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⑫ワクチン接種後のアナフィラキシー|リスクは100万回あたり何件?

ワクチン接種後のアナフィラキシー|リスクは100万回あたり何件? 検査・治療・病院

予防接種を受けるとき、「アナフィラキシーって聞いたことあるけど、実際どれくらいの確率で起きるものなんだろう」と気になったことがある方、多いんじゃないかと思います。

姉妹記事「アレルギーとワクチンの関係」では、卵アレルギーやゼラチンアレルギーとワクチンの関係についてお話ししましたが、今回はもう少し踏み込んで、「ワクチン接種後のアナフィラキシーそのもの」について、頻度や対応も含めてまとめてみました。

結論:ワクチン接種後のアナフィラキシーは、頻度としては、かなりまれです。新型コロナワクチンでは、国の報告(2021年9月12日時点)で、100万回の接種あたり、ファイザー社製が4件、武田/モデルナ社製が1.5件でした。

(症状は、接種後30分以内に、じんましんなどの皮膚症状から始まることが多いとされています。接種のあとは、15分以上は会場で様子を見ます)

ワクチン接種後のアナフィラキシーの頻度|どれくらい起きる?

アナフィラキシーとは?

そもそもアナフィラキシーとは、ワクチンや薬、食べ物などがきっかけで、全身に急に出る強いアレルギー反応のことです。血圧が下がったり、意識がもうろうとしたりするほど重くなったものは、「アナフィラキシーショック」と呼ばれます。

新型コロナワクチンのアナフィラキシーの頻度

結論から言うと、頻度としてはかなりまれです。ワクチンの種類によって数字は多少違いますが、新型コロナワクチンの国内の報告では、次のようになっています。

ワクチン接種回数アナフィラキシーが疑われる報告アナフィラキシーと評価されたもの100万回あたり
ファイザー社約1億2,280万回2,536件475件4件
武田/モデルナ社約2,345万回389件34件1.5件

「100万回あたり4件」というのは、100万回接種して、4回ほど起きた、という意味です。25万回に1回くらいの数字、と考えるとイメージしやすいかもしれません。「疑われる報告」は、接種のあとに体の変化があって、国に報告された件数。そのうち、国際的な基準でアナフィラキシーと評価されたものが、右の2列です。

  • 表は、愛知県薬剤師会のページ(国の審議会の報告、2021年9月12日時点)をもとにしています。
  • ワクチン全般のアナフィラキシーは、100万接種あたり1.3件とされています(日本アレルギー学会)。ワクチンによるアナフィラキシーは非常にまれ、とも書かれています(国際医療研究センター 山元 佳さんの資料、厚生労働省掲載)。
  • インフルエンザワクチンでは、因果関係があるかどうか分からないものも含めて、1シーズンで約20件のアナフィラキシーが報告されています(厚生労働省 副反応検討部会の資料、2025年10月24日)。
  • 接種が始まったばかりの時期は、米国の報告で、ファイザー社製が100万回あたり11.1件(2020年12月)、のちに4.7件(2021年1月)など、数字が変わっています。時期や集計の方法で変わるため、最新の国内の報告を見るのがおすすめです。

ワクチン接種後のアナフィラキシーの症状|いつ、どんな症状で気づく?

ワクチン接種後のアナフィラキシーの症状|いつ、どんな症状で気づく?

