「食べられない」以外にも、不安なことがあります
食物アレルギーのある子にとって、不安は「何を食べられないか」だけではありません。「周りと違うこと」「みんなと同じように振る舞えない場面があること」「自分の体のことを、うまく説明できないこと」など、目に見えにくい不安を抱えていることがあります。
先生が対応の手順を把握するのと同じくらい、本人がどんな気持ちでいるかに目を向けることも、安心できる環境づくりの一部です。今日は、アレルギーのある子の気持ちに寄り添うために、意識しておきたいことを整理してみます。
子どもが感じやすい不安
- 誕生日会や行事で、自分だけ違うものを食べること
- 友達に「一緒に食べられない」と思われること
- 誤って口にしてしまったときの、体の変化への恐怖
- 「なんで食べられないの?」と聞かれたときに、うまく説明できないこと
- 特別扱いされているように見られること
- 友達からのお菓子や誘いを、自分から断らなければいけないこと
- アトピー性皮膚炎やぜん息を併せ持つ子の場合、プールの塩素や掃除時間のほこりなど「食べる」以外の場面でも気を張る必要があること
年齢によって、不安の感じ方も変わります。小さいうちは「みんなと違うもの」への戸惑いが中心ですが、年齢が上がるにつれて、周りからどう見られるかを気にするようになる子も多いようです。
「断る」ことへの罪悪感
「食べられない」のは体の事情ですが、「断る」のは自分の意思で行う行動です。友達からもらったお菓子を断ったり、誘いを断ったりするたびに、「せっかく誘ってくれたのに」「悪いことをしているのでは」という罪悪感を抱く子もいます。断ることは自分の身を守るための正当な行動だと、繰り返し伝えていくことが助けになります。
「食べる」以外の場面での不安
不安な場面は「食べる」ときだけとは限りません。アトピー性皮膚炎やぜん息を併せ持つ子にとっては、プールの授業や、ほこりの舞う掃除の時間なども、人知れず気を張っている場面です。「アレルギー=食べ物の話」と決めつけず、その子が日常のどんな場面で緊張しているかにも目を向けておくと安心です。
体育を見学するときの疎外感
食物依存性運動誘発アナフィラキシーのように、運動そのものが症状のきっかけになる子もいます。そうした子は、みんなが体育の授業に参加している中、自分だけ見学しなければならないことがあります。「なぜ自分だけ休まなければいけないのか」という疎外感や、みんなと同じように動きたいのに動けないもどかしさを感じることもあるようです。
話を聞くときに意識したいこと
- 「かわいそう」という前提で接しない
- 注意する・叱るという姿勢ではなく、一緒に考えるという姿勢で話を聞く
- 話したがらないときは無理に聞き出そうとしない
- 「あとでね」ではなく、話せる時間を具体的に伝える
- 聞いた内容は、必要に応じて保護者や他の教職員と連携する(一人で抱え込まない)
子どもは、自分の状況を思っている以上によく理解していることがあります。大人が先回りして心配しすぎるより、本人の言葉に耳を傾けることが、安心につながることも多いようです。
「かわいそう」ではなく、自分で乗り越える力を
食物アレルギーのある子を育てる保護者の体験談として、「食べられないものがあるのはかわいそうなことではない」という考え方のもとで子育てをしてきた、という声があります。皆と違うお菓子を持たされた子が、周りから「まずそう」と言われても「まずくないよ、これ美味しいんだよ」と自分の言葉で返せた、というエピソードも紹介されています。
先生の立場でも、同じような姿勢を持つことができます。「食べられないものがある」という一点だけでその子を見るのではなく、自分の状況を自分の言葉で説明できるよう後押しすることが、自己肯定感を育むことにつながります。
周りの子どもたちへの伝え方も大切です
本人の気持ちに寄り添うことと同時に、周りの子どもたちへの伝え方にも配慮が必要です。学級の中で、他の子が対応を不審に思ったり、からかいやいじめのきっかけになったりしないよう、十分な配慮が求められます。
どこまで、どのように周りの子に説明するかは、本人と保護者の意向を踏まえて決めることが基本です。周りの子どもたちとの関わり方については、別記事で詳しく取り上げる予定です。
まとめ
アレルギーのある子どもの不安は、大人からは見えにくいことがたくさんあります。食べられるもの・食べられないものの管理だけでなく、その子がどんな気持ちでいるかにも目を向けることが、安心して過ごせるクラスづくりにつながります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、対応は園・学校によって異なります。詳しくは免責事項をご確認ください。この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、実体験と公開情報をもとにまとめています。
参考にした情報源
- 埼玉県教育委員会「学校における食物アレルギー対応マニュアル【6訂】」
- 厚生労働省「学校で子どもと向きあうポイント」
- 前橋市「食物アレルギーは『大変』だけど『かわいそう』ではなかった、という話」(広報誌ほっとコラム)
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