「うちの子はなんでアレルギーになってしまったんだろう?」「無理に余計なものを食べさせたこともないし、アレルギーって生まれつきなのかな?」など、アレルギーの原因に関しては、思い返せば色々なことが頭をよぎるかもしれません。
まずお伝えしたいのは、食物アレルギーは、育て方や食べさせ方だけで起こるものではない、ということです。また食物アレルギーというからには食べ物を口に入れたことでアレルギーが発症したのでは、と思うかもしれません。ここでは、アレルギーが起こる仕組みと、わかっている原因・要因を、やさしく整理します。
結論:アレルギーの原因は複数あります。例えば卵アレルギーなら、卵を口に入れたときだけでなく、卵のアレルゲンが肌の傷口などから体内に入って、体が覚えてしまった場合にも起こります。
(湿疹などで肌のバリアが弱っていると、食べていなくても、体が覚えてしまうことがあると考えられています。乳児期から保湿などのスキンケアをすると、アトピー性皮膚炎の発症が抑えられたという研究もあります)
「感作」と「発症」アレルギーの仕組み

①感作(かんさ):体が「覚えてしまう」段階
卵や牛乳などの食物のタンパク質(アレルゲン)に対して、何らかの原因で、体が「IgE抗体」という一種の見張り役を作ってしまいます。この時点では、まだ症状は出ません。
②発症:実際に症状が出る段階
IgE抗体ができた状態で、再び同じ食べ物が体に入ると、体内のマスト細胞という細胞から、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの物質が一気に放出されます。これが、じんましん・かゆみ・咳・下痢といった症状として現れます。
①知らないうちに体が覚えてしまう → ②次に食べたときに、アレルギーとして反応が出る
この順番で起こるのが、ポイントです。
成長するにつれて、原因になる食べ物は変わる

消費者庁の全国調査(令和6年度報告)によると、原因食物の顔ぶれは、年齢によってはっきり変わります。
| 年齢 | 原因になりやすい食物 |
|---|---|
| 0歳 | 鶏卵・牛乳・小麦が中心 |
| 1・2歳 | 鶏卵が最も多く、次いで木の実類(くるみ)や牛乳が上位に入ってくる |
| 3〜6歳 | くるみ(木の実類)が第1位。次いで落花生・魚卵が続く |
赤ちゃんのうちは鶏卵・牛乳・小麦が中心ですが、成長するにつれて、くるみなどの木の実類や、落花生の割合が増えていきます。お子さんの年齢によって、「今、特に注意したい食べ物」が変わってくる、ということです。
アレルゲンは肌から入ることも「経皮感作」

先ほど説明した「①感作(体がアレルゲンを覚えてしまう段階)」は、アレルギー物質を口から食べたときだけでなく、肌から入ったときにも起こることがわかってきました。これを「経皮感作」と呼びます。
炎症のある(荒れた)皮膚から食物アレルゲンが入ると、アレルギーを起こす体質(感作)が作られることがある、と考えられています。健康な肌はバリア機能で異物をブロックできますが、湿疹や小さな傷があると、通してしまいやすくなります。
実際に起きた例:茶のしずく石鹸
かつて「茶のしずく石鹸」に含まれていた加水分解コムギ(小麦由来のタンパク質)が、洗顔のたびに肌や粘膜から入って感作され、小麦アレルギーを発症した例が、2010年に報告されました(厚生労働省の安全性情報)。口に入れないスキンケア用品でも、肌から入ることで感作が起こりうる、という例です。
二重抗原曝露仮説
「炎症のある皮膚から食物アレルゲンが入るとアレルギーを起こす一方で、適切な量とタイミングで食べると、むしろアレルギー反応をおさえる「免疫寛容」が誘導される」という考え方があり、「二重抗原曝露仮説」と呼ばれています(国立成育医療研究センター)。食べさせる量やタイミングは、自己判断ではなく、必ず医師と相談して決めてください。
なお、乳児期の湿疹・アトピー性皮膚炎に始まり、食物アレルギー・喘息・アレルギー性鼻炎へと、症状が年齢とともに移り変わっていく現象は「アレルギーマーチ」と呼ばれています。詳しい経過は「アレルギーマーチとは|湿疹→食物アレルギー→喘息→鼻炎への流れ」の記事で解説しています。
アレルギーはパパママから遺伝する?

