夏は屋外での活動が増える季節。食物アレルギーのあるお子さんにとっては、食中毒との見分け方や、虫刺されなど、気をつけたいポイントが一気に増える時期でもあります。今回は、夏に知っておきたい注意点を、意外な事実も交えてお伝えします。
これは食物アレルギー?それとも食中毒?

夏は食中毒のシーズンでもあり、嘔吐や腹痛といった症状が出たとき、「これは食物アレルギー? それとも食中毒?」と迷う場面が増えます。
医療機関の解説によると、食物アレルギーと間違えやすいものとして、細菌やウイルスに汚染された食品による食中毒、フグ毒・キノコ毒などの中毒反応、鮮度の落ちた魚に含まれるヒスタミンなどの生理活性物質があるとされ、これらは食物アレルギーには含まれないとされています。食物アレルギー(即時型)は、通常食べてから2時間以内に症状が出るとされ、皮膚症状(じんましん・かゆみ)が多くを占める一方、食中毒は原因菌によって症状が出るまでの時間や、発熱の有無などが異なる傾向があります。
見分けるポイントとして、「同じ食材を同じ量・同じ調理法で食べても、出たり出なかったりする」場合はアレルギーとしては再現性が乏しく、他の原因(体調不良や偶然の蕁麻疹など)である可能性も考えられるとされています。
- 夏場の食中毒予防として、調理後の食品は常温放置を避け、早めに冷蔵・冷凍する
- お弁当や作り置きは、しっかり加熱し、粗熱を取ってから保冷剤・保冷バッグで持ち運ぶ
- 嘔吐・下痢・じんましんなどの症状が出た場合は、食べたもの・時間をメモしておくと、受診時に食中毒かアレルギーかの判断材料になる
- 呼吸が苦しい、唇や顔が腫れる、意識がぼんやりするなど、アナフィラキシーを疑う症状があれば、判断に迷わずすぐに救急要請する
- 判断がつかない場合は、自己判断せず医療機関に相談する
見落としがちな「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」
夏は水泳やスポーツで運動量が増える季節ですが、ここで知っておきたいのが「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」です。これは、原因となる食物を食べただけ、または運動をしただけでは症状が出ず、原因食物を摂取したあとに運動をしたときだけアナフィラキシーが起こるという特殊なタイプの食物アレルギーです。
- ほとんどが食後2時間以内に症状が出始めるとされる
- 原因食品は小麦と甲殻類(エビ・カニ)が多いとされる
- 運動負荷量が多いと誘発されやすいが、歩いただけで誘発されることもあるとされる
- 対策は「運動前は原因食品を摂取しない」「原因食品を摂取した場合は食後最低2時間は運動を避ける」こととされる
- 解熱鎮痛剤(NSAIDs)が運動の代わりに誘発因子となることもあるとされ、注意が必要
「給食を食べてすぐの体育の授業でアナフィラキシーを起こした」というようなケースは、このタイプが背景にあることも。心当たりがある場合は、一度医療機関に相談してみることをおすすめします。
夏の旬の食材とアレルギー
桃・すいかなど、夏の果物と口腔アレルギー症候群
春の記事では花粉症に伴う「口腔アレルギー症候群」をご紹介しましたが、実は桃やすいかなど、夏が旬の果物もこのタイプのアレルギーの原因になりやすいとされています。日本アレルギー学会の資料によると、原因となる花粉と症状が出やすい食品には次のような対応関係があるとされています。
- ハンノキ・シラカンバ(カバノキ科):モモ、サクランボ、アンズ、大豆、キウイフルーツなど
- ブタクサ(キク科):メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ、バナナなど
- カモガヤ(イネ科):メロン、スイカ、トマト、キウイフルーツなど
桃を食べた後に口や喉がイガイガする、といった経験がある場合は、花粉症の有無にかかわらず、一度医療機関に相談しておくと安心です。加熱調理(コンポートやジャムなど)であれば食べられることが多いとされていますが、まれに加熱してもアナフィラキシーを起こすタイプもあるとされ、自己判断は避けるべきとされています。
