暖かくなってくると、花粉症のシーズンが本格化しますね。実はこの時期、食物アレルギーのあるお子さんにとっても、知っておきたい注意点がいくつかあります。今回は、春に気をつけたいポイントと、入園・入学シーズンに向けた備えについてお伝えします。
口の中や喉のかゆみ・腫れは「花粉食物アレルギー症候群」かも

花粉症のあるお子さんが、特定の果物や野菜を食べたときに、口の中やのどにかゆみ・腫れなどの症状が出ることがあります。これは「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」と呼ばれるもので、花粉のアレルゲンと、果物・野菜に含まれるタンパク質の構造が似ているために、体が交差して反応してしまうことで起こるとされています。
国立成育医療研究センターが行った17歳青少年458名を対象とした追跡調査では、花粉症を持つ人のうち11.2%がこのPFASを発症していたと報告されています。原因となった食品で特に多かったのは、リンゴ(45.1%)、キウイ(41.2%)、パイナップル(39.2%)でした。
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気づきにくいポイント
- 症状は主に口の中・のどに限られることが多く、蕁麻疹のように分かりやすい皮膚症状が出ないため見過ごされやすい
- 同調査では、PFASを発症していた人の43.1%にアトピー性皮膚炎の既往があったとされ、アレルギーマーチ(乳幼児期のアトピーから、食物アレルギー、喘息、花粉症へと症状が移り変わっていく現象)との関連も指摘されている
- まれに、口だけでなく全身のアナフィラキシーに進行することもあるとされる
花粉の種類ごとに注意したい果物・野菜
花粉食物アレルギー症候群は、どの花粉にアレルギーがあるかによって、注意したい食品の種類が変わってくるとされています。
- ハンノキ・シラカバ:リンゴ、イチゴ、モモ、ナシ、サクランボ、ビワなど(バラ科の果物)
- スギ・ヒノキ:トマト
- イネ科:メロン、スイカ、トマト
- ヨモギ:セロリ、ニンジン、キウイ、パセリなど
こうした食品は、加熱すると症状が出にくくなるとされています。花粉の飛散シーズンが終わった直後は、かえって症状が強く出ることもあるとされるため、油断せず様子を見ることをおすすめします。
- 生の果物・野菜で口がイガイガする場合でも、加熱した状態(ジャムや加熱調理)なら食べられることもあるとされる
- 心当たりのある果物は、初めて食べさせる際に少量から試し、口の中の症状がないか様子を見る
- 口だけでなく全身にじんましんが出る、呼吸が苦しくなるなどの症状があれば、すぐに医療機関を受診する
- 繰り返し症状が出る場合は、自己判断で除去を続けず、一度アレルギー専門医に相談して原因を特定してもらう
春の行事食で気をつけたいこと
春は、たけのこ掘りや潮干狩り、お花見など、旬の食材やイベントが重なる季節でもあります。ここでも、いくつか知っておきたいポイントがあります。
たけのこアレルギー
春が旬の「たけのこ」も、まれに食物アレルギーの原因になることがあるとされています。たけのこのタンパク質を体が異物と認識し、IgE抗体が反応することでアレルギー症状が起こる仕組みは、他の食物アレルギーと同様です。
- 初めて食べさせるときは、少量からにして、その日のうちに他の初めての食材を重ねない
- 食べた後、口のかゆみ・蕁麻疹・嘔吐などが出ないか、しばらく様子を見る
- 症状が出た場合は、食べた量・調理法(水煮・下ゆで済みか等)をメモしておくと、受診時に原因を特定しやすくなる
潮干狩りと貝アレルギー・貝毒
3月下旬から6月頃は潮干狩りのシーズンでもあります。エビ・カニなどの甲殻類と同様、貝類(あさり等)もアレルギーの原因になることがあり、学童期以降に問題となることが多いアレルゲンの一つとされています。加熱してもアレルゲン性が下がりにくいとされる点も、甲殻類と共通しています。
- 貝アレルギーがあると分かっている場合、潮干狩りで採った貝を家族の分だけ別調理するなど、混入・誤食に注意する
- アレルギーとは別に、管理されていない潮干狩り場や海域で採った貝には「貝毒」が発生していることがあり、加熱しても無毒化されないため注意が必要とされる
- 貝毒の発生状況は、自治体や漁協が発表する情報を事前に確認しておくと安心
お花見・遠足のお弁当
お花見や春の遠足では、普段と違う場所での飲食になるため、いつもの誤食対策が手薄になりがちです。友達同士でおかずを分け合ったり、レジャーシートの上に食べ物が直接触れたりする機会も増えるため、事前に「これは食べられないから交換しないでね」と伝えておく、除去食であることが分かるようにお弁当箱やシールで工夫しておく、といった対策が安心につながります。
