「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「ネトル」というハーブを知っていますか?
ハーブティーやサプリメントを探していると、「アレルギーにいい」「花粉症の季節におすすめ」と紹介されていることがあります。
でも、そもそもネトルって何なのでしょう。
名前だけ聞くと、なんとなく海外のハーブという感じですが、実は日本にも生えている植物です。そして調べてみると、ネトルはアレルギーについて実際に人を対象にした研究も行われているハーブでした。
では、その研究ではどんな結果が出ているのでしょうか。
ネトルってどんな植物?
ネトルは、正式には**セイヨウイラクサ(Urtica dioica)**という植物です。
英語では「stinging nettle」と呼ばれています。
特徴的なのは、葉や茎にある細かな毛。うっかり触るとチクチクした刺激を感じる植物として知られています。実際、ネトルに触れたことで皮膚に痛みやかゆみ、じんましんのような反応が起こることも報告されています。
そんな植物が、なぜ「アレルギーにいい」と言われているのでしょう。
ネトルは昔からハーブとして利用されていて、現在では葉や根などを使ったお茶やサプリメント、植物エキスなどがあります。
ただし、使われる部分や製品の作り方によって中身は同じではありません。
ここは今回の研究を見るうえでも、意外と大事なところです。
ネトルがアレルギーにいいと言われる理由
ネトルには、炎症やアレルギー反応に関係する仕組みに作用する可能性があるとして、基礎研究も行われています。
ただ、細胞や試験管を使った実験で何らかの作用が見つかったとしても、それだけで「人間のアレルギーが良くなる」とは言えません。
そこで気になるのが、実際の人を対象にした研究です。
ネトルについては、アレルギー性鼻炎を対象にした臨床試験がいくつかあります。
30年以上前にもアレルギー性鼻炎の研究があった
まず見つかったのが、1990年に発表された研究です。
この研究では、98人が参加し、ネトルを凍結乾燥したものとプラセボを比較しました。対象となったのはアレルギー性鼻炎の人です。
最終的に69人が試験を完了し、1週間の治療後に全体的な評価を行ったところ、ネトルのほうがプラセボより高く評価されました。
ただし、毎日の症状記録を比較すると、ネトルのほうが良かったものの、その差はわずかでした。
30年以上前の研究ですが、「ネトルとアレルギー性鼻炎」を人で調べた研究がすでにあったわけです。
では、その後の研究ではどうなったのでしょう。
2017年にもネトルを使った試験が行われていた
2017年に発表された研究では、アレルギー性鼻炎の症状があり、皮膚プリックテストでも陽性だった74人を対象にしています。
ネトルの根のエキス150mgを使うグループと、プラセボを使うグループに分け、1か月間調べました。
すると、症状を評価するSNOT-22という指標では、ネトル群もプラセボ群も症状が改善しました。
さらに、ネトル群では鼻の粘液中にある好酸球の数が有意に減少しました。一方、IgEやIL-4、IL-5などについては、ネトルを使った前後で有意な変化は確認されませんでした。
ここで研究結果を見ると、ちょっと面白いところがあります。
ネトルを使ったグループに変化はあったのですが、症状についてはプラセボ群でも同じように改善していたのです。
研究者も、今回の研究だけでは十分ではなく、より大規模で長期間の研究が必要だとしています。
「効いた」という研究と「まだ分からない」が同時にある
ここまでの研究を並べてみると、ネトルについては少し複雑です。
1990年の研究では、全体的な評価でネトルがプラセボより高く評価されました。
一方、2017年の研究では、症状そのものはネトル群だけでなくプラセボ群でも改善しています。
つまり、ネトルについてはまったく研究されていないわけではありません。
むしろ、アレルギー性鼻炎を対象にした比較試験が実際に行われています。
ただ、その結果が積み重なって「ネトルはアレルギー性鼻炎に効果がある」とはっきり言えるところまでは来ていません。
ハーブ全体ではどうなの?
ネトルだけではなく、「薬用植物をアレルギー性鼻炎に使う」という研究全体も調べてみました。
2024年のシステマティックレビューでは、アレルギー性鼻炎に対する単一の薬用植物を調べた29件のランダム化比較試験、計1,879人のデータが検討されています。
一部の植物では症状の改善が見られましたが、全体としてはエビデンスの確実性が低いものが多く、研究のばらつきもありました。
このレビューでは、薬用植物がアレルギー性鼻炎に明確な利益をもたらすという証拠は、まだ不足しているとされています。
ネトルだけの話ではありませんが、「ハーブだから効く」というほど単純ではないことが分かります。
ネトルなら何を飲んでも同じ、ではない
ここは実際にネトルを試してみようと思ったときに気になるところです。
研究で使われているものを見ると、凍結乾燥したネトル、根のエキスなど、製品の形がそれぞれ違います。
一方、市販されているネトルティーやサプリメントが、研究で使われたものと同じ内容とは限りません。
そのため、「ネトルについて研究で結果が出ている」と聞いて、どんなネトル製品でも同じように考えることはできません。
ここは、ハーブを使うときに意外と見落としやすいところです。
ネトル自体がアレルギーを起こすこともある?
もうひとつ、ネトルならではの話があります。
「アレルギーにいい」と言われる植物なのに、ネトルそのものがアレルギーの原因になることもあります。
ネトルの花粉によるアレルギー性鼻炎が報告されており、ネトルの花粉に対してIgEを介した反応を示した患者も確認されています。
もちろん、これは「ネトルを飲んだらアレルギーになる」という意味ではありません。
ただ、植物だから安全、ハーブだからアレルギーを起こさない、というわけではないことは覚えておきたいところです。
結局、ネトルでアレルギー症状は改善する?
今回調べてみると、ネトルは「アレルギーにいいと言われているだけのハーブ」というわけではありませんでした。
実際にアレルギー性鼻炎の人を対象にした研究があり、1990年の試験ではネトルがプラセボより高く評価されています。2017年の試験でも、鼻の好酸球数など一部の指標に変化が見られました。
ただし、2017年の研究では症状の改善がプラセボでも見られており、研究者自身も追加の研究が必要としています。
2024年の薬用植物全体を対象にしたレビューでも、アレルギー性鼻炎に対する明確な有効性を示す証拠はまだ不足しています。
なので、現時点では、
「ネトルにはアレルギー性鼻炎への効果を調べた研究がある。でも、ネトルを飲めばアレルギー症状が改善するとまでは、まだ言えない」
というところが、今回調べて分かった答えです。
ネトルティーやサプリメントを利用する場合も、研究で使われたネトルと市販品が同じとは限らないことには注意しておきたいですね。
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