見落としがちな「アニサキスアレルギー」
夏は、そうめん・冷やし中華・お刺身など、生魚介類を食べる機会が増える季節でもあります。ここで知っておきたいのが「アニサキスアレルギー」です。アニサキスは魚介類の体内に生息する寄生虫の一種で、非加熱の魚を食べた際に体内に入って腹痛を起こす「アニサキス症」とは別に、アニサキスのタンパク成分そのものに対するアレルギー反応として、全身にじんましんなどの症状が引き起こされることがあるとされています。
- サバ・アジ・イワシ・サンマなど、青魚の刺身や〆物を食べた後に症状が出た場合は、アニサキスアレルギーの可能性も考えられる
- アニサキスは加熱・冷凍(-20℃以下で24時間以上)で死滅するとされ、加熱・冷凍済みの魚介類であれば心配は少ないとされる
- 症状が出た場合は、食べた魚の種類・状態(生か加熱済みか)をメモし、医療機関に相談する
- 一度発症すると、以降その魚を食べるたびに症状が出ることがあるとされ、繰り返す場合はアレルギー専門医への相談をおすすめする
アトピーがなくても、食物アレルギーの子が気をつけたいプールの場面
プールの塩素・紫外線に関する注意点は主にアトピー性皮膚炎のあるお子さん向けですが、食物アレルギーのみのお子さんにも、プールならではの気をつけたい場面があります。
- 給食やお弁当を食べた直後にプール・水泳の授業がある場合、前述の「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の原因食物に心当たりがあれば、学校・プール施設に事前に伝えておく
- プールサイドの売店・自動販売機で売られているアイスや飲み物は、成分表示を毎回確認する(普段利用している店とは違うため、油断しやすい)
- ラテックスフルーツ症候群(バナナ・キウイ・栗などのアレルギー)がある場合、天然ゴム製の水泳ゴーグル・浮き輪・アームリングでかぶれることがあるため、素材を確認するか合成ゴム製のものを選ぶ
- 友達同士でお菓子や飲み物を分け合う機会が増えるため、誤食のルールをあらためて確認しておく
「衣」:汗と洗濯洗剤による肌荒れ
夏は汗をかく量が増えることで、衣類にまつわる肌トラブルも起きやすくなります。皮膚科医の解説によると、洗濯洗剤や柔軟剤の残留成分が汗や皮脂で「再溶出」し、赤み・チクチク・かゆみといった肌荒れを引き起こすことがあるとされています。夏になると急に肌がかゆくなる場合、洗剤自体が変わっていなくても、汗の量が増えたことで残留成分が溶け出しやすくなっている可能性があります。
- 枕カバー・フェイスタオル・マスク・運動用インナーなど、顔まわりや汗をかく衣類には柔軟剤を使わないのが無難とされる(柔軟剤は肌触りのために成分をあえて繊維に残す設計のため)
- 洗剤は無香料・着色料フリーを優先し、適正量とすすぎ2回を基本にする
- 節水・時短コースは、すすぎが弱くなりやすいため、肌トラブルが続く時期は避ける
- 合成繊維や体に密着するウェアは、汗・摩擦・熱がこもりやすく、肌トラブルが悪化しやすいことがあるとされる
洗剤や柔軟剤を変えていないのに夏だけ肌荒れが出る場合は、「洗剤が合わない」というより「汗による再溶出」が関係していることもある、という視点を持っておくと、原因を探る手がかりになりそうです。
「住」:夏の室内に潜むダニ・カビとエアコン
家の中のアレルギーの二大原因は、ダニ(チリダニ)とカビ(真菌)とされています。どちらも高温多湿を好み、気温25〜30℃・湿度60%以上という日本の夏の室内は、繁殖のピークシーズンにあたるとされています。
エアコンから始まる咳・鼻炎
見落とされがちなのが、エアコン内部です。冷房運転中のエアコン内部は結露で湿っており、ホコリを栄養にカビが増殖しやすい環境になるとされています。「エアコンをつけた直後にくしゃみ・咳が出る」という場合、次のような流れが起きている可能性があるとされています。