花粉症の薬を飲んでいるのに効かない「黄砂かも?」

春先、「花粉症だと思っていたけど、実は違うかも?」というケースの一つに「黄砂アレルギー」があります。黄砂は、中国大陸やモンゴルの砂漠地帯から強い風で巻き上げられた砂塵が、偏西風に乗って日本まで運ばれてくる現象で、日本に到達するまでの間に大気汚染物質や微生物などが付着するとされています。主に2月下旬から5月にかけて発生し、3〜4月にピークを迎えるため、スギ・ヒノキ花粉の飛散時期とちょうど重なります。
花粉症との違い
- 花粉症はくしゃみ・鼻水・目のかゆみが中心で、症状がすぐに出るのに対し、黄砂アレルギーは喉の痛みや乾いた咳が強く出やすく、黄砂飛散から2〜3日後に症状がピークになるとされる
- 黄砂の粒子(直径約4μm)は、スギ花粉(約30μm)よりもかなり小さいため、気道の奥まで入り込みやすいとされる
- 皮膚のかゆみ・発疹が出やすいのも特徴の一つとされ、アトピー性皮膚炎がある場合は症状が悪化することもあるとされる
- 小児も成人と同様に発症する可能性があり、咳の悪化や喘息発作のリスクも指摘されている
黄砂と花粉は同時期に飛散するため、症状が複合して現れることも多く、「花粉症の薬を飲んでいるのに、なぜか咳だけ治まらない」というときは、黄砂の影響も重なっている可能性があります。予防としては、飛散が多い日の外出を控える、外出時はマスクを着用する、帰宅後はすぐに手洗い・洗顔をする、室内では空気清浄機を使うといった対策が、花粉対策とあわせて有効とされています。
もう一つの見落としがちな要因「PM2.5」
黄砂に加えてもう一つ、春の空気に潜んでいるのが「PM2.5」です。PM2.5は、直径2.5マイクロメートル以下という非常に小さな大気汚染物質で、髪の毛の太さの約30分の1しかないとされています。あまりに小さいため、鼻や喉にある異物を捕らえるフィルター機能をすり抜けて、肺の奥深くまで入り込んでしまうのが特徴です。
黄砂・花粉との違い
- 花粉症は特定の季節に症状が出るのに対し、PM2.5による症状は本来年間を通じて起こりうるとされる(ただし偏西風の影響で3〜5月に多いとされる)
- 室内に入っても症状が続いたり、特定の食べ物・動物との接触がなくても症状が出たりする点が、花粉症やハウスダストアレルギーとの見分けのポイントとされる
- 黄砂の表面にPM2.5が付着することで、より複合的で強いアレルギー反応につながることがあるとされる
- アレルギー性鼻炎・気管支喘息・アトピー性皮膚炎などの持病がある場合、PM2.5濃度が高くなると症状が悪化するという報告がある
- 子どもは呼吸器が発達段階で、免疫システムも十分に成熟していないことから、大人よりも影響を受けやすいとされる
症状としては、鼻水・鼻づまり、喉の痛み、咳、目のかゆみ・充血、肌荒れなど、複数の部位に現れることがあるとされています。花粉症や黄砂と同じような症状のため見分けがつきにくいですが、「花粉の季節が終わったはずなのに、まだ咳や肌荒れが続く」という場合は、PM2.5の影響も一因として考えられます。
対策は黄砂・花粉と共通する部分が多く、大気汚染の状況をこまめにチェックする、外出時のマスク着用、帰宅後の手洗い・うがい・洗顔、室内では高性能フィルター搭載の空気清浄機を使うといった方法が有効とされています。
入園・入学シーズンに向けた備え
春は、進級・入園・入学で環境が大きく変わる季節でもあります。食物アレルギーのあるお子さんが新しい環境に入る場合、事前の準備がとても大切になります。
入所・入学までの流れ
明治の食物アレルギー特集(相模原病院・海老澤元宏先生監修)によると、入所(園)・入学までの基本的な流れは次のようになるとされています。
- 入所(園)先を検討する段階で、食物アレルギーがあることを伝え、対応状況を確認・相談する
- 「生活管理指導表」を医療機関で記入してもらい、入所(園)・入学先に提出する(保護者が自分で記入するものではない)
- 提出後、保育所・幼稚園・学校の関係者と保護者とで面談を行い、給食の対応方法や集団生活での注意点を具体的に決めていく
給食のアレルギー対応は、保護者からの申請ではなく医師の診断書に基づいて行われる決まりになっているため、「生活管理指導表」の準備は早めに動いておくと安心です。
施設によって対応が異なる点に注意
認可保育所・認定こども園は、法令に基づいた給食を園で調理して提供するのが原則とされていますが、認可外保育施設や幼稚園には給食に関する決まりがなく、お弁当持参の園や外部委託の給食を導入している園など、対応がさまざまです。検討段階で、給食の提供方法を具体的に確認しておくことをおすすめします。
