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⑨新薬ネフィーとは|鼻に噴霧するアナフィラキシーの補助治療薬

新薬ネフィーとは|鼻に噴霧するアナフィラキシーの補助治療薬 検査・治療・病院

エピペンは、太ももに針を刺して打つ薬です。もし子どもが暴れたり、怖がったりしたら、うまく打てるだろうか。そんな不安を持つ人もいると思います。

2026年2月、針を使わず、鼻にスプレーするタイプのアナフィラキシーの薬「ネフィー」が、日本で発売されました。この記事では、どんな薬なのかを、公的な資料をもとに整理します。

結論:ネフィーは、エピペンと同じ「アドレナリン」を、注射ではなく鼻の中に噴霧する薬です。使う場面は、アナフィラキシーの補助治療で、エピペンと同じです。使ったあとは、救急搬送を手配して、必ず医療機関を受診します。

(国内の試験は15人と少なく、処方できるのは、講習を受けた医師に限られます。まだ登場したばかりの薬です)

ネフィーとは?どんな薬か|成分・投与方法・使うタイミング

ネフィーは、エピペンと同じ成分を、注射ではなく、鼻にスプレーして使う薬です。

聞き慣れないことばが並ぶので、先に説明しますね。「アナフィラキシー」は、食べ物などで起きる、全身に出る強いアレルギー反応です。「アドレナリン」は、その治療に使われる薬の成分。「補助治療」は、病院での治療のかわりではなく、それを助けるための治療のことです。「鼻腔内投与(びくうないとうよ)」は、鼻の穴の中に薬を入れることをいいます。

項目内容
成分アドレナリン(エピペンと同じ成分)
投与方法鼻の穴に、スプレーを差し込んで噴霧する(鼻腔内投与)
効能・効果蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療(アナフィラキシーの既往のある人、または発現する危険性の高い人に限る)
使うタイミング初期症状が出て、ショック症状が出る前に使う
発売2026年2月
  • 表は、ネフィー点鼻液の添付文書(PMDA)、審査報告書(PMDA)、適正使用ガイド(医療従事者向け)をもとにしています。
  • 1回分の量が入ったスプレーなので、試しに噴霧したり、使い回したりしてはいけません。鼻の中以外には使いません。

ネフィーの使い方|体重ごとの量と、2回目のタイミング

使い方はシンプルで、鼻の穴にまっすぐスプレーを差し込んで使います。量は体重で決まっていて、30kg未満なら1mg、30kg以上なら2mgです。

ネフィーはどんなときに使うのか

ネフィーの使い方

項目内容
使い方鼻の穴にまっすぐスプレーを差し込み、プランジャー(押す部分)をしっかり押して作動させる。スプレーが、鼻の穴の内側や外側に向かないようにする

ネフィーの量|体重ごとの目安

項目内容
量体重30kg未満は1回1mg、体重30kg以上は1回2mg
1mg製剤の目安原則、体重15kg以上に使う。15kg未満への投与成績は得られていない

ネフィーの追加投与|2回目を使うタイミング

項目内容
追加投与効果が不十分なら、1回目から10分以降を目安に、2回目を投与できる。2回目は、1回目と同じ鼻の穴に投与するのが望ましい

「追加投与」というのは、1回で効きめが足りないときに、もう一度使うこと。「臨床試験」は、薬の効きめや安全性を、実際に人で確かめる試験のことです。

  • 4歳未満(体重15kg未満)の幼児を対象にした臨床試験は、行われていません。
  • 2回目を使うかどうかは、主治医の指導にしたがって判断します(適正使用ガイド)。

ネフィーとエピペンの違い|比べてわかること

エピペンとのいちばんの違いは、針を使うかどうかです。体への作用は、エピペンと同じ程度以上と判断されていますが、血液中に届くまでの時間は違います。

ネフィーとエピペンの比較表

項目ネフィーエピペン
投与方法鼻に噴霧太ももに筋肉注射
製剤1mg・2mg0.15mg・0.3mg
体重の目安30kg未満は1mg、30kg以上は2mg0.15mgは15kg以上、0.3mgは30kg以上
追加投与10分以降を目安に2回目10〜15分たっても良くならなければ2本目(東京都)
有効期間24か月0.15mgは20か月、0.3mgは24か月

ネフィーとエピペンで、血液中に届くまでの時間は違う

添付文書には、外国人の健康な大人で、ネフィー2mgとエピペン0.3mgを比べた試験が載っています。血液中のアドレナリン濃度が最も高くなるまでの時間(中央値)は、ネフィーが30分、エピペンが8分でした。最高濃度は、ネフィーが481pg/mL、エピペンが612pg/mLでした。

一方、審査報告書では、血圧など体への作用(薬力学)は、エピペンと同じ程度以上だったと判断されています。血中濃度の動きは、エピペンと同じとは言えないが、体への作用は同程度以上、という整理です。

ちなみに、「中央値」は、数字を小さい順に並べたときの真ん中の値のこと。「pg/mL(ピコグラム・パー・ミリリットル)」は、血液1mLの中にあるアドレナリンの量の単位で、数字が大きいほど濃いことを表します。

  • これは、健康な大人で調べた結果で、別の試験で調べたものです。アナフィラキシーの人で、直接くらべた結果ではありません。
  • どちらを選ぶかは、体格、年齢、使う場面で変わるため、主治医と相談して決めます。

