にどんな場面でヒヤリハットが起きやすいのかを紹介します。「知っておく」だけでも、いざというときの心構えが変わってくるはずです。

そもそも「ヒヤリハット」ってどういうこと?

「ヒヤリハット」というのは、実際に事故にはならなかったけれど、一歩間違えれば事故につながっていたかもしれない出来事のことです。「ヒヤリとした」「ハッとした」場面、という意味なんですね。

食物アレルギーの現場では、この「ヒヤリハット」がとても大切な情報だと考えられています。事故になった後で対策を考えるのではなく、事故になる手前の「危なかった瞬間」を集めて共有することで、次の事故を防ごうという考え方です。

東京都教育委員会も「学校における食物アレルギー対応 ヒヤリハット・ヒント事例集」という冊子を作っていて、都内の学校から集まった実際の事例がたくさん載っています。ここからは、その中でも「あ、これはうちの子の学校でも起こりうるかも」と感じやすい事例を、場面別にピックアップして紹介します。

ちなみに、労働災害の分野には「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」という有名な経験則があります。1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件のヒヤリハットが隠れている、という考え方です。もともとは工場などの労働現場を分析して導き出されたものなので、学校給食にそのまま当てはまる数字というわけではないんですが、「小さな異変を見逃さずに拾っておくことが、結果的に重大な事故を防ぐことにつながる」という発想は、アレルギー対応にもそのまま通じるところがあると思います。

献立を作る・調理する段階でのヒヤリハット

給食のおばちゃんが給食を作っている絵

名前を聞いただけでは分からない料理名

「マーラーカオ(卵入りの蒸しパン)」「がんもどき(ごま・ひじきが入っていることが多い)」など、料理名だけを見てもアレルギー原因食物が入っているかどうか分かりにくいメニューがあるそうです。ひらがな表記の献立表だと、なおさら見落としやすくなるみたいです。

発注したものと違うものが届いてしまう

「ごまなし」を指定して発注したのに、ごま入りのものが届いてしまった、というケースも報告されています。加工食品は原材料が業者によって違うことがあるので、いつも使っているものと同じだと思い込むのは危ないんですね。

調理の途中で違う料理に混ざってしまう

除去食を取り分けたあと、近くに置いてあった別の(みんな共通の)料理に、原因食物がひとかけら混ざってしまった、という事例もありました。取り分けたから安心、というわけではなく、調理中はずっと気を抜けない作業のようです。

配膳のときに起きやすいヒヤリハット

ここからが、いちばん「うちの子にも起こりそう」と感じる保護者が多い部分かもしれません。

  • 名札の貼り間違い:対応食用に用意した名札を、うっかり別の子のものと入れ替えてしまう
  • 同姓の子がいて取り違える:同じ苗字の子がクラスにいて、対応食を間違えてセットしてしまう
  • 配膳車に置く場所を間違える:普段と配置が違う日(行事などで教室の並びが変わった日)に、違うクラスの配膳車に対応食を載せてしまう
  • 担任が席を外していたすきに:担任が他の子の対応で教室を離れていた間に、対応食があることが伝わらないまま普通食が配られてしまう
  • アレルギー食材に触れた調理器具をそのまま使う:アレルギー食材をつかんだトングを、そのまま別の料理の盛り付けに使ってしまい、直接混ぜていなくても器具を介して原因食材が付着してしまう

こうした事例に共通しているのは、「いつもと違う日」「担任が一人で抱えている場面」で起きやすいということです。運動会や校外学習など、通常と時間割が違う日は特に注意が必要みたいですね。

給食を食べているときのヒヤリハット

幼稚園で園児たちが給食を前にいただきますをしている様子

配膳が無事に済んだあとも、油断はできないようです。

  • おかわりのときにトレーの色を間違える:対応食はトレーの色を変えている学校が多いですが、補教(担任の代わりに来た先生)がその違いに気づかず、普通食をおかわりに配ってしまった
  • 牛乳を拭いた雑巾に触れてしまう:こぼれた牛乳を拭いた雑巾を触った手で顔を触り、じんましんが出てしまった
  • すりごまの粒子で症状が出る:直接食べていなくても、近くにいた子が食べていたすりごまの粒子が原因で症状が出た