「アレルギーって遺伝するの?」——これも、よく聞かれる疑問です。結論からいうと、「アレルギーになりやすい体質は遺伝しやすいが、100%遺伝で決まるわけではない」というのが、今のところの答えです。
環境省のエコチル調査(全国の子供を追いかけている大規模調査)では、親のアレルギーと、子供が1歳までにアトピー性皮膚炎になった割合が、次のように示されています。
| 親のアレルギー | 1歳までにアトピー性皮膚炎になった子供の割合 |
|---|---|
| 両親ともにない | 12.4% |
| どちらかの親にある | 15.7% |
| 両親ともにある | 26.0% |
- この数字は「アトピー性皮膚炎」のデータで、食物アレルギーそのものの割合ではありません。
- 親の「アレルギー」は、アレルギー性鼻炎・花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギーのいずれかになったことがある場合です。
- 別のエコチル調査の報告(環境省)では、親に食物アレルギーがある場合、子供の食物アレルギーのリスクが高まり、片親より両親ともにある場合のほうがさらに高いことが示されています。あくまで「なりやすさの傾向」として受け取ってください。
じゃあ、遺伝だけで決まるの?
そうとも言い切れません。上の表でも、両親ともにアレルギーがある場合に、アトピー性皮膚炎になったのは約4人に1人でした。逆に、両親ともにない場合でも、約8人に1人はなっています。
同じように親にアレルギーがあっても、子供がアレルギーになる子と、ならない子がいます。つまり、生まれ持った体質(遺伝)だけでは決まらない、ということです。実際には、まだ解明されていない部分も多いのです。
妊娠中、特定の食べ物を除去した方がいい?

「妊娠中に卵や乳製品を控えれば、赤ちゃんのアレルギーを予防できるのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、妊娠中や授乳中のお母さんに、予防のための食物除去を勧めることは、通常ありません(調布市・東京都立小児総合医療センターなどの資料による)。気になる場合は、自己判断で除去するのではなく、必ず医師や管理栄養士に相談してください。
まとめ:アレルギーの原因は一つじゃない
食物アレルギーには、次のことが関わっています。
- 食べたり触れたりして、体がアレルゲンを覚えてしまうこと(感作)
- 肌から入ったアレルゲンへの反応(経皮感作)
- 生まれ持った体質のなりやすさ(遺伝)
育て方や食べさせ方だけが原因ではありませんので、どうかご自身を責めないでください。気になる症状があるときは、自己判断せず、必ず医療機関を受診してくださいね。
「へっちゃら」まっさんより
我が家では、息子が生まれた当初3人で枕を並べて寝ていました。
食事などには気を付けていたのですが、ほぼ母乳で育てていたので、卵もソバも与えていないのに「アレルギー反応が出るのは、なんでかな?」と不思議に思っていました。
ソバなんて家の中に存在もしていないのに、なんで反応が出るのかな?と悩んでいたところ、出産当初に妻がそば殻の枕を使っていた事を思い出しました。
そこで、そば殻の枕を撤去してみたところ、症状が改善しました。今振り返ると、そば殻が肌に触れることで、経皮感作が関係していた可能性もあるのかなと思っています。
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参考にした情報源
- 横浜市「アレルギーについて」(感作と発症の仕組み)
- 消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」令和6年度結果(消費者委員会 資料)
- エコチル調査(千葉ユニットセンター)「親のアレルギーと子供のアトピー性皮膚炎」
- 環境省 エコチル調査「両親のアレルギー疾患歴と子供の食物アレルギー発症」
- 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.288」(加水分解コムギ配合石鹸)
- 国立成育医療研究センター「WISH-J研究」(二重抗原曝露仮説)
- 厚生労働科学研究 研究報告書「乳児湿疹・アトピー性皮膚炎のスキンケア研究」(2014年)
- 調布市・東京都立小児総合医療センター「食物アレルギーQ&A」(妊娠中・授乳中の食物除去)
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