食後に食器を洗っていたら、さっきまで大声ではしゃいでいたのに、子供の声が聞こえない。気になって話しかけてみても、元気がなくぐったりしている。
アレルギーでも、こんな症状があります。大事に至らないように、アレルギーにはどんな症状があるのか知っておくことが大切です。
このページは診断をするものではありません。お子さんの様子に当てはまる症状を探して、「様子を見てよいか」「受診するか」「今すぐ救急車を呼ぶか」を考える助けになるようにまとめました。
結論:当てはまる症状を、「軽度」「注意」「危険」の3段階で確認しましょう。軽い症状なら、食べたものと時間をメモして受診します。「危険」の症状が一つでもあれば、様子を見ずに119番です。
(食物アレルギーの症状は、食べてから2時間以内に出ることが多いとされています。エピペンを処方されている場合は、使ったあとも必ず救急車を呼びます)
症状チェックリスト|当てはまるものはありますか?
食物アレルギーの症状は、部分的で軽いものから、命に関わるものまで幅があります。学校向けのマニュアルにある3段階の分け方をもとに、チェックリストにしました。当てはまるものに☐をつけるつもりで、上から見てください。
【軽度】部分的な症状
| ☐ | 症状 |
|---|---|
| ☐ | 一部だけにじんましんや赤みが出ている |
| ☐ | 部分的にかゆがっている |
| ☐ | 部分的に腫れている |
- 抗ヒスタミン薬(かゆみや腫れをおさえる薬)があれば飲み、安静にして様子を見ます。悪化したら、次の「注意」の対応に進みます(群馬県のマニュアル、横浜市による)。
- 症状はすぐにおさまる場合もありますが、受診の判断は変わりません。食後2時間以内にじんましんが出たり、顔が腫れたりしたときは、かかりつけ医に相談しましょう(群馬県)。
【注意】症状が広がっている・目立つ
| ☐ | 症状 |
|---|---|
| ☐ | 皮膚の症状(じんましん、赤みなど)が全身に広がっている |
| ☐ | 呼吸器の症状が目立つ(咳、のどの違和感など) |
| ☐ | 消化器の症状が目立つ(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢など) |
- 薬を飲んだうえで、医療機関を受診します(群馬県のマニュアルによる)。
- 複数の臓器に症状が出ているときは、重い症状につながるおそれがあります。症状の出方は「食物アレルギーの症状|気を付けたいアナフィラキシーの緊急対応」でもまとめています。
【危険】一つでもあれば、すぐ救急車を

| ☐ | 症状 |
|---|---|
| ☐ | 息がしにくい、ゼーゼーする、呼吸が弱い |
| ☐ | のどや胸が締めつけられる |
| ☐ | 吐き続ける、強い腹痛が続く |
| ☐ | ぐったりしている、意識がもうろうとしている |
| ☐ | 脈が触れにくい、脈が不規則 |
| ☐ | 顔色が青白い、手足が冷たい |
- 表は、アレルギーポータル「アナフィラキシー」、横浜市「食物アレルギー」、群馬県の「学校における食物アレルギー対応マニュアル」をもとにしています。
- アナフィラキシーとは、複数の臓器に急に症状が出て、命に関わることもある状態のことです。短時間で進行するため、早めの対応が大切とされています(横浜市による)。
- 皮膚の症状(じんましんなど)は、全症例の約85%に出る、いちばん多い症状です。ただ、皮膚の症状だけで判断せず、呼吸や意識の様子をあわせて見てください。
エピペンを処方されている場合は、ためらわずに使います。症状が一時的に落ち着いても、薬の効果が切れて再び悪化することがあるため、エピペンを使ったあとも、必ず救急車を呼んで医療機関を受診します(群馬県の学校向けマニュアルによる)。エピペンについては「⑦アナフィラキシーの補助治療薬「エピペン」|使うタイミングと打ち方」「⑧エピペンの事故|事例から学ぶ、知っておくと安心な話」にまとめています。
参考:臓器ごとの主な症状
| 臓器 | 主な症状 |
|---|---|
| 皮膚 | 赤み、じんましん、かゆみ、湿疹 |
| 粘膜 | 目の充血、むくみ、鼻水、くしゃみ、口・唇・舌の違和感や腫れ |
| 呼吸器 | のどの違和感、咳、ゼーゼー、呼吸困難 |
| 消化器 | 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便 |
| 神経 | 頭痛、眠気、落ち着きがない、意識障害 |
| 循環器 | 血圧低下、脈が速い・遅い、手足の冷え、顔色が青白い |
- 表は、横浜市「食物アレルギー」の症状の分類をもとにしています。
ショックの症状は、どのくらいの割合で起きる?