ネフィーの効果と副作用|国内の試験でわかったこと

気になる効きめですが、国内の試験では、15人中11人で症状が軽くなりました。ただ、人数が少ないので、この数字だけで効果の大きさは決められません。

ネフィーの効果|症状が改善した割合

国内の試験は、食物経口負荷試験で、アナフィラキシーガイドライン2022のグレード2以上の症状が出た6〜17歳の15人が対象でした。投与15分後に、主な症状が1段階以上軽くなった人の割合は、全体で73.3%(11人/15人)でした。

試験の説明に出てくることばを、2つ補足します。「食物経口負荷試験」は、アレルギーの原因かもしれない食べ物を、病院で少しずつ食べて、症状が出るかどうかを調べる検査。「グレード」は、アナフィラキシーの症状の重さを分けた段階で、数字が大きいほど重い症状です。

項目結果
主な症状が改善した割合全体:73.3%(11/15人)/1mg:83.3%(5/6人)/2mg:66.7%(6/9人)

ネフィーの副作用|出た割合と、重大なもの

項目結果
副作用が出た割合40%(6/15人)
主な副作用ふるえ(振戦)20.0%(3人)、鼻の粘膜の障害13.3%(2人)
重大な副作用肺水腫、呼吸困難、心停止(頻度は不明)

副作用の表には、こんなことばも出てきます。「有害事象」は、薬を使ったあとに起きた体の不調のこと。「振戦(しんせん)」は、手などがふるえること、「肺水腫(はいすいしゅ)」は、肺に水がたまることです。

  • 試験は、少人数で、比べる薬のない1つのグループだけで行われました。この数字だけで、効果の大きさを決めることはできません。
  • 国内の試験では、死亡、重い有害事象、中止になった有害事象はありませんでした(審査報告書)。
  • カテコールアミン製剤などアドレナリン作動薬を使っている人には使えません(蘇生などの緊急時を除く)。

ネフィーの処方の条件・薬価・保管方法

ネフィーは、登録された医師にしか処方できません。使ってみたいときは、まず、かかりつけの医師に取り扱いがあるかを聞いてみましょう。

ネフィーを処方できる医師と、渡されるとき

項目内容
処方できる医師登録された処方医師のみ。登録された処方医師の処方箋を受けた薬局にだけ納入される
渡すとき医師が、保存方法、使い方、副作用などを説明し、理解を確認する(インフォームドコンセント)。練習用見本で、日ごろから訓練するよう指導される

ネフィーの薬価

項目内容
薬価1mg:22,975.3円/2mg:24,672.1円(いずれも1瓶あたり。自己負担額は、保険の種類などで変わる)

ネフィーの保管方法と使用期限

項目内容
保管室温(1〜30℃)で、光を避けて保管する
使用期限有効期間は24か月。期限前に医療機関で、新しいものを処方してもらう

「インフォームドコンセント」は、医師から十分に説明を受けて、理解し、納得したうえで決めること。「薬価(やっか)」は、国が決めた薬の価格のことで、窓口で払う金額そのものではありません。

  • 承認の条件として、使用について十分に指導できる医師だけが処方・使用するよう、納入前に講習を実施することが定められています(審査報告書)。
  • かかりつけの医師が登録しているかどうかは、医療機関に確認してください。
  • 薬価は、国立病院機構 相模原病院の薬剤委員会結果報告(2026年3月4日開催)によります。

ネフィーを使ったあとは、必ず救急車と受診

効いたように見えても、使ったあとは、必ず救急搬送を要請して、医療機関を受診します。ここは、とても大事なところです。

使ったあとは、必ず救急車と受診

ネフィーは、アナフィラキシーの「補助治療」の薬で、医療機関での治療のかわりにはなりません。効いたように見えても、使ったあとは救急搬送を要請し、使い終わったスプレーを持って、必ず医療機関を受診します。

今日できるのは、かかりつけの医師に、ネフィーの取り扱いがあるか聞いてみること。エピペンとネフィーのどちらが合うかは、体格や年齢、使う場面で変わるので、主治医と相談して決めましょう。

ネフィーのまとめ

ネフィーは、針を使わず、鼻に噴霧するアナフィラキシーの補助治療薬です。

  • 成分はエピペンと同じアドレナリンで、2026年2月に発売された
  • 体重30kg未満は1mg、30kg以上は2mgを、鼻の穴に噴霧する
  • 効果が不十分なら、10分以降を目安に、同じ鼻の穴に2回目を使える
  • 血液中のピークに達する時間は、エピペンより遅いが、体への作用は同程度以上と判断されている
  • 国内の試験は15人。改善した割合は73.3%、副作用は40%
  • 処方できるのは、登録された医師だけ
  • 使ったあとは、救急搬送を手配し、使い終わったスプレーを持って、必ず受診する

登場したばかりの薬なので、今後の情報が増えていく段階です。気になるときは、まずかかりつけの医師に、取り扱いがあるかどうかを聞いてみてください。

「へっちゃら」まっさんより

ワタクシも、この記事を書くまではネフィーの存在を知りませんでした。

2026年2月に販売が始まったばかりなので、まだまだ新しい薬ですね。情報も十分に出回っていないことから、使うべきかどうか、様子を見ている人も多いのではないでしょうか。

何はともあれ、選択肢が増えるのは心強いことです。これからも、必要な人に届く良い薬が開発されていくことを願っています。

参考にした情報源

運営者まっさんの似顔絵

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※本記事は、公開されている情報をもとに、できるだけわかりやすくまとめたものです。個別の状況によって適切な対応は異なりますので、ご不安な点がある場合は自己判断せず、専門機関・専門家にご確認ください。詳しくは免責事項をご覧ください。 緊急性の高い症状が見られる場合は、自己判断せず、直ちに救急要請または医療機関を受診してください。

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