新年度は「担任の入れ替わり」のタイミングでもある
春は、新しく入園・入学する子だけでなく、すでに在園・在学している子にとっても、進級によって担任の先生が変わるタイミングです。厚生労働省の保育所におけるアレルギー対応ガイドラインでは、生活管理指導表は「子どもを中心に据えた、医師と保護者、保育所における重要なコミュニケーションツール」と位置づけられており、年に1回の更新が基本とされています。つまり、担任が変わる新年度は、このコミュニケーションを改めてやり直す絶好のタイミングでもあります。
- 前年度の対応が新しい担任の先生にきちんと引き継がれているか、新年度が始まったタイミングで一度確認する
- 生活管理指導表は年1回の更新が基本とされているため、内容に変化がなくても、新年度に合わせて医療機関で最新の状態に更新しておく
- エピペンの保管場所、除去食の対応方法、症状が出たときの緊急連絡先など、命に関わる情報は口頭だけでなく書面でも確認し合う
- 進級・進学(特に園から小学校など、施設をまたぐ場合)では、施設間の引き継ぎに情報の抜け漏れが起きやすいとされるため、保護者側からも積極的に声をかけておくと安心
保育・教育の現場向けの引き継ぎに関する資料でも、「食物アレルギー等の配慮がいる子は?」という項目は、園から小学校への引き継ぎ時に必ず確認すべき項目の一つとして挙げられています。とはいえ、引き継ぎが完璧に行われるとは限らないため、新学期が始まったら、保護者側からも新しい担任の先生に直接、対応をあらためて確認しておくと、より安心につながります。
新生活の疲れで、体調を崩しやすい時期でもある
環境が変わる春は、子ども自身も気づかないうちに気を張って過ごしていることが多いとされ、体調を崩しやすい時期でもあります。免疫力が本調子でないタイミングは、アレルギー症状にも影響が出やすいことがあるため、次のような点を心がけたいところです。
- 睡眠と食事のリズムをできるだけ崩さないようにする
- 体調がすぐれないときは無理をさせず、ゆっくり休ませる
- 多くの場合、園生活に慣れるにつれて少しずつ体も強くなっていくとされるため、焦らず見守る
まとめ
春は、花粉症をきっかけに食物アレルギー(花粉食物アレルギー症候群)が表面化しやすい季節であると同時に、花粉と紛らわしい黄砂・PM2.5が重なる季節でもあります。さらに、たけのこや潮干狩りの貝など旬の食材、お花見・遠足といった行事も重なるため、いつも以上に食べ物への目配りが必要になる時期でもあります。加えて、入園・入学、そして在園・在学中の子にとっても担任の先生が入れ替わるという、大きな環境変化が重なるタイミングです。果物を食べたときの口のかゆみに気づいたら早めに相談すること、原因不明の咳や肌荒れが長引く場合は黄砂・PM2.5の影響も疑ってみること、生活管理指導表の準備・更新はできるだけ前倒しで進めておくこと、そして新しい担任の先生とは新年度早々に対応をあらためて確認しておくことが、春を安心して迎えるポイントになりそうです。
アトピー性皮膚炎をお持ちのお子さんの春の注意点は「アトピーと四季折々の注意事項と対策」で、喘息をお持ちのお子さんの春の注意点は「喘息と四季折々の注意事項と対策」でそれぞれ詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
うちの家は全員花粉症があるので、この時期は一年で一番キツイ時期でもあります。ティッシュも一日でひと箱なくなる勢いで、ティッシュ代も馬鹿になりません。
特にうちの子は、この時期になるとアレルギーで顔がパンパンに腫れちゃうので、見ていて痛々しいです。
この時期は絶対に外で洗濯物や布団を干せないので、布団乾燥機や乾燥機付き洗濯機がフル回転しています。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報源
- 近年急増する「花粉食物アレルギー症候群」17歳で1割以上に発症~交差反応でりんご、キウイに特に注意~|国立成育医療研究センター
- 入所(園)・入学までに必要な手続きなど|知って!食物アレルギー|株式会社明治(監修:相模原病院 海老澤元宏先生)
- 保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)|厚生労働省
- 黄砂アレルギーの症状【花粉症との違いと対策】|阪野クリニック(内科専門医監修)
- PM2.5が体に与える健康影響【予防と症状別対策】|阪野クリニック(内科専門医監修)
- 【重要】潮干狩りは要注意!!「貝毒」の危険性|仙台市
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