「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「ホメオパシーでアトピーが改善した」
「レメディを続けたら、かゆみが減った」
「ステロイドをやめて、ホメオパシーで体質改善をした」
アトピー性皮膚炎について調べていると、こうした体験談を見かけることがあります。
特に、
薬を長く使うことへの不安がある
子どもにできるだけ自然な方法を試したい
根本的に体質を変えたい
と考えている人にとって、ホメオパシーは気になる選択肢かもしれません。
では、本当にホメオパシーでアトピー性皮膚炎は改善するのでしょうか。
結論:ホメオパシーがアトピーを改善するという十分な科学的根拠はありません
結論からいうと、現時点で、ホメオパシーがアトピー性皮膚炎を改善する有効な治療法であることを示す十分な科学的根拠はありません。
ホメオパシーそのものを対象にした研究はあります。
しかし、アトピー性皮膚炎について調べた臨床試験やレビューでは、
ホメオパシーがプラセボを上回って症状を改善する
という確かな結果は示されていません。
アトピー性皮膚炎を対象にした系統的レビューでは、確認された臨床試験はいずれも研究の質に問題があり、ホメオパシーの有効性を示す結果は得られなかったと結論づけられています。
また、日本皮膚科学会の2024年版アトピー性皮膚炎診療ガイドラインの英語版でも、ホメオパシーを評価したランダム化比較試験では、プラセボと比べて有意な改善差は確認されなかったとされています。
つまり、
「ホメオパシーでアトピーが改善する人がいる」
という話と、
「ホメオパシーにはアトピーを改善する効果が科学的に確認されている」
という話は、別に考える必要があります。
そもそもホメオパシーとは?
ホメオパシーは、18世紀末にヨーロッパで生まれた代替医療の一つです。
一般的には、
健康な人に大量に与えると症状を起こす物質を、ごく薄く薄めたものを使う
という考え方が知られています。
ホメオパシーで使われるものは「レメディ」と呼ばれます。
レメディには、
- 植物由来
- 鉱物由来
- 動物由来
など、さまざまな原料をもとにしたものがあります。
そしてホメオパシーでは、同じ「アトピー」という診断名でも、全員に同じレメディを使うとは限りません。
かゆみの状態や性格、睡眠、体調などを含めて、その人に合ったレメディを選ぶという考え方があります。
ここが、一般的な医学的治療とはかなり違う部分です。
「体質に合わせて選ぶ」なら効きそうに見えるけれど…
ホメオパシーの話を聞くと、
一人ひとりの体質を見ている
症状だけでなく、その人全体を見る
という部分に魅力を感じる人もいるかもしれません。
特にアトピー性皮膚炎は、
- 症状の強さ
- かゆみ
- 睡眠
- 季節
- ストレス
- 生活環境
などによって状態が変わるため、
一人ひとり違う
という感覚は確かにあります。
ただし、
一人ひとりに合わせている
ことと、
その治療法に効果がある
ことは別です。
「個別に選んだレメディだから効果がある」ということを確認するには、実際に比較研究で効果を確かめる必要があります。
アトピーを対象にした研究ではどうだった?
ホメオパシーによるアトピー治療については、ランダム化比較試験も行われています。
18〜35歳のアトピー性皮膚炎患者を対象に、個別に選んだホメオパシーのレメディとプラセボを比較した試験では、ホメオパシーがプラセボより優れているという結果は確認されませんでした。
また、子どものアトピー性皮膚炎について、ホメオパシーを選んだグループと一般的な治療を受けたグループを長期間追跡した研究でも、36か月後の症状改善に有意な差は確認されませんでした。さらに、ホメオパシーを選択したグループの費用は高くなっていました。
こうした研究だけですべてを断定することはできません。
ただ、現時点では、
ホメオパシーならアトピーが改善する
といえるだけの一貫した研究結果はありません。
「ホメオパシーで治った」という体験談はどう考えればいい?
ここが、このテーマで一番難しいところかもしれません。
実際に、
ホメオパシーを始めたらアトピーが良くなった
と感じている人がいる可能性はあります。
ただし、その変化の原因がホメオパシーそのものだったかどうかは、体験談だけでは分かりません。
アトピー性皮膚炎は、
- 季節
- 湿度
- 汗
- 睡眠
- ストレス
- 感染
- スキンケア
- 年齢
などによって症状が変化します。
特に、
悪化した
↓
何かを始めた
↓
数週間後に改善した
という流れだけでは、その「何か」が原因だったとは限りません。
アトピーには、症状が良くなったり悪くなったりする波があります。
そのため、
ホメオパシーを始めたあとに改善した
ことと、
ホメオパシーによって改善した
ことは同じではありません。
観察研究では「改善した」という結果もある?