アナフィラキシーが起きやすい時間帯

アナフィラキシーは、発症するタイミングにもある程度の傾向があります。米国の報告(2020年12月〜2021年1月)では、ファイザー社ワクチンのアナフィラキシー21例のうち71%が接種後15分以内、86%が30分以内に症状が出ています。モデルナ社ワクチンの10例では、90%が15分以内でした。つまり、接種してすぐの時間帯に、集中して起こりやすいということです。

アナフィラキシーのおもな症状

症状としては、皮膚のかゆみ・じんましん・皮膚の赤みといった皮膚症状が、アナフィラキシーを起こした方の80〜90%に見られる、もっとも多いサインです。そのほか、息苦しさなどの呼吸器症状(最大70%)、腹痛・嘔吐などの消化器症状(最大45%)、血圧低下などの循環器症状(最大45%)が続きます。

症状の種類出る人の割合たとえば
皮膚の症状80〜90%かゆみ、じんましん、赤み
呼吸器の症状最大70%息苦しさ、ぜーぜー
消化器の症状最大45%腹痛、嘔吐
循環器の症状最大45%めまい、失神、血圧が下がる
  • 表は、国際医療研究センター 山元 佳さんの資料(厚生労働省掲載)に引用された、Simons(2010年)の報告をもとにしています。
  • 子どもでは、「気持ちが悪い」と言う、機嫌が悪い、元気がない、寝てしまう、といった形で出ることがあるとされています(同資料)。
  • 発症の時間は、米国疾病予防管理センター(CDC)の報告(MMWR 2021年)をもとにしています。日本アレルギー学会の資料にも、ほとんどが接種後数分から十数分以内に現れる、と書かれています。

症状に気づいたときは、すぐスタッフへ

「じんましんが出てきた」「なんだか息苦しそう」といった変化に気づいたときは、様子見をせず、その場ですぐにスタッフに伝えることが大切です。

ワクチン接種後にアナフィラキシーが起きたら|会場での対応

まず、アドレナリンを太ももの筋肉に注射

万が一アナフィラキシーが起きた場合、接種会場や医療機関では、すぐに対応できる体制が整えられています。呼吸器症状などがみられれば、まずアドレナリンという薬を、太ももの筋肉に注射する、という流れが基本になっています。アドレナリンについては、「⑦アナフィラキシーの補助治療薬「エピペン」|使うタイミングと打ち方」でくわしく説明しています。

そのあとの治療と、回復の見通し

そのうえで、酸素を吸ったり、点滴をしたりします。呼吸が苦しいときは、吸入薬も使われます。症状が落ち着いたように見えても、あとからもう一度症状が出ること(二相性反応)に備えて、入院が望ましいとされています。

実際に報告されている例を見ても、新型コロナワクチンでは、速やかに医療処置が行われ、すべて軽快または回復しています。「起きたらどうしよう」と不安になるより、「起きても、その場できちんと対応してもらえる」という前提で捉えておくと、少し気持ちが楽になるかもしれません。

  • 接種会場には、アドレナリン製剤などの救急処置用品を常備し、医療機関と連携する体制をとることとされています(厚生労働省 副反応検討部会の資料、2025年10月24日)。
  • アドレナリンを太ももの筋肉に注射するのが第一選択、という点は、アナフィラキシーガイドライン2022(日本アレルギー学会)をもとにしています。
  • 酸素吸入・点滴・吸入薬、入院が望ましいという点は、日本アレルギー学会の新型コロナワクチンに関する資料(2021年)をもとにしています。

アレルギーがある子の予防接種|接種できないのはどんなとき?

アレルギーがある子の予防接種|接種できないのはどんなとき?

アレルギー体質だけでは、接種できなくならない

ここまで読んで、「うちの子はアレルギー体質だから、そもそも接種を控えた方がいいのかも」と思われた方もいるかもしれません。

でも、これはよくある誤解なんです。食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎や花粉症、じんましん、アレルギー体質があるといった理由だけで、ワクチン接種を受けられないわけではありません。

接種前に医師と相談が必要なケース

接種を控える・慎重に判断する必要があるのは、限定的なケースです。そのワクチンに含まれる特定の成分そのものに、これまでアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こしたことがある人(卵アレルギーが重度で、インフルエンザワクチン成分に反応した経験がある、ゼラチンにアレルギーがある、など)は、接種前に医師とよく相談したうえで判断することになります。

