非常持ち出し袋、水、モバイルバッテリー……防災の備えって、揃えようと思うと意外とキリがないですよね。でも、食物アレルギーのある子を育てていると、それだけでは足りないんです。「避難所で配られる食事が食べられなかったらどうしよう」「アレルギー対応食品、被災地では手に入るのかな」という不安は、アレルギーのある子を持つ家庭ならではの心配ごとだと思います。
実はこの記事を書くきっかけになったのも、あるアレルギーっ子の保護者コミュニティでのやり取りでした。令和8年7月に熊本地震が発生したとき、コミュニティのメンバーが「日本小児アレルギー学会が災害時の子どものアレルギーに関する相談窓口を設けています。避難生活やお薬、食事などでお困りのことがありましたら、一人で抱え込まずご活用ください」と、公式の相談窓口情報をシェアしてくれていました。こういう情報は、いざというときにすぐ思い出せないものなので、今のうちに知っておいて、心の中にしまっておくのがいいと思います。
災害時、アレルギーのある子は何に困るの?
避難所の食事が食べられないことがある
避難所で配られる食事や炊き出しは、多くの人に行き渡ることを優先して作られるので、原因食物を避けた対応まではなかなか手が回らないことが多いようです。過去の災害でも、アレルギー対応食品が届くまでに数日かかったという記録があります。
「好き嫌いするな」と誤解されてしまうことも
東日本大震災のときには、アレルギーのある方が原因食物入りの非常食を食べられずにいたところ、周りから「緊急時に好き嫌いするな」と心無い言葉をかけられてしまった、という事例も報告されているそうです。食物アレルギーは好き嫌いではなく、命に関わることだと伝えるのは、平常時でも難しいのに、災害時の混乱した状況ではなおさら難しいことなんですよね。
治療薬・対応食品の入手が難しくなる
エピペンや普段の治療薬、アレルギー対応食品は、被災地では手に入りにくくなることが十分に考えられます。「いつもの薬局・お店で買えばいい」という前提が、災害時には崩れてしまうことを知っておく必要がありそうです。
家庭でできる備え
ローリングストック法で備蓄する
日本小児アレルギー学会は、大規模災害に備えたアレルギー対応食品の備蓄について提案を出しています。ポイントは、普段使っているアレルギー対応食品を少し多めに買っておいて、古いものから使い、使った分を買い足していく「ローリングストック法」です。
- 目安は最低3日分、できれば1週間分、可能であれば2週間分
- 「非常時に初めて食べる」のではなく、普段から食べ慣れた味にしておく
- 水は1人1日あたり1リットルが目安
持ち出し用の情報も一緒に備えておく
食品だけでなく、情報の備えも大切です。
- 生活管理指導表のコピー(原因食物・緊急時対応が一目で分かる)
- お薬手帳のコピーや、内服薬・エピペンの写真
- アレルギーワッペンやIDタグ(言葉で伝えられない状況でも周囲に知らせられる)
これらをコピーして、非常持ち出し袋やお薬と一緒にまとめておくと、いざというときに慌てずに済みます。
アレルギー対応の非常食もあります

最近は、特定原材料等28品目不使用をうたった非常食も増えてきています。ローリングストックの選択肢として知っておくと安心です。
- アルファー食品
「安心米」:特定原材料等28品目不使用、ハラール認証もあり。五目ご飯・わかめご飯など味のバリエーションも豊富 - 尾西食品「アルファ米」:商品によって28品目不使用のラインナップあり(わかめご飯など)
- 井村屋「えいようかん」:28品目不使用のようかん。1本60g・171kcalとエネルギー効率が良く、非常食として人気
「これが一番おすすめ」と決めつけず、原材料表示は毎回自分の目で確認したうえで、普段から食べ慣れておくのがよさそうです。
いざというときに頼れる相談窓口
日本小児アレルギー学会「災害時のこどものアレルギーに関する相談窓口」
災害時に限定した、アレルギー専門医によるメール相談窓口です(平常時の一般的な相談には対応していないそうなので、その点は注意してください)。相談する際は、氏名・住所・連絡先を必ず書くようにとのことです。
成育アレルギー電話相談室(国立成育医療研究センター)
食物アレルギーに関する心配ごとを無料で相談できる電話窓口です。保育・学校関係者からの相談にも応じてくれるそうです。
- 電話番号:03-5494-8138
- 受付:毎週水曜日・金曜日 15時〜16時(祝祭日・年末年始を除く)
- 相談は無料(通話料のみ自己負担)
災害時に限らず、日常的な心配ごとの相談先としても使えそうです。
アレルギーポータル「災害時の対応」
治療薬やアレルギー対応食品の備蓄、避難所での過ごし方など、災害に関する情報がまとまって掲載されています。パンフレットやポスターは印刷して、家族や周囲の人と共有するのにも使えそうです。
まとめ
災害はいつ起きるか分からないからこそ、「そのとき」を具体的にイメージして備えておくことが大切なんだと思います。ローリングストック法で食品を備蓄すること、生活管理指導表のコピーなど情報も一緒に持ち出せるようにしておくこと、そして頼れる相談窓口をあらかじめ知っておくこと。この3つだけでも、いざというときの安心感がだいぶ変わってくるはずです。個別の備蓄内容や薬の取り扱いについては自己判断せず、主治医にも相談しておくと安心です。
免責事項
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考情報源
・日本小児アレルギー学会「大規模災害対策におけるアレルギー用食品の備蓄に関する提案」
・日本小児アレルギー学会「災害時のこどものアレルギーに関する相談窓口について」
・アレルギーポータル「災害時の対応」
・国立成育医療研究センター「成育アレルギー電話相談室」
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