あります。
例えば、ホメオパシーを受けたアトピー性疾患の子どもを長期間追跡し、症状の改善を報告した観察研究もあります。
ただし、このような研究では、
ホメオパシーを受けなかった同じような人たちと比較しているのか
他の治療は受けていなかったのか
自然な症状の変化ではないのか
といった問題があります。
そのため、
ホメオパシーを受けた人が改善した
という結果だけでは、
ホメオパシーが改善させた
とまでは言えません。
この違いが、観察研究とランダム化比較試験の大きな違いです。
ガイドラインではどう扱われている?
英国のNICEは、小児のアトピー性湿疹について、ホメオパシーを含む補完療法の有効性と安全性は、十分な臨床試験で適切に評価されていないと説明しています。NICEのガイドラインは2025年にも更新されています。
また、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも、補完代替医療について、ホメオパシーのランダム化比較試験では有意な改善差が見られず、補完代替医療の有効性を支持する十分な科学的根拠はないとされています。
つまり、現時点では、
ホメオパシーはアトピー性皮膚炎の確立された治療法とは位置づけられていない
ということになります。
一番注意したいのは「薬を全部やめること」
ここはかなり重要です。
ホメオパシーを試すことそのものと、
医師から処方された治療をすべてやめる
ことは別問題です。
アメリカ皮膚科学会(AAD)も、子どもの湿疹にホメオパシーを取り入れる場合、まず皮膚科医に相談することや、処方薬を自己判断で中止しないよう注意を呼びかけています。
アトピー性皮膚炎では、症状が悪化すると、
- 強いかゆみ
- 睡眠不足
- 皮膚を掻き壊す
- 感染
などにつながることがあります。
「自然な方法だから安全そう」と感じるかもしれませんが、
標準的な治療をやめた結果、症状が悪化する
という問題は、補完代替医療を考えるときの大きな注意点です。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、代替医療への過度な依存によって標準的な医療への治療継続が低下し、症状悪化につながることが問題として挙げられています。
「レメディなら安全」とも限らない?
ホメオパシーのレメディは非常に薄く希釈されているものも多く、その場合、一般的な薬のような薬理作用による副作用とは考え方が異なります。
しかし、
ホメオパシーだから絶対に安全
とは単純に言えません。
製品の品質や成分表示、他の製品との併用なども関係します。
そして何より、
効果が確認されていない方法だけに頼り、必要な治療を受けなくなること
自体が問題になる場合があります。
アメリカ皮膚科学会も、ホメオパシー製品は安全性や有効性について通常の医薬品と同じように評価されているわけではないことや、科学的に効果が確認されている治療を受けないことによるリスクについて注意を促しています。
ホメオパシーで「体質改善」はできる?
ホメオパシーでは、
アトピーの症状だけを抑えるのではなく、体質そのものを整える
という説明を見かけることがあります。
しかし、
レメディによってアレルギー体質やアトピー体質そのものが変わる
ことを示す確立した科学的根拠はありません。
アトピーの症状が改善することと、
アレルギー体質そのものが変化した
ことも別です。
例えば、子どものアトピーは成長とともに症状が変化することがあります。
そのタイミングでホメオパシーを始めていた場合、
ホメオパシーで体質が変わった
と感じることがあるかもしれません。
しかし、自然な経過や年齢による変化との区別は簡単ではありません。
まとめ
ホメオパシーやレメディでアトピーが改善するという話はあります。
実際に、
「良くなった」
と感じる人がいること自体を否定する必要はありません。
しかし、現時点での研究を見ると、ホメオパシーがアトピー性皮膚炎を改善する有効な治療法であることを示す十分な科学的根拠はありません。
特に、
ホメオパシーを始めた
↓
アトピーが改善した
という出来事だけでは、
ホメオパシーが改善させた
とは判断できません。
アトピー性皮膚炎は症状が自然に変動するためです。
「薬ではなく、体質そのものを整えたい」という気持ちは理解できます。
ただ、
体質改善をうたっていること
と、
実際にアトピーへの効果が確認されていること
は別に考える必要がありそうです。
現時点で調べられる範囲では、
ホメオパシーでアトピーが改善すると言い切れる科学的根拠は十分ではない
というのが、「アレルギーの本当?」としての答えになりそうです。
コラム・レビューの新着
よく読まれている記事




コメント