「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「自律神経を整えると、アレルギーにもいい」
健康について調べていると、こんな話を見かけることがあります。
睡眠、ストレス、運動、入浴など、自律神経を整える方法はいろいろ紹介されています。でも、そもそも自律神経とアレルギーには本当に関係があるのでしょうか。
そこで調べてみると、意外なことに、アレルギー性鼻炎の人の自律神経そのものを調べた研究がいくつも見つかりました。
しかも、単に「関係があるかもしれない」という話だけではありません。自律神経に変化を与えたあと、鼻の通りがどう変わったのかまで調べた研究もあります。
アレルギー性鼻炎の人は、自律神経の働き方が違う?
まず興味深いのが、2007年に行われた研究です。
アレルギー性鼻炎の患者10人と健康な16人を対象に、自律神経の働きを詳しく調べました。
すると、アレルギー性鼻炎の患者では自律神経機能に違いがみられ、特に交感神経の働きが低下している状態が確認されました。
つまり、
「アレルギー性鼻炎の人では、自律神経にも特徴がある」
という結果です。
もちろん、この研究だけで「自律神経が変化したからアレルギーになった」とまでは分かりません。
でも、アレルギー性鼻炎と自律神経がまったく無関係なら、こうした違いも出てこないはずです。
この関係は、その後も研究されています。
子どものアレルギー性鼻炎でも関係が見つかった
2012年には、7~12歳の子ども55人を対象にした研究があります。
通年性アレルギー性鼻炎の子どもと健康な40人を比較し、自律神経の働きを調べました。
その結果、アレルギー性鼻炎の子どもでは、自律神経の一部の指標が健康な子どもと異なっていました。
さらに、自律神経の測定値とアレルギー性鼻炎の重症度との関連も調べられています。
大人だけではなく、子どものアレルギー性鼻炎でも自律神経との関係が研究されていたわけです。
「自律神経が乱れる」って、実際にはどういうこと?
ここで少しややこしくなります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
一般的には「交感神経=活動」「副交感神経=リラックス」と説明されることが多いですが、アレルギー性鼻炎の研究を見ると、単純に「交感神経が強ければいい」「副交感神経が強ければいい」という話ではありません。
実際、研究によって確認されている変化にも違いがあります。
成人のアレルギー性鼻炎を調べた研究では、症状が軽い人や間欠的な鼻炎の人では、副交感神経優位・交感神経低下を示す特徴が確認されています。また、症状の強さや病気の続いている期間によって、自律神経の特徴が変化していました。
別の研究でも、アレルギー性鼻炎の患者では健康な人と比べて心拍変動に違いがみられています。
つまり、「自律神経が乱れている」という一言だけではなく、交感神経と副交感神経のバランスや、その変化の仕方そのものがアレルギーと関係していると考えたほうが近そうです。
鼻のアレルギー反応には、神経も関わっている
ここまでくると、なぜ自律神経がアレルギーと関係するのかも気になります。
実は、鼻の中にはたくさんの神経があります。
アレルゲンによってマスト細胞などからヒスタミンが放出されると、鼻の神経が刺激されて「かゆい」「くしゃみが出る」といった反応が起こります。
さらに、神経からの信号は鼻の血管や分泌腺にも影響します。
研究では、こうした神経と免疫のやり取りがアレルギー性鼻炎の症状に関係していることが調べられてきました。
だから、アレルギーを「免疫だけの問題」と考えると見えにくい部分があります。
鼻の中では、免疫反応と神経の働きが一緒になって症状を作っているのです。
では、自律神経に変化を与えると鼻炎も変わる?
ここからが今回、一番気になるところです。
「アレルギー性鼻炎の人は自律神経が違う」
ここまでは、あくまで関係を調べた研究です。
では、自律神経に実際に働きかけたら、鼻炎はどうなるのでしょうか。
そこで見つかったのが、サウナを使った研究です。
6週間サウナに入ると、鼻の通りが改善した研究
2013年、タイでアレルギー性鼻炎の患者26人を対象に、6週間のサウナ療法を調べるランダム化比較試験が行われました。
サウナを受けるグループは、週3回、1回30分のサウナを6週間続けました。
研究では、症状だけを見るのではなく、心拍変動(HRV)による自律神経の状態と、鼻からどれだけ空気を吸い込めるかを示すPNIFを測定しています。
その結果、サウナを受けたグループでは、自律神経の指標が変化するとともに、PNIFも有意に上昇しました。肺機能の一部にも改善がみられています。
| 6週間のサウナ | 研究で確認された変化 |
|---|---|
| 自律神経 | HRVの指標が変化 |
| 鼻の通り | PNIFが上昇 |
| 肺機能 | FEV1が上昇 |
| 研究方法 | サウナ群と対照群を比較 |
ここはかなり興味深い結果です。
自律神経を測っただけではなく、自律神経に変化が起こるような介入を行ったあと、鼻の通りまで測定しているからです。
しかも、この研究でみられた自律神経の変化は、単純に「副交感神経が高まった」というものではありませんでした。
むしろ、サウナ後には交感神経活動を示す指標が上昇しています。
ここからも、「自律神経を整える=リラックスして副交感神経を高める」という単純な考え方だけでは説明できないことが分かります。
鍼と自律神経を調べた研究もある
もう一つ興味深いのが、季節性アレルギー性鼻炎と鍼治療を組み合わせて、自律神経を調べた研究です。
30人の患者を対象に、12回の鍼治療を行い、治療前後の自律神経機能を測定しました。
治療後には安静時の心拍数が低下し、自律神経の状態にも変化がみられました。
ただし、本物の鍼と偽鍼を比べると、自律神経の変化に明確な差はありませんでした。
これは「鍼がダメ」という話ではなく、アレルギー性鼻炎と自律神経の関係を調べると、実際に体の変化が測定できるというところが面白い研究です。
自律神経とアレルギーは、思っていたより近い
ここまで研究を並べてみると、最初に思っていたよりも関係が深いことが分かってきます。
アレルギー性鼻炎の患者では、自律神経の働き方に健康な人とは異なる特徴がみられます。
しかも、その特徴は大人だけではありません。
子どものアレルギー性鼻炎でも確認されていますし、鼻炎の重症度との関連を調べた研究もあります。
さらに、アレルギー反応そのものにも神経が関わっています。
そして、自律神経に変化を与えたサウナの研究では、自律神経の変化と一緒に鼻の通りが改善したという結果まで出ています。
自律神経を整えればアレルギーは改善する?
ここまで見てくると、今回の疑問に対する答えも見えてきます。
自律神経とアレルギーには、実際に研究で確認されているつながりがあります。
アレルギー性鼻炎の人では自律神経の働き方に特徴がみられ、鼻のアレルギー反応そのものにも神経が関わっています。
さらに、自律神経に変化を与えたサウナの研究では、自律神経の指標が変化すると同時に鼻の通りも改善しました。
「自律神経を整える」という言葉だけ聞くと、なんとなく健康法のように聞こえます。
でも研究を追ってみると、アレルギーと自律神経の間には、ちゃんと調べられてきた関係がありました。
免疫だけを見るのではなく、神経とのつながりからアレルギーを見る。
そうすると、今までとは少し違ったアレルギーの姿が見えてきます。
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