「口に入れなければ大丈夫」というわけではなく、触れたり吸い込んだりするだけで症状が出ることもあるというのは、意外と知られていないポイントかもしれません。

気づくタイミングは、その場とは限らない

わが家のケースでは、子供本人が配膳された時点で「あれ?」と気づいて、その場で先生に伝えることができました。誤配膳そのものは防げなかったけれど、食べる前に本人が気づいて指摘できたおかげで、事故には至りませんでした。ただ、親としてそのことを知ったのは、家に帰って数日たってから子供がふと話してくれたときです。学校からの連絡はありませんでした。

本人が気づいて防げたのは、日頃から「これは食べられない」と自覚できていたからだと思います。とはいえ、これは結果的にうまくいったケースで、いつも子供の気づきに頼れるとは限りません。年齢が低いほど、配膳された時点で違いに気づくこと自体が難しいこともあります。

事例集の中にも、「本人は大丈夫と言ったから確認せず提供したら、実は原因食物が入っていた」というケースが紹介されていました。子供本人の気づきに助けられる場面がある一方で、それだけに頼らない大人同士のダブルチェックの仕組みが、やっぱり大事なんだと思います。

「強く言えない」保護者の複雑な気持ち

ここは事例集には載っていない、保護者としての本音の部分です。

学校や園の先生たちは、日々の対応で本当にいろいろ気を配ってくれています。だからこそ、何かあったときに「ちゃんと確認してください」と強く言いづらい、という気持ちを持つ保護者は、決して少なくないんじゃないかと思います。うちも、いつもお世話になっている引け目みたいなものがあって、その一件については特に何も言いませんでした。

ただ、それとは別に「やっぱり100%は任せきれないな」という感覚も、正直なところ消えませんでした。この二つの気持ちは矛盾しているようで、実はどちらも本当の気持ちなんですよね。もし同じように感じている保護者がいたら、それは決しておかしなことではないんだと伝えたいです。

家庭でできる備え

学校側の体制づくりはもちろん大切ですが、家庭の側でもできることがあります。

子供に「聞く習慣」をつくっておく
「今日の給食、いつもと違うことなかった?」というような、答えやすい聞き方を日常的にしておくと、何かあったときに話してくれやすくなるかもしれません。「アレルギーのこと聞かれた?」だと答えにくくても、雑談の延長なら話しやすいことがあります。

子供自身にも、年齢に応じて伝えておく
「これ、自分では食べられないやつだよね?」と自分で気づけるように、家庭でも繰り返し伝えておくことは、学校での二重チェックにプラスして意味があるようです。わが家の場合は、これが功を奏して食べる前に気づけました。「あれ?と思ったら、その場で先生に言ってね」というところまで、具体的に伝えておくとよさそうです。

変更があったときは、必ず学校に伝える
年度の途中でアレルギーの内容が変わったときは、口頭だけでなく生活管理指導表を出し直すなど、記録に残る形で伝えるのが安心です。事例集でも「担任には口頭で伝えたが、栄養士や調理員まで情報が届いていなかった」というケースが紹介されていました。

ヒヤリハットがあったときは、責めるより「次に活かす」姿勢で伝える
強く責めてしまうと、学校側も萎縮して情報共有がしにくくなることがあるかもしれません。「次からはこうしてもらえると助かります」というように、一緒に対策を考える姿勢で伝えるほうが、結果的に子供にとってプラスになることが多いようです。

まとめ

学校や園でのヒヤリハットは、先生たちがサボっているから起きるわけではなく、「いつもと違う日」「確認が一人に集中してしまう瞬間」に起きやすいものだということが、事例集からも見えてきます。

大切なのは、「うちの学校は大丈夫」と思い込まず、かといって過度に不安にならず、「起こりうるもの」として家庭でも備えておくことなんだと思います。子供に日常的に聞く習慣をつくっておくこと、変更があったときはきちんと記録に残る形で伝えること。この積み重ねが、いざというときに子供を守ることにつながるはずです。


免責事項
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。

参考情報源
・東京都教育委員会「学校における食物アレルギー対応 ヒヤリハット・ヒント事例集」(平成29年3月改訂)
・厚生労働省「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」

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※本記事は、公開されている情報をもとに、できるだけわかりやすくまとめたものです。個別の状況によって適切な対応は異なりますので、ご不安な点がある場合は自己判断せず、専門機関・専門家にご確認ください。詳しくは免責事項をご覧ください。 緊急性の高い症状が見られる場合は、自己判断せず、直ちに救急要請または医療機関を受診してください。

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