「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
鼻が詰まって苦しいとき、温かいタオルを鼻のあたりに当てたり、湯気を吸ったりすると、少し鼻が通るように感じることがあります。
「温めたら血流がよくなるからかな」と考えがちですが、調べてみると、鼻を温めること自体を鼻炎の治療として研究した試験が実際にありました。
しかも、研究はかなり昔から行われています。
では、鼻を温めると本当に鼻炎の症状は変わるのでしょうか。
鼻を温めると鼻炎の症状はどうなる?
まず興味深いのが、1982年に報告された研究です。
通年性アレルギー性鼻炎の患者95人を対象に、43℃の温かく湿った空気を鼻に送り込む温熱療法を行いました。
研究では、温熱療法を受けたグループと、実際には十分な温熱効果がない対照群を比較しています。
その結果、温熱療法を受けたグループでは、治療後の症状が改善した人が多く、1週間後だけでなく1か月後にも改善がみられました。
つまり、「温かいから一時的に気持ちいい」というだけではなく、鼻炎症状そのものの変化を調べた研究で、改善が報告されていたわけです。
鼻づまりにも変化があった
その後、1988年にも鼻炎患者を対象にした研究が行われています。
78人の通年性鼻炎患者に、42~44℃の温かい湿った空気を鼻から吸入してもらい、鼻炎の症状だけでなく、鼻の通りも測定しました。
すると、温熱療法を受けたグループでは、鼻炎症状の改善とともに、鼻から空気が通りやすくなる変化が確認されました。
ここが、このテーマでかなり重要なところです。
単純に「本人が楽になったと感じた」というだけではなく、鼻の通りを測定して変化を確認しているからです。
| 研究 | 対象 | 鼻の温め方 | 調べたこと | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 1982年 | 通年性アレルギー性鼻炎 95人 | 43℃の温かい湿った空気 | 鼻炎症状 | 改善を報告 |
| 1988年 | 通年性鼻炎 78人 | 42~44℃の温かい湿った空気 | 症状・鼻の通り | 改善を報告 |
| 1994年 | 鼻アレルギー 57人 | 43℃の局所温熱療法 | 症状など | 改善を報告 |
| 2021年 | アレルギー性鼻炎患者 | 42~44℃の蒸気 | 鼻症状・鼻の通り | 症状改善を報告 |
日本でも鼻を温める研究が行われていた
さらに1994年には、日本でも鼻アレルギー患者57人を対象にした研究があります。
使われたのは43℃のエアロゾルによる局所温熱療法です。
43℃の温熱療法を受けるグループと、32℃の対照群を比較したところ、2週間後、4週間後のいずれも温熱療法を受けたグループのほうが高い有効率を示しました。
この研究でも、単に「温めると気持ちいい」という感想だけではなく、鼻アレルギーに対する治療効果として評価されています。
こうして見ると、「鼻を温める」という方法は、昔からなんとなく行われてきた民間的な方法だけではなかったことが分かります。
なぜ鼻を温めると変化するの?
では、どうして温めることで鼻炎の症状が変化するのでしょうか。
鼻炎では、鼻の粘膜にある血管が広がったり、粘膜が腫れたりすることで、鼻づまりが起こります。アレルギー性鼻炎では、アレルゲンに対する免疫反応によって、ヒスタミンなどさまざまな物質が放出されます。
温熱療法の研究では、鼻の粘膜を温めることで、鼻の血管の反応や炎症に関係する反応が変化する可能性が調べられてきました。
実際、1993年の研究では、アレルギー性鼻炎の患者に局所的な温熱処置を行った後、鼻にアレルゲンを入れて反応を調べています。
その結果、アレルゲンによって起こる鼻の通りの悪化や血管からの漏出が抑えられた一方、くしゃみや鼻汁などすべての反応が抑えられたわけではありませんでした。
つまり、「温めればアレルギー反応が全部止まる」という単純な話ではありません。
それでも、鼻の粘膜を温めることで、アレルギー性鼻炎の一部の反応に変化が起こる可能性は研究されています。
最近の研究でも「温める」方法が調べられている
昔の研究だけではありません。
2021年には、アレルギー性鼻炎の患者を対象に、42~44℃の蒸気を吸入する温熱療法を行った研究があります。
治療後には、鼻症状のスコアや本人による症状評価が改善し、鼻の空気の通りも改善する傾向がみられました。
「鼻を温める」という考え方が、1980年代の研究だけで終わっているわけではないことが分かります。
一方で、温めれば必ず効果が出るというわけでもありません。
1993年の二重盲検試験では、温かい加湿空気と室温の加湿空気を比較したものの、温めたことによる明確な上乗せ効果が確認できなかったという結果も出ています。
研究によって結果に違いがあるからこそ、「鼻を温めれば絶対に鼻炎が改善する」とまでは言えません。
ただ、複数の研究で症状や鼻の通りの改善が報告されていることは、今回調べてみて分かったところです。
家で鼻を温めるならどうする?
ここまでの研究を見ると、「じゃあ家でも43℃くらいで鼻を温めればいいの?」と思いますよね。
ここは少し注意が必要です。
研究で使われている42~44℃という温度は、研究用の装置によって鼻に届ける空気や蒸気の温度を管理したものです。
そのため、研究の温度をそのまま家庭で再現する必要はありません。
特に熱湯の蒸気を顔に近づける方法は、鼻炎への効果以前にやけどの危険があります。
家庭で試すのであれば、熱すぎない温かさで、気持ちよい範囲にとどめることが大切です。
結局、鼻を温めると鼻炎に効果あり?
ここまでの研究を並べてみると、答えは意外とシンプルです。
「鼻を温めることで、鼻炎の症状や鼻づまりが改善した」という研究は実際にあります。
しかも、1980年代から現在まで、鼻を温める温熱療法について複数の研究が行われています。
特に、鼻そのものを42~44℃程度の温かい空気や蒸気で温めた研究では、鼻炎症状の改善や鼻の通りの改善が報告されています。
一方で、すべての研究が同じ結果になっているわけではありません。
だから「鼻を温めれば鼻炎が治る」と考えるのは少し違います。
でも、「鼻を温めると鼻炎が楽になる」という昔からの話には、実際に研究で調べられてきた背景があった。
今回調べてみると、そこは思っていたよりちゃんと研究されていました。
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