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「セラミドは肌のバリア機能に大切」
化粧品のCMやスキンケアの記事などで、こんな話を聞くことがあります。
アトピー性皮膚炎では肌のバリア機能が低下しやすいことも知られているので、「セラミドを補えば肌バリアも良くなるのでは?」と考える人もいるかもしれません。
最近では、セラミドを配合した化粧品だけでなく、飲むタイプのセラミドサプリもあります。
塗るのではなく、身体の中からセラミドを補う。
これでアトピーの肌バリアまで改善できるのでしょうか?
セラミドはアトピーの肌バリアと関係している?
まず、セラミドとアトピーの関係から見てみます。
皮膚の一番外側にある角層は、水分を保ちながら外からの刺激を防ぐ「バリア」の役割をしています。
この角層を構成する重要な脂質の一つがセラミドです。
アトピー性皮膚炎では、この皮膚バリアがうまく働かなくなり、角層のセラミドが減少していることが知られています。
バリアが弱くなると、水分が逃げやすくなったり、外からの刺激が入りやすくなったりします。
そのため、
セラミドが減る
→ 肌バリアが弱くなる
→ 乾燥や刺激を受けやすくなる
という関係が研究されています。
| セラミドとアトピーの関係 | 現在分かっていること |
|---|---|
| 角層にセラミドがある | 肌バリアを構成する重要な脂質 |
| アトピー性皮膚炎 | 角層の脂質異常やバリア機能低下がみられる |
| セラミドの低下 | バリア機能低下と関係する |
| セラミドを補う | 外用では研究が多い |
| 飲むセラミド | アトピーへの効果はまだ限定的 |
ここまで見ると、「セラミドを補えばいいんじゃない?」と思いますよね。
実際、塗るセラミドについては研究があります。
塗るセラミドはアトピーの肌バリアを改善する?
セラミドを含む保湿剤は、アトピー性皮膚炎のスキンケアで研究されています。
2023年のシステマティックレビュー・メタ解析では、セラミド配合保湿剤を使った研究をまとめています。
セラミド配合保湿剤を使うと、アトピー性皮膚炎の重症度を表すSCORADは、ほかの保湿剤より改善していました。
一方、皮膚から水分が逃げる量を表すTEWLについては、セラミド配合保湿剤のほうが明確に優れているとはいえませんでした。
つまり、塗るセラミドには期待できる研究があるものの、「セラミドならどんな保湿剤より圧倒的に優れている」というほど単純ではありません。
子どもを対象にした研究でも、セラミド配合保湿剤とパラフィン系保湿剤でアトピーの症状やTEWLなどを比較したところ、大きな差が出なかった研究があります。
セラミドはアトピーの肌バリアと関係しています。
ただし、セラミドを含んでいれば必ずほかの保湿剤より優れている、というわけではありません。
じゃあ、セラミドを飲んだらどうなる?
ここからが今回の本題です。
セラミドは塗るだけでなく、食品やサプリメントとして口から摂る研究もあります。
実際、健康な成人を対象にした研究では、セラミドを含む食品を12週間摂取することで、角層の水分量が改善したという結果があります。
また、別の研究では、ワイン製造時に出る副産物から抽出したセラミドやグルコシルセラミドを12週間摂取したところ、プラセボと比較してTEWLが低下しました。
「飲んだセラミドが肌に影響する」という可能性を考えるには、興味深い研究です。
ただし、ここで一つ大事な違いがあります。
これらの研究の対象は、アトピー性皮膚炎の患者ではなく、主に健康な成人や乾燥肌を気にする人です。
| 研究対象 | 分かったこと |
|---|---|
| 健康な成人 | 経口セラミドで角層水分量が改善した研究あり |
| 乾燥肌を気にする成人 | 経口セラミドでTEWLが低下した研究あり |
| アトピー性皮膚炎 | 経口セラミドによる肌バリア改善の根拠はまだ少ない |
| アトピーの治療 | セラミドサプリが標準治療になっているわけではない |
ここはかなり重要です。
「飲むセラミドで肌の水分量が増えた」ことと、「飲むセラミドでアトピーの肌バリアが改善した」ことは同じではありません。
アトピーの人にも効果があるとはまだ言えない?