- エアコン内部で結露が発生し、ホコリを栄養にカビが増殖する
- 送風でカビの胞子や、床にたまったダニの死骸・フンが部屋中に舞い上がる
- 吸い込んで鼻や気道の粘膜でアレルギー反応が起こる
- くしゃみ・鼻水・咳・喘息の悪化として症状が出る(長引くと「治らない夏かぜ」のように見えてしまう)
見逃したくない「夏型過敏性肺炎」
夏の長引く咳の中で特に注意したいのが「夏型過敏性肺炎」です。高温多湿の住まいで増えるトリコスポロンというカビの胞子を繰り返し吸い込むことで、肺の奥にアレルギー性の炎症が起こる病気で、おおむね6〜10月に発症するとされています。風邪薬や咳止めでは良くならず、放置すると肺の組織が線維化し慢性化することがある点が、通常のアレルギー性鼻炎とは異なるとされています。
- 咳・微熱・息切れが自宅にいるときに悪化し、旅行や帰省で家を離れると良くなる
- 毎年夏になると同じような咳を繰り返している
- 築年数の古い木造住宅・日当たりの悪い部屋・水回りにカビが目立つ
「家を離れると良くなる」というのは本人が気づきにくいサインとされ、お盆の帰省や旅行の後に「そういえば咳が出なかった」と思い当たる場合は、一度医療機関に相談してみることをおすすめします。
今日からできるダニ・カビ対策
- エアコンのフィルターは2週間に1回を目安に掃除する
- 冷房を切る前に送風運転で内部を乾かす(内部乾燥機能があれば活用する)
- 室内の湿度を50〜60%以下に保つ
- 寝具に掃除機をかけ、シーツ・枕カバーは週1回洗濯する
- 布団は干すだけでなく、取り込む前に掃除機で死骸・フンを吸い取る
床材とダニの関係については「畳・フローリング・カーペット、ダニが多いのはどれ?」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
蚊に刺された時のかゆみもアレルギー反応の一種

夏は蚊や蜂など、虫に刺される機会が増える季節です。実は、蚊に刺された時のかゆみも、虫の唾液腺物質に対するアレルギー反応の一種とされています。
蜂に刺されたときの注意点
蜂刺されで特に注意したいのが、アナフィラキシーです。スズメバチやアシナガバチに刺された場合に多く見られ、過去に刺された経験がある人ほど、2回目以降はより強い反応が出やすいとされています。多くは刺されてから30分以内に、刺された場所だけでなく全身にさまざまな症状が出始めるとされます。
- 蜂は興奮すると仲間を呼ぶ性質があるため、刺されたらすぐにその場から静かに離れる
- 針が残っていたら、指でつままず、カードなどで横からそっと払って取り除く
- 流水でよく洗い流し、冷やしたタオルや保冷剤で冷やす
- 息苦しさ、じんましん、顔の腫れなど、いつもと違う全身反応があれば、すぐに病院を受診する
- 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある場合は、一度受診してエピペンの処方や使い方の指導を受けておくと安心
マダニに咬まれた後の思わぬ肉アレルギー
意外と知られていないのが、マダニに咬まれることがきっかけで、後日、肉類のアレルギーを発症することがあるという事実です。マダニの唾液や消化管に含まれる「α-Gal(アルファガル)」という糖鎖に感作されると、同じ成分を含む豚肉や牛肉を食べた2〜6時間後に、少し遅れてアレルギー症状が出ることがあるとされています(α-Gal症候群、獣肉アレルギー)。
- 草むらや藪に入るときは、長袖・長ズボン・肌の露出を減らした服装を心がける
- 虫除けスプレーを衣類・肌に使用する
- 外遊びやキャンプから帰宅したら、体にマダニが付着していないか確認する(首の後ろ、膝の裏、脇など皮膚のやわらかい部分は特に念入りに)
- マダニに咬まれているのを見つけても自分で無理に引き抜こうとせず、皮膚ごと医療機関で処置してもらう
- 咬まれた後、数時間〜半日ほど遅れて肉類でじんましん等が出た場合は、マダニ咬傷歴を医師に伝える