つまり、「アレルギー体質だから一律にダメ」ではなく、「そのワクチンに含まれる特定の成分に対してアレルギーがあるかどうか」がポイントということです。卵アレルギーとワクチンの詳しい関係は、姉妹記事「アレルギーとワクチンの関係」でも扱っています。

  • 気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー体質などと言われているだけでは、接種不適当者にはならないとされています(岡山市)。新型コロナワクチンの予診でも、食物アレルギーなどは、それだけでは接種不適当者にならないとされています(厚生労働省 副反応検討部会の資料)。
  • 「接種不適当者」は、その予防接種を受けられない人のことです。接種する液の成分で、アナフィラキシーを起こしたことが明らかな人が当てはまります。
  • 米国の報告では、アナフィラキシーを起こした人のうち、アレルギーの既往があった人が、ファイザー社ワクチンで21例中17例(81%)、モデルナ社ワクチンで10例中9例(90%)でした(CDC、MMWR 2021年)。

ワクチン接種後の待機時間|15分と30分の違い

接種後の待機時間の目安

接種会場では、通常15分以上の待機が基本ですが、次のような方には、より長め、30分程度の待機が勧められています。

  • 過去にアナフィラキシーを含む、重いアレルギー症状を起こしたことがある人
  • 採血などで気分が悪くなったり、気を失ったりしたことがある人

接種前にスタッフへ伝えておきたいこと

心当たりがある場合は、遠慮せず、接種前にスタッフへ伝えておくと安心です。該当しない方も、念のため15分以上は接種会場で様子を見るようにすることが勧められています。

  • 15分以上、30分ほどの待機は、愛知県薬剤師会のページ(新型コロナワクチンの接種会場の案内)をもとにしています。日本アレルギー学会の資料でも、通常は15分、過去にアナフィラキシーなどの既往がある人は30分以上が望ましいとされています。
  • インフルエンザワクチンでも、接種後30分程度は、状態を十分に観察することとされています(厚生労働省 副反応検討部会の資料)。

ワクチン接種後のアナフィラキシーのまとめ

ワクチン接種後のアナフィラキシーは、頻度としてはかなりまれです。

  • 新型コロナワクチンの国内の報告では、100万回あたり、ファイザー社製が4件、武田/モデルナ社製が1.5件
  • 多くは接種後30分以内に、皮膚症状を中心とした形で始まる
  • 接種会場や医療機関では、アドレナリンなど、すぐに対応できる薬剤や体制が整えられている
  • アレルギー体質というだけでは、接種できないわけではない
  • 接種できないのは、その液の成分でアナフィラキシーを起こしたことが明らかな人
  • 過去に重いアレルギー症状を起こしたことがある人は、30分程度、それ以外の人も15分以上は会場で様子を見る

過去にアレルギー反応を起こしたことがある方は、念のため30分程度の待機を、それ以外の方も15分以上の待機を心がけることで、より安心して接種に臨めると思います。今日からできることは、接種の前に、これまでのアレルギーの経過(食べ物・薬・ワクチン)を整理しておくこと。そして接種のあとは、会場で様子を見て、変化があったらすぐスタッフに伝えることです。

「へっちゃら」まっさんより

「100万回に4件」と聞くと宝くじみたいな数字ですけど、宝くじでもあたる人は実際にいるわけですから、わが子がその1人になる可能性は、ゼロじゃないと考えてしまいますよね。

うちの子は、アナフィラキシーを起こしたことはありませんが、食物アレルギーがあるぶん、じんましんや機嫌の変化には、敏感になりました。

参考にした情報源

運営者まっさんの似顔絵

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※本記事は、公開されている情報をもとに、できるだけわかりやすくまとめたものです。個別の状況によって適切な対応は異なりますので、ご不安な点がある場合は自己判断せず、専門機関・専門家にご確認ください。詳しくは免責事項をご覧ください。 緊急性の高い症状が見られる場合は、自己判断せず、直ちに救急要請または医療機関を受診してください。

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