「アレルギーの本当?」は、へっちゃらの管理人「まっさん」が子供のアレルギーを調べる中で、気になった「アレルギーの雑学」「様々な治療法」「噂話」をまとめて編集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
「乳酸菌をとればアレルギーが改善する」「腸内環境を整えればアレルギー体質が変わる」「アレルギーには乳酸菌がいいらしい」。
ヨーグルトや乳酸菌飲料、サプリメントなどを見ていると、こんな話を目にすることがあります。腸と免疫には関係があるといわれているため、「乳酸菌を増やせば、アレルギーも改善するのでは?」と考えるのは自然なことかもしれません。
では、実際に乳酸菌でアレルギーは改善するのでしょうか。
まず結論
乳酸菌やビフィズス菌とアレルギーの関係は、たくさん研究されています。
ただし、「乳酸菌なら何でもアレルギーに効く」というほど単純ではありません。
菌の種類や菌株、摂取量、年齢、アレルギーの種類などによって、研究結果が変わってきます。
乳酸菌とアレルギーは、なぜ関係すると考えられている?
私たちの腸には、多くの細菌が存在しています。こうした腸内の微生物は、消化だけでなく免疫系とも関係していると考えられています。
そこで、「腸内環境が変わると免疫の働きにも影響して、それがアレルギー反応にも関係するのでは?」という研究が行われてきました。
乳酸菌やビフィズス菌などの一部は、十分な量を摂取した場合に健康への利益が期待される「プロバイオティクス」として研究されています。
ただ、ここで大事なのが、乳酸菌という名前がついていれば、すべて同じ働きをするわけではないということ。
プロバイオティクスは菌の種類だけでなく、菌株ごとに作用が異なる可能性があります。
つまり、
| 「乳酸菌」とひとまとめにしても | 実際には |
|---|---|
| 菌の種類 | 違う |
| 菌株 | 違う |
| 摂取する量 | 違う |
| 研究対象 | 子ども・大人などさまざま |
| 調べているアレルギー | アトピー・鼻炎・食物アレルギーなどさまざま |
というわけです。
だから、「乳酸菌はアレルギーに効く?効かない?」だけでは、ちょっと大ざっぱすぎるんですね。
アトピーは乳酸菌で改善する?
アトピー性皮膚炎については、乳酸菌やプロバイオティクスを使った研究がたくさん行われています。
中には、プロバイオティクスを摂取したグループで症状の重症度が改善したという結果もあります。一方で、明確な改善が確認できなかった研究もあります。
日本皮膚科学会の2024年版ガイドラインでは、多数のランダム化比較試験をまとめた結果について、かゆみ、睡眠障害、生活の質では明確な改善が確認されず、重症度スコアにはわずかな改善がみられたものの、患者にとって意味のある改善かは不明と整理されています。
研究結果をざっくり整理すると、こんな感じです。
| アトピー性皮膚炎について | 現在の研究 |
|---|---|
| 重症度 | わずかな改善がみられた研究あり |
| かゆみ | 明確な改善は確認されていない |
| 睡眠障害 | 明確な改善は確認されていない |
| 生活の質 | 明確な改善は確認されていない |
| すべての患者への使用 | 症状改善目的では勧められない |
つまり
「乳酸菌でアトピーが治る」とまでは、現在の研究からは言えません。
ただし、一部の研究で変化が見られているのも事実。だからといって「乳酸菌はアレルギーには意味がない」と切ってしまうのも少し違います。
「腸活をしたらアトピーが良くなった」という話は?
実際に、「ヨーグルトを食べ始めたら肌の調子が良くなった」「乳酸菌飲料を続けたらアトピーが軽くなった」という体験談を見かけることがあります。
こうした変化があったこと自体を否定する必要はありません。
ただ、「乳酸菌を始めたあとに改善した」ことと、「乳酸菌が改善させた」ことは別です。
アトピー性皮膚炎は、季節や湿度、汗、睡眠、ストレス、スキンケア、治療内容などによって症状が変化します。
また、「食生活を見直した」という中でヨーグルトを食べ始めたのであれば、乳酸菌以外の生活習慣も変わっているかもしれません。
だから、体験談だけでは「乳酸菌のおかげだった」と判断するのは難しいところです。
花粉症や鼻炎にも乳酸菌は効く?
花粉症やアレルギー性鼻炎についても、乳酸菌やプロバイオティクスを使った研究があります。
こちらも「乳酸菌を飲めば花粉症が改善する」と一般化できる状態ではありません。
研究によって使われている菌株や量、対象者が違うため、ある研究で効果がみられたとしても、その結果をすべての乳酸菌製品に当てはめることはできません。
ここは商品を見るときにも注意
ある特定の菌株について研究結果があったとしても、
「乳酸菌」という名前の商品すべてに同じ効果があるわけではありません。
テレビCMなどで「○○菌が研究されています」と紹介されている場合も、どの菌についての研究なのかを見ることが大切です。
食物アレルギーは乳酸菌で改善する?
「腸内環境を整えれば食物アレルギーが治る」という話もあります。
腸内細菌と食物アレルギーの関係は、現在も研究が進められている分野です。
ただし、現時点で「乳酸菌を飲めば食物アレルギーが改善する」という確立した治療法はありません。
世界アレルギー機関(WAO)の資料でも、プロバイオティクスについて、アレルギーの予防や治療に確立された役割があるとは言えず、特定のプロバイオティクスがアレルギー疾患の経過を確実に変えることは示されていないと整理されています。
ここは、アレルギーのある子どもを持つ親としては特に気をつけたいところです。
食物アレルギーではここに注意
「乳酸菌を飲んでいるから大丈夫」として、原因食品を自己判断で食べるのは危険です。
食べられるようになったかどうかは、症状の経過や必要な検査をもとに、医療機関で判断する必要があります。
「アレルギー予防」ではどうなの?