草むらや山でのレジャーの後、数時間〜半日ほど遅れて症状が出るいずれのタイプのアレルギーも、原因に気づきにくいのが特徴です。夏に外遊びやキャンプ、草むらでの活動をした後に、遅れて原因不明の蕁麻疹などが出た場合は、少し前に遡って、マダニに刺された心当たりがないか、何を食べたかを確認してみることが手がかりになります。
海のレジャーで気をつけたいこと
海水浴やマリンスポーツを楽しむ際にも、意外な交差反応が知られています。クラゲによく刺されるマリンスポーツをする人、特にサーファーでは、クラゲ由来の成分(ポリガンマグルタミン酸)と、納豆のネバネバ成分が似ているため、納豆を食べた後、少し遅れて(数時間〜半日後)アレルギー症状が出ることがあるとされています。
- クラゲに刺されたら、まず海水で刺胞(毒針)を洗い流す(真水で洗うと刺胞が反応し悪化することがあるとされるため注意)
- 刺された後にサーフィンやマリンスポーツを繰り返し行う人は、納豆を食べた際の体調変化に気をつけておく
- 半日前まで遡って何を食べたか、どこで何に刺されたかをメモしておくと、症状が出たときの手がかりになる
- 息苦しさ・じんましんの広がりなど、いつもと違う症状が出た場合はすぐに医療機関を受診する
まとめ
ここまで食中毒・虫刺され・衣食住を中心にお伝えしてきましたが、夏は紫外線、汗によるあせも、プールの塩素など、皮膚への刺激が増える季節でもあります。アトピーがなくても、食物依存性運動誘発アナフィラキシーやラテックスフルーツ症候群など、食物アレルギーのお子さんがプールで気をつけたい場面もあります。汗による洗濯洗剤の再溶出(衣)、エアコン・カビ・夏型過敏性肺炎(住)、食中毒との見分けや桃・アニサキスなど旬の食材のアレルギー(食)、そして虫刺され・マダニ・クラゲといった意外な交差反応まで、気をつけたいポイントが多い季節です。食後の運動でのアナフィラキシー、マダニ咬傷後の肉アレルギー、クラゲと納豆の交差反応など、見落としがちな「遅れて出るタイプ」のアレルギーがあることを知っておくと安心につながります。
アトピー性皮膚炎をお持ちのお子さんの夏の注意点(紫外線・汗・プールのケアなど)は「アトピーと四季折々の注意事項と対策」で、喘息をお持ちのお子さんの夏の注意点は「喘息と四季折々の注意事項と対策」でそれぞれ詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
夏場は紫外線に注意ですね。海やプールに行くときはしっかりと日焼け止めを塗ってあげます。うちの子は肌が弱いので、プールの塩素などで、アトピーの症状が悪化したりするので、お風呂やシャワーの時はしっかりと塩素を流してあげるようにしています。
また、給食も一部除去と完全除去の日があったりするので、家からお弁当やおかず持参の日は食中毒にも気を付けなければいけませんね。
一年のうちでも楽しい時期ですが、アレルギーっ子には気の抜けない時期でもあります。
この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。治療方針については、必ず主治医の指示を優先してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
参考にした情報源
- 特殊な食物アレルギー/Q&A|一般社団法人日本アレルギー学会
- 食物アレルギー(皮膚科、小児科)|アレルギーセンター|大阪医科薬科大学病院
- 子どもが蜂に刺されたら?アナフィラキシーの症状と対処法|ベスタ(練馬の小児科)
- 洗濯洗剤・柔軟剤で肌が荒れる?原因と対処|0th CLINIC 日本橋(皮膚科医監修)
- 【2026年夏】エアコンをつけると咳が出る?ダニ・カビアレルギーと夏型過敏性肺炎|竹内内科小児科医院(内科・小児科・アレルギー科監修)
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