「うちの子はなかなか量が増えていかない」「まわりの子は順調に進んでいるみたいなのに」
小学校に上がるまでには食べられるようになってくれたら、給食の問題も解決できるから、ちょっと急ぎたいし、焦っちゃうな。——負荷試験に通っていると、そんな気持ちになることがあると思います。
でも、進み方がゆっくりなことは、決して珍しいことではありません。ここでは、負荷試験の進み方に個人差がある理由と、手引きに書かれている進み方の流れを紹介します。
結論:食物経口負荷試験の進み方には個人差があり、ゆっくり進むことは珍しくありません。お子さんのペースで、担当の先生と一緒に進めて大丈夫です。
(水戸済生会総合病院は、食べる量を増やすスピードは、治る早さには影響しないと説明しています。途中で症状が出て止まっても、手引きには半年〜1年後に、もう一度確かめると書かれています)
食物経口負荷試験の進み方には、もともと個人差があります

食物経口負荷試験で量を増やすスピードと、治る早さの関係
アレルギーポータルには、診断された早い時期から、ごく少量でも食べ始めることが、食べられるようになりやすい(耐性を獲得しやすい)可能性がある、と書かれています。一方、水戸済生会総合病院は、食べる量を増やすスピード自体は、治る早さには影響しないと説明しています。
つまり、「量を増やすペースが早いか遅いか」と「最終的に治るかどうか」は、別の話だということなんですね。この病院の説明では、ゆっくり進んでいるからといって、治りが悪いということにはなりません。
食物経口負荷試験の間隔と回数|1年程度かかる人も
水戸済生会総合病院では、試験は1〜2カ月程度の間隔を空けて、鶏卵・牛乳・小麦であれば6回のステップで行っています。制限を解除するまで、1年程度通う方が多いそうです。
食物アレルギー研究会の手引きにも、進み方の目安が書かれています。
| こんなとき | 手引きの書かれ方 |
|---|---|
| 少量の負荷試験が陰性だった | 自宅で1〜数か月、症状が出ないことを確認してから、中等量の負荷試験を考える |
| 中等量の負荷試験が陰性だった | 日常摂取量の負荷試験を行う |
| 少量または中等量が食べられる | その量を続けて、半年〜1年後を目安に、もう一度負荷試験を考える |
| 完全に除去していて、少量で陽性だった | 除去を続けて、1年後を目安に、もう一度負荷試験を考える |
- 表は、食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」をもとにしています。
- 「少量・中等量・日常摂取量」は、負荷試験で食べる量の段階です。まずは少量から始めて、段階的に進めます。
- 間隔や回数は、お子さんの状態や病院によって変わります。担当の先生に確認してください。
食物経口負荷試験で増量できないことがあるのはなぜ?
目標とする量を決めるには、これまでの摂取状況や、誤って食べてしまったときに症状が出たかどうかといった、詳しい病歴が必要になります。少量で症状が誘発されたことがある、特異的IgE抗体価が高い、アナフィラキシーの経験があるといった、リスクが高いと判断される場合は、少ない量から慎重に試験を進めていくとされています。
目標量を決めるときに確認されること(手引きより)
- 重い症状(アナフィラキシーなど)の経験と、そこからの経過期間
- ごく少量で症状が出たことがあるか
- 特異的IgE抗体価などの検査結果
- ぜんそく(特に悪化しているとき)やアトピー性皮膚炎の状態、飲んでいる薬
リスクが高い場合は、実施の時期を延ばす、食べる量を減らす、加熱などで症状が出にくい食品を選ぶ、といった工夫が書かれています。原則として、食べる量は「少量」とされています。
つまり、増量のペースがゆっくりなのは、お子さんの体質やこれまでの経過を踏まえて、安全を優先して決めているためかもしれません。無理に急いで進めるものではない、ということですね。
食物経口負荷試験で症状が出たら?途中で出ても珍しいことではありません
水戸済生会総合病院のデータでは、試験中に蕁麻疹が出たケースは8〜9%ほどで、アナフィラキシーショックを起こした人はいなかったとされています。負荷試験はごく少量から始めるため、過去に重い症状が出たことがあるお子さんでも、試験中は症状が出ないことが多いとされています。
全国の調査では
- 2017年に行われた負荷試験30,725例のうち、495例(1.6%)が、アナフィラキシーに至っていました
- 同じ調査で、負荷試験で症状が出た(陽性だった)のは、約31%でした
- 上の病院のデータは、1つの病院の数字です。病院や、お子さんの状態によって変わります
途中で症状が出て一旦止まってしまっても、手引きや研究会のFAQには、負荷試験の前に食べていた量を続けて、半年〜1年後に食べられる量をもう一度確かめる、と書かれています(少量で陽性だった場合は、完全除去を続けます)。焦らず、先生と一緒に次のステップを考えていけば大丈夫です。
食物経口負荷試験の進み方のまとめ
負荷試験の進み方には個人差があるので、お子さんのペースで、先生と一緒に進めて大丈夫です。
- 量を増やすスピードは、治る早さには影響しないと説明する病院がある(水戸済生会総合病院)
- 少量が陰性なら、自宅で1〜数か月確認して、中等量へ進むのが手引きの流れ
- 増量がゆっくりなのは、リスクを考えて少ない量から進めているためかもしれない
- 途中で症状が出たら、食べていた量を続けて、半年〜1年後にもう一度確かめる
- 全国の調査では、負荷試験30,725例のうち1.6%がアナフィラキシーに至っていた
まわりと比べて焦る気持ちが出てくるのは自然なことですが、お子さんのペースを大切に、担当の先生と一緒に進めていってください。
参考にした情報源
- 済生会「子どもの食物アレルギーを怖がり過ぎないで!『食物経口負荷試験』で正しく知ろう」(水戸済生会総合病院)
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験」(FAQ)
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験|食物アレルギーの診療の手引き2023」
- 食物アレルギー研究会「食物経口負荷試験の手引き2023 実践編」
- 厚生労働科学研究費補助金「食物経口負荷試験の標準的施行方法の確立と普及を目指す研究」(食物経口負荷試験の手引き2023)
- 食物アレルギー|アレルギーポータル
- 厚生労働科学研究費補助金「食物アレルギー診療における重篤な誘発症状に関する全国調査」ほか(総括研究報告書)
- 厚生労働科学特別研究事業 2018年度 食物経口負荷試験の全国調査(報告書)
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