現在の研究を見る限り、ここは慎重に考えたほうがよさそうです。
セラミドそのものが肌バリアに重要なのは分かっています。
さらに、口から摂取したセラミドによって肌の水分量やTEWLが改善した研究もあります。
でも、アトピー性皮膚炎の患者にセラミドサプリを飲んでもらい、
「アトピーの肌バリアがどの程度改善したのか」
を十分な規模で調べた研究は、まだ限られています。
アトピー性皮膚炎は、単なる乾燥肌ではありません。
皮膚のバリア機能だけでなく、免疫反応や炎症など、さまざまな要素が関係しています。
そのため、乾燥肌の人でセラミドを摂って肌の水分量が増えたとしても、それだけでアトピーの炎症まで改善するとは限りません。
「セラミドを補えばアトピーが改善する」は少し違う
ここまで調べると、セラミドサプリに期待したくなる理由は分かります。
アトピーではセラミドが減っている。
セラミドは肌バリアに重要。
飲むセラミドで肌の水分量が改善した研究もある。
ここまで並べると、
「じゃあ、セラミドサプリを飲めばアトピーにも良いのでは?」
となります。
ただ、医学研究では、この間にいくつか段階があります。
「成分が不足している」
「その成分を摂ると肌に変化がある」
「その結果、アトピーの症状が改善する」
これはそれぞれ別の話です。
セラミドが肌バリアに重要なのは確か。
でも、「セラミドを飲む」ことから「アトピーが改善する」までには、まだ研究で確認する必要がある部分が残っています。
セラミドサプリとセラミド化粧品は別に考えたほうがいい
今回もう一つ覚えておきたいのが、口から摂るセラミドと、肌に塗るセラミドは別物として考えることです。
セラミド配合の保湿剤は、角層に直接働きかけることができます。
一方、サプリとして摂ったセラミドが、どのような過程を経て皮膚のバリア機能に影響するのかは、まだ研究されている段階です。
そのため、
「セラミド配合の保湿剤に研究がある」
↓
「セラミドサプリにも同じ効果がある」
とは言えません。
| セラミドの取り方 | 研究から分かっていること |
|---|---|
| 肌に塗る | アトピーの保湿・バリア機能について研究が多い |
| 食品として摂る | 肌の水分量などを調べた研究がある |
| サプリとして摂る | 乾燥肌などで研究されている |
| アトピー治療目的で摂る | 十分な根拠はまだない |
結局、セラミドサプリでアトピーの肌バリアは改善する?
セラミドは、アトピー性皮膚炎を考えるうえでかなり重要な成分です。
角層のバリア機能に関係していて、アトピーではセラミドを含む皮膚の脂質バランスが乱れていることが分かっています。
セラミド配合の保湿剤については、アトピー性皮膚炎の症状や肌の状態を改善する研究があります。
そして、飲むセラミドでも、健康な人や乾燥肌の人を対象に、肌の水分量やTEWLが改善した研究があります。
ただし、
「セラミドサプリを飲めばアトピーの肌バリアが改善する」とまでは、まだ言えません。
現時点では、
「セラミドを口から摂ることで肌の状態が良くなる可能性は研究されている。でも、アトピー性皮膚炎の肌バリア改善については、まだ十分な根拠がそろっていない」
というところが近そうです。
セラミドは「肌に大切な成分」というイメージがあります。
そのイメージ自体は、研究から見ても大きく外れてはいません。
ただ、「肌に大切」から「サプリでアトピーが改善する」までには、まだ一段階あります。
サプリの広告を見るときも、この違いを知っておくと判断しやすくなりそうです。
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