消費者庁の全国調査では、即時型食物アレルギー(食べてすぐ症状が出るタイプ)の6,080例のうち、660例(10.9%)にショック症状がありました。およそ10人に1人です。「うちの子は大丈夫」と思わずに、備えておくことが大切です。
| 年齢 | ショック症状があった割合 |
|---|---|
| 0歳 | 8.1% |
| 1・2歳 | 8.2% |
| 3〜6歳 | 13.0% |
| 7〜17歳 | 12.1% |
| 18歳以上 | 24.6% |
| 全体 | 10.9% |
- 令和3年度「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」(消費者庁、2020年1〜12月の症例)をもとにしています。
- ショックとは、血圧が下がるなどして、ぐったりしたり意識が低下したりする状態です。
受診するときに伝えたいこと

| 伝えること | ポイント |
|---|---|
| 食べたもの | 何を、どのくらい食べたか |
| 時間 | 食べた時間と、症状が出た時間(食後何分で出たか) |
| 症状の特徴 | どんな症状が、どう変わったか。写真が撮れるなら記録しておく |
| 繰り返しているか | 同じ食べ物で、症状が繰り返し出ているか。以前に重い症状があったか |
| 家族や環境など | 家族のアレルギー、飲んでいる薬など(医師が診察で確認する項目です) |
- 表は、横浜市「食物アレルギー」、群馬県の「妊娠中〜離乳期に知っておいてほしいこと」、国立病院機構相模原病院の資料(厚生労働省 アレルギー疾患対策推進協議会)をもとにしています。
- うまく説明できるか不安なときは、メモを見せるだけでも大丈夫です。
どこで診てもらえばよいか迷うときは、「⑤アレルギーは何科?|かかりつけ医と専門医の違いを知ろう」も参考にしてください。
自宅の検査キット(IgG検査)には注意
「原因の食べ物を、自宅で調べられたら」と、検査キットが気になることもあると思います。ただ、食べ物に対するIgG抗体(血液中にできる、体を守る物質のひとつ)を調べる検査について、日本小児アレルギー学会は、食物アレルギーの原因を調べる方法として推奨しないという見解を出しています(2014年)。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 健康な人にもある | 食物に対するIgG抗体は、食物アレルギーのない健康な人にもあります |
| 原因でない食べ物まで除く | 検査が陽性だった食べ物を原因と考えて除去すると、原因ではない食べ物まで除いてしまいます |
| 健康への影響 | 除く食べ物が多くなると、健康被害につながるおそれがあります |
- 表は、日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会の見解(2014年11月)をもとにしています。
- 食物アレルギーの検査は、医師の問診をもとに選ばれます。血液検査の結果の見方は「⑯アレルギーの血液検査|数値が高い=症状が重いとは限らない」、検査の全体像は「①アレルギーの診断・検査|子供のアレルギーどこに連れて行く?」にまとめています。
ちなみに、初めての食材は平日の午前中に
初めて食べる食材は、平日の午前中に与えるのがすすめられています。症状が出たときに、すぐ医療機関を受診できるからです。あわせて、小さじ1杯から始めること、お子さんの体調が良いときに与えることも挙げられています(川崎市による)。
夜間や休日に迷ったら
夜間や休日に「救急車を呼ぶほどか、わからない」というときは、子どもの急な病気の電話相談「#8000」があります。#8000にかけると、お住まいの都道府県の相談窓口につながり、家庭での対処や、受診する病院について助言を受けられます(厚生労働省による)。
| こんなとき | 連絡先 |
|---|---|
| 息がしにくい、ぐったりしているなど、命に関わりそう | 119番(迷わず救急車) |
| 様子が気になるが、救急車を呼ぶか迷う(15歳未満) | #8000(子ども医療電話相談) |
- 相談できる時間帯は、都道府県によって異なります。厚生労働省の「子ども医療電話相談事業」のページで、お住まいの地域を確認しておくと安心です。
- #8000は電話での助言であり、診察や治療ではありません。大人向けの電話相談「#7119」は、15歳以上が対象です(新潟県・長野県の案内による)。
まとめ
息がしにくい、繰り返し吐く、ぐったりするなどの症状が一つでもあれば、様子を見ずに119番です。
- アナフィラキシーは、複数の臓器に急に症状が出て、短時間で進行することがある
- 即時型食物アレルギーの約10人に1人(10.9%)に、ショック症状がある
- エピペンを使ったあとも、必ず救急車を呼んで受診する
- 軽い症状でも、食べたものと時間をメモして受診する
- IgG抗体検査は、食物アレルギーの原因を調べる方法として推奨されていない
- 初めての食材は、平日の午前中に小さじ1杯から
気になる症状があるときは、このチェックリストだけで判断せず、医療機関に相談してください。原因については「食物アレルギーの原因|食べた時と肌からの侵入(経皮感作)」もあわせてご覧ください。
「へっちゃら」まっさんより
アナフィラキシーに関しては本当に怖いので、早めの対応を心がけてください。1つでも症状があれば、119番に連絡したほうが安全です。
また、アレルギーの疑いで受診するときは、記事に書いているようなことを伝えると診察もスムーズです。へっちゃら独自の「アレルギー受診メモ」も作成しましたので、コピーして使っていただければと思います。
#8000番に関しては、私も一度利用したことがありますが、なかなか電話がつながりませんでした。電話がつながっても、救急車を呼ぶための窓口ではなく、アドバイスが中心です。緊急時は迷わず119番に連絡してください。
参考にした情報源
- アナフィラキシー|アレルギーポータル(日本アレルギー学会)
- 食物アレルギー|横浜市
- 学校における食物アレルギー対応マニュアル 令和5年度改訂(群馬県教育委員会・群馬県医師会)
- 妊娠中〜離乳期に知っておいてほしいこと(群馬県)
- 令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書(消費者庁、令和4年3月)
- 食物アレルギー(国立病院機構相模原病院 海老澤元宏、厚生労働省 アレルギー疾患対策推進協議会 資料)
- 食物抗原特異的IgG抗体検査についての見解(日本小児アレルギー学会)
- アレルギーが心配な方へ(川崎市中原区)
- 子ども医療電話相談事業(#8000)|厚生労働省
- 夜間の救急医療電話相談(#7119)を実施しています(新潟県)
- 長野県救急安心センター(#7119)について(長野県)
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