プロバイオティクスについては、すでにあるアレルギーを改善する研究だけでなく、「将来のアレルギーを予防できるのか」という研究も行われています。
ここは少し話が複雑です。
世界アレルギー機関(WAO)のガイドラインでは、妊娠中や授乳中の母親、アレルギーのリスクが高い乳児へのプロバイオティクスについて、主に湿疹の予防という点から条件付きで使用を提案しています。
ただし、根拠の確実性は低く、他のアレルギーを予防する明確な証拠はないとされています。
一方、日本皮膚科学会の2024年版アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでは、妊婦や乳児にプロバイオティクスやプレバイオティクスを投与してアトピー性皮膚炎の発症を予防することは、現時点では推奨していません。研究結果にばらつきがあり、効果が長期的に続かない可能性も指摘されています。
| 目的 | 現在の見え方 |
|---|---|
| すでにあるアレルギーの改善 | 一律に効果があるとは言えない |
| アトピーの改善 | 一部で研究結果あり。ただし一貫していない |
| 湿疹などの予防 | 研究あり。ただし根拠は強くない |
| 食物アレルギーの予防 | 明確な効果は確認されていない |
なので、「乳酸菌を飲めば子どものアレルギーを防げる」と簡単には言えません。
「腸内環境を整える」=「アレルギー体質が治る」ではない
ここが、このテーマで一番誤解されやすい部分かもしれません。
腸内環境と免疫が関係していることと、「腸内環境を整えればアレルギー体質が治る」ことは同じではありません。
たとえば、「腸内細菌が免疫に影響している可能性がある」という研究結果から、「乳酸菌を飲めばアレルギーが治る」と結論を飛ばすことはできません。
腸内環境は、食事、年齢、睡眠、薬、生活習慣など、さまざまな影響を受けています。また、「良い腸内環境」がすべての人で同じとも限りません。
「腸活=アレルギー治療」ではありません。
腸と免疫の関係が研究されていることと、乳酸菌を摂ればアレルギー体質そのものが変わることは、別の話です。
ヨーグルトを食べるのとサプリメントは同じ?
これも別に考えたほうがよさそうです。
ヨーグルトなどの食品を普通の食生活の一部として食べることと、特定の菌を高濃度で含むサプリメントをアレルギー改善目的で摂取することは同じではありません。
また、ヨーグルト自体には牛乳由来の成分が含まれるため、牛乳アレルギーがある人は注意が必要です。
「乳酸菌がアレルギーに良いらしい」と聞いても、その食品が自分にとって安全かどうかは別の問題です。
| 食べる・摂るもの | 考えたいこと |
|---|---|
| ヨーグルト | 牛乳由来の成分に注意 |
| 乳酸菌飲料 | 原材料を確認 |
| サプリメント | 菌株や含有量などを確認 |
| 食物アレルギーがある場合 | 「乳酸菌だから安全」とは限らない |
特に食物アレルギーのある子どもの場合、新しい食品やサプリメントを始める前には、原材料を確認することが大切です。
乳酸菌を続ければ「アレルギー体質」は変わる?
現時点では、「乳酸菌を続ければアレルギー体質そのものが改善する」とは言えません。
一部の菌株について、特定の症状への影響を示す研究はあります。
ただ、
乳酸菌をとる → 腸内環境が整う → アレルギー体質が根本的に変わる
という流れが、すべての人に起こることが確認されているわけではありません。
世界アレルギー機関のポジションペーパーでも、プロバイオティクスにはアレルギーの予防・治療における確立した役割はないと整理されています。
「腸に良い」と「アレルギーに効く」は同じじゃない
腸内細菌と免疫の関係は、今も研究が続いています。
ただ、そこから「乳酸菌を摂ればアレルギー体質が変わる」とまでは、まだ言えません。
まとめ
乳酸菌とアレルギーには関係がある可能性があり、現在も多くの研究が行われています。
ただし、「乳酸菌をとればアレルギーが改善する」というほど、話は単純ではありません。
研究結果は、菌の種類や菌株、対象となる病気、年齢、摂取方法などによって変わります。
今回調べて分かったこと
・乳酸菌なら何でもアレルギーに効くわけではない
・アトピーへの効果は一貫していない
・花粉症や鼻炎でも、すべての乳酸菌に効果があるわけではない
・食物アレルギーを乳酸菌で治療する方法は確立されていない
・腸内環境と免疫には関係がある
・でも「腸活=アレルギー体質が治る」とは言えない
「乳酸菌で良くなった」という話があったとしても、それが乳酸菌そのものの効果なのか、それともアレルギー症状が自然に変化したのかは分けて考える必要があります。
「腸とアレルギーには関係がある」というところまでは研究されています。
ただ、「だから乳酸菌を飲めばアレルギーが改善する」とまでは、現時点では言えなさそうです。
それでも、この分野の研究が面白いのは、腸内細菌と免疫の関係そのものが少しずつ分かってきているところです。
もしかすると、これから研究が進むことで、「どの菌を、誰が、どのタイミングで摂ると意味があるのか」が見えてくるのかもしれません。
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