「アレルギーが心配だから、卵は遅めに始めよう」——そう考えている方も多いのではないでしょうか。実はこの考え方、離乳食の常識が変わった今では見直されています。ここでは、なぜ考え方が変わったのか、そして最近分かってきた「早く始めれば絶対に安心、というわけでもない」という話まで、順番に整理します。
離乳食で気をつけたい食品トップ10
これから色々な食材に挑戦していく時期だからこそ、「アレルギーの原因になりやすい食品」を知っておくと、体調の変化があったときに「もしかしてこれかも」と気づきやすくなります。子供の食物アレルギーの原因食物、上位10品目は次の通りです。
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
- 木の実類(クルミ・カシューナッツなど)
- 落花生(ピーナッツ)
- 果物類
- 魚卵類(イクラなど)
- 甲殻類(えび・かになど)
- そば
- 大豆
この10品目で、原因食物全体の9割以上を占めるとされています。0歳では鶏卵・牛乳・小麦が圧倒的に多く、成長とともに原因になりやすい食品も変わっていきます。中でも研究データが特に豊富なのが卵です。ここでは卵を例に、離乳食の進め方を見ていきます。
卵の摂取を「遅らせる」ことは予防にならない
以前は「アレルゲンになりやすい食品は開始を遅らせた方が安全」と考えられていました。しかし、国立成育医療研究センターが行った研究(通称:PETIT研究)などにより、この考え方は大きく見直されています。すでに湿疹・アトピー性皮膚炎のある、食物アレルギーのリスクが高い赤ちゃんを対象にした研究では、卵の摂取を1歳まで完全に避けたグループでは37.7%が卵アレルギーを発症したのに対し、生後6か月ごろから少量の加熱卵を食べ始めたグループでは8.3%にとどまりました。「遅らせる」ことは予防にはならず、むしろ適切な時期に少しずつ始める方が予防につながる可能性がある、というのが今の考え方です。
- 対象になったのは、すでにアトピー性皮膚炎のある「発症リスクが高い」赤ちゃんです
- 自己判断で真似するのではなく、必ず医師の指導のもとで進めることが前提の研究です
ただし、卵を「早く始めれば安心」というわけでもない
実はここ数年で、もう一段階新しい話も出てきました。日本では2017〜2021年にかけて卵の早期摂取が広く推奨されるようになりましたが、2026年に国立成育医療研究センター自身が発表した10年分の追跡調査では、卵アレルギーによる救急受診数に大きな減少は見られませんでした。それどころか、この10年でクルミやカシューナッツなどの「ナッツ類」によるアレルギーが急増し、卵に代わって原因食物の1位になっています。
つまり、「早期摂取さえすれば防げる」という単純な話ではなく、まだ研究が続いているテーマだということです。次に紹介する進め方の基本を守りながら、心配なことがあれば医師に相談するのが一番の近道です。
離乳食を進めるときの基本
卵の早期摂取をめぐる研究は今も進んでいますが、家庭でできることは意外とシンプルです。卵に限らず、新しい食材を進めるときに共通して気をつけたいポイントをまとめました。難しく考えすぎず、ひとつずつ確認しながら進めていきましょう。
- よく加熱する:固ゆで卵など、しっかり火を通したものから始める
- ごく少量から:体調の良い日・日中に、少しずつ試す
- 一度に複数の新しい食材を始めない
- 何かあったときにすぐ受診できる時間帯・曜日を選ぶ
- 外出先や旅行先では試さない
- 湿疹がある場合は、まず肌の治療を優先する
湿疹・アトピーがある赤ちゃんは、スタイの着用も

アレルギーの原因には、荒れた肌からアレルゲンが入り込んで感作が進む「経皮感作」という仕組みが関係していると考えられています。詳しくは「アレルギーの原因」でも触れています。離乳食の時期は、口の周りやあごについた食べこぼしが、湿疹やアトピーのある肌にそのまま触れたままになりやすいタイミングでもあります。赤ちゃんが食べこぼすのは自然なことですが、スタイ(よだれかけ)をつけて、食べ物がなるべく肌に触れたままにならないようにするのも、ちょっとした工夫のひとつです。
食後はさっと拭き取り、湿疹がある場合は保湿・治療も並行して行いましょう。血液検査の数値が陽性でも、医師の判断で進められる場合があります。自己判断で除去を続けるのではなく、皮膚の状態を整えたうえで、医師と相談しながら進めることが大切です。
まとめ
- 「遅らせる」ことは予防にならない、というのが今の基本的な考え方
- ただし「早く始めれば絶対安心」でもなく、まだ研究が続いているテーマでもある
- よく加熱し、少量から、体調の良い日に、様子を見ながら進める
- 湿疹がある場合は肌のケアも並行して、自己判断せず医師に相談する
進め方はお子さんの状態によって異なります。自己判断せず、必ずかかりつけ医に相談してください(詳しくは免責事項をご確認ください)。ミルクを使っている方は「アレルギーと粉ミルク」もあわせてご覧ください。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。
参考にした情報源
- アレルギーガイドライン2021 ダイジェスト版 第5章 疫学|日本小児アレルギー学会
- 離乳食における鶏卵摂取の考え方|国立成育医療研究センター
- 鶏卵の早期摂取推奨後も、鶏卵アレルギーの大きな減少は認められず|国立成育医療研究センター(2026年1月発表)
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