「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「シュスラー塩」という名前を聞いたことはありますか?
海外では、アレルギーや花粉症に使うものとして紹介されていることがあります。ミネラルを使ったものなので、「カルシウムやマグネシウムなら、体に必要なものだしアレルギーにも関係するのかな?」と思う人もいるかもしれません。
でも、調べてみると、普通のミネラルサプリメントとは少し違うものでした。
そもそもシュスラー塩とは何なのか。そして、本当にアレルギーに使えるのでしょうか。
シュスラー塩ってそもそも何?
シュスラー塩は、19世紀のドイツ人医師、ヴィルヘルム・ハインリヒ・シュスラーが考えた療法です。
シュスラーは、体の細胞には特定の無機塩類が存在し、それらのバランスが崩れることで病気が起こると考えました。
そこで、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、シリカなど、12種類の「組織塩」を基本とする独自の療法を作りました。
現在も「シュスラー塩」「組織塩」「ティッシュソルト」などの名前で販売されているものがあります。
ただし、ここで少しややこしいのが、その作り方です。
シュスラー塩には、ミネラルをそのまま大量に補給するサプリメントとは違い、非常に薄くしたものが使われています。
そのため、「カルシウムが入っているからカルシウムサプリと同じ」と考えるものではありません。
ホメオパシーとは関係ある?
ここは、バッチフラワーレメディのときと同じくらい気になるところです。
シュスラー塩を考えたシュスラー自身は、当時のホメオパシーの影響を受けた医師でした。
実際、現在販売されているシュスラー塩の多くは、ホメオパシーで使われる「ポテンシー」という方法で希釈されています。
一方で、シュスラー本人は自分の療法を、一般的なホメオパシーとは区別して考えていました。
そのため、「シュスラー塩=ホメオパシー」と単純に言い切るより、ホメオパシーの歴史と深い関係を持ちながら、独自の理論から発展した療法と考えたほうが分かりやすそうです。
アレルギーにはどう使われているの?
では、肝心のアレルギーです。
海外のシュスラー塩のメーカーや販売サイトを見ると、アレルギーや花粉症を対象にした組み合わせが実際に紹介されています。
たとえば、複数のシュスラー塩を組み合わせて「アレルギー対策」「花粉症対策」として販売している商品があります。
つまり、シュスラー塩がアレルギーに使われていること自体は事実です。
ただ、ここで気になるのは、
「実際に使われている」
ことではなく、
「アレルギーが改善することを研究で確認されているのか?」
というところです。
シュスラー塩そのものを調べた研究は?
今回、シュスラー塩とアレルギーについて研究を探してみました。
しかし、シュスラー塩そのものを使って、アレルギー疾患への効果をしっかり確認した質の高い臨床研究は、十分に見つかりませんでした。
ここは意外なところでした。
「アレルギー用」として販売されている商品が海外にはある一方で、その商品やシュスラー塩の考え方そのものについて、アレルギー症状の改善を確認する十分な研究があるわけではありません。
では、シュスラー塩に使われている「ミネラル」について研究されているなら、それはどうなのでしょうか。
カルシウムならアレルギーに効く?
シュスラー塩にはカルシウムを含むものがあります。
カルシウムはもちろん人間の体に必要なミネラルですし、アレルギー反応との関係について研究されたこともあります。
実際、アレルギー反応によって皮膚に膨らみやかゆみが出る反応に対して、カルシウム製剤を使った研究もあります。
しかし、40人を対象にカルシウムとプラセボを比較したランダム化比較試験では、アレルギー反応による皮膚の膨らみやかゆみについて、カルシウムを使ったグループに明確な効果は確認されませんでした。
ここから分かるのは、「カルシウムが体に必要」ということと、「カルシウムを摂ればアレルギーが改善する」ということは別の話だということです。
そして、シュスラー塩は通常のカルシウム補給とは違うため、この研究結果をそのままシュスラー塩の効果に置き換えることもできません。
「ミネラルを補えばアレルギーが良くなる」という話ではない
シュスラー塩の考え方では、体内のミネラルのバランスや細胞の状態が重要だとされています。
ただ、現代の医学では、アレルギーは単純に「特定のミネラルが足りないから起こる」というものではありません。
アレルゲンに対する免疫反応や、IgE、マスト細胞など、さまざまな仕組みが関係しています。
そのため、「アレルギーだから、このミネラルを補えばいい」というところまで単純化することはできません。
ホメオパシーの研究結果は参考になる?
シュスラー塩そのものの研究が少ないため、関連する情報としてホメオパシー全体の研究も見てみました。
アレルギー性鼻炎については、ホメオパシーを調べたシステマティックレビューがあります。
複数の研究が検討されていますが、研究方法の問題が多く、効果について確かな結論を出せる状態ではありませんでした。
また、近年のランダム化比較試験でも、ホメオパシーによる治療がプラセボより優れていることは確認されませんでした。
ただし、ここは注意が必要です。
シュスラー塩とホメオパシーは完全に同じものではありません。
そのため、「ホメオパシーに十分な根拠がないから、シュスラー塩も絶対に効かない」と単純に決めることはできません。
問題は、シュスラー塩そのものについて、アレルギーへの効果を確認する研究が十分にないことです。
では、シュスラー塩はアレルギーに使える?
「使える」という言葉をどう考えるかで答えが変わってきます。
海外では実際にアレルギーや花粉症向けとしてシュスラー塩が使われています。
一方で、現在確認できる研究からは、シュスラー塩を使えばアレルギー症状が改善すると判断できるだけの十分な根拠はありません。
また、シュスラー塩はミネラルを補給する一般的なサプリメントとも違います。
「カルシウムが入っているからカルシウム不足を補える」「ミネラルだから体に良い」というイメージだけで考えると、シュスラー塩本来の考え方からも、科学的な検証からも少し離れてしまいます。
今回調べて分かったこと
シュスラー塩は、19世紀のドイツで生まれた独自の療法で、12種類の組織塩を基本にしています。
現在も海外では、アレルギーや花粉症向けとして実際に使われています。ここまでは「そういう使い方がある」という事実です。
ただ、アレルギーそのものを対象にシュスラー塩の効果を確認した質の高い研究は十分ではありませんでした。
また、シュスラー塩にはホメオパシーとの歴史的なつながりがありますが、両者を完全に同じものとして扱うこともできません。
今回の調査では、「アレルギーに使われている」という事実は確認できたものの、「アレルギーを改善することが科学的に確認されている」ところまでは来ていない、というところでした。
「使ってみたい」と思う人がいること自体は不思議ではありません。ただ、アレルギーの治療として考えるのであれば、現在確認されている治療法とは分けて考えたほうがよさそうです。
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