スキンケアの基本は「洗う」と「保湿する」の2つです
アトピー性皮膚炎のスキンケアは、実はとてもシンプルです。皮膚を清潔に保つ「洗浄」と、うるおいを守る「保湿」、この2つを日々続けていくことが基本になります。
薬による治療と同じくらい、このスキンケアもとても大切な役割を持っています。症状が落ち着いているときも油断せず、毎日のケアとして続けていくことがポイントです。
お風呂の入り方、ちょっとしたコツがあります
- お湯の温度:38〜40℃くらいのぬるめが目安です。熱いお湯は、かゆみを引き起こしやすくなります
- 洗い方:タオルなどでゴシゴシこすらず、よく泡立てた石けんで優しく洗います
- 石けん選び:低刺激性・低アレルギー性のもの、香料や着色料などの添加物が少ないものを選びましょう
- すすぎはしっかりと:石けんが肌に残ると、それ自体が刺激になってしまいます。洗った後は、時間をかけてしっかり洗い流すことを意識しましょう
- 長風呂は避ける:長時間の入浴もかゆみの原因になることがあるので、ほどほどの時間で切り上げましょう
石けんで体を洗うこと自体が症状の改善につながるとされているので、「刺激になるから洗わない」ではなく「優しく、きちんと洗う」という意識が大切なんですね。
石けんや保湿剤、成分はどう選べばいいの?
パッケージに並ぶたくさんの成分表示を見て、どれを選べばいいか迷ってしまう方も多いと思います。大まかな目安をまとめてみました。
選ぶときの目安になる成分
- アミノ酸系の洗浄成分:肌への刺激が少なく、必要な皮脂を落としすぎにくいタイプです
- セラミド・ヒアルロン酸:肌のうるおいを保つ働きがあり、保湿剤や洗浄料に配合されていると安心材料になります
- ヘパリン類似物質・ワセリン:医療機関でもよく処方される、保湿の基本となる成分です
- 無香料・無着色のもの:香りや色をつけるための添加物が少ないほど、肌への負担は減らせます
避けたほうがよいとされる成分
- 洗浄力の強すぎる石けん:昔ながらの純石けんなどは洗浄力が高い分、乾燥した肌や敏感な肌には刺激が強すぎることがあります
- 合成香料・着色料:見た目や香りのための添加物は、症状が出ているときは特に刺激になりやすいです
- アルコール(エタノール):清涼感を出すために化粧水などに配合されることがありますが、乾燥した肌にはしみたり刺激になったりすることがあります
- メントールなどのスースーする成分:かゆみを一時的にまぎらわせる効果はありますが、刺激そのものになってしまうこともあるため、慢性的な症状には不向きとされています
市販薬を使うときの注意点
かゆみ止めの市販薬を薬局で選ぶこともあると思いますが、いくつか気をつけたいポイントがあります。
- ステロイドが配合された市販薬もありますが、お子さんの症状に合った強さかどうかは自己判断が難しいため、できれば医師の診察を受けて処方してもらう方が安心です
- 「よく効きそう」という理由だけで強い薬を選ばず、まずは保湿剤でのケアを基本にしましょう
- 何を使っても改善しない、悪化する場合は、市販薬でやり過ごさず早めに皮膚科を受診することをおすすめします
これはあくまで一般的な目安です。同じ成分でも合う・合わないには個人差が大きいので、最終的には医師と相談しながら、お子さんの肌に合うものを見つけていくのが一番確実です。
保湿は「入浴後すぐ」「1日2回以上」が目安です
保湿のタイミングと回数には、いくつかポイントがあります。
- 入浴後すぐに:お風呂上がりは肌の水分が蒸発しやすいタイミングなので、できるだけ早く(5分以内が目安)保湿剤を塗りましょう
- 1日2回以上:朝晩など、こまめに塗り直す方が効果的とされています
- 症状がないときも:肌の調子が良いときも保湿は続けることが、バリア機能を保つポイントです
どれくらいの量を塗ればいいの?
保湿剤の量の目安として「フィンガーチップユニット(FTU)」という考え方があります。
- 軟膏・クリームの場合:大人の人差し指の先端から第一関節までの長さで押し出した量(約0.5g)が1FTU。これで大人の手のひら2枚分くらいの範囲に塗れる目安です
- ローションの場合:1円玉大の量が1FTU
- テカテカ・しっとりする程度がちょうどよい塗布量の目安になります
「思っていたより多めに塗って大丈夫なんだ」と感じる方も多いようです。少なすぎると効果が十分に発揮されないこともあるので、医師の指示された量を目安にしっかり塗ることが大切です。
保湿剤にもいろいろな種類(剤形)があります

- 軟膏:刺激が少なく、皮膚を保護する力が強いタイプ。ただしテカつきやベタつきが気になることも
- クリーム:軟膏よりベタつきが少なく、衣類の下でも使いやすいタイプ
- ローション:さっぱりした使い心地で、広い範囲や髪の生えている頭皮にも塗りやすいタイプ
- フォーム(泡状):広い範囲に素早く塗れて、べたつきにくいタイプ
どのタイプが合うかは、季節やお子さんの好み、塗る部位によっても変わってきます。「これじゃないと絶対ダメ」というものではないので、医師と相談しながら、お子さんが嫌がらずに続けられるものを見つけていくのがコツです。
顔のスキンケアは、体よりちょっと丁寧に
顔は皮膚が薄く、体よりも刺激を受けやすい部位です。体と同じ感覚でケアすると、うまくいかないこともあるので、少しだけ意識したいポイントをまとめました。
- 洗うときは、ゴシゴシこすらず泡を転がすように優しく。特に頬や口の周りは食事の汚れが残りやすいので、丁寧に洗い流しましょう
- 目や口の周りは、保湿剤や塗り薬がしみたり入ったりしないよう、少し離した位置から薄く伸ばすように塗ります
- 顔用に処方される塗り薬は、体用より弱いランクのステロイドが選ばれることが多いです。「体で使っているものを顔にも」と自己判断で使い回さないようにしましょう
- 外遊びの機会が増える時期は、紫外線も刺激になることがあります。気になる場合は、子ども向けの低刺激な日焼け止めについても医師に相談してみるとよいと思います
嫌がって顔を触らせてくれない、という悩みもよく聞きます。無理に一気に塗ろうとせず、頬→額→あご、というように少しずつ範囲を区切って声をかけながら進めると、負担が減ることが多いようです。
子育て中ならではの、スキンケアの悩みあるあるです
- 塗るのを嫌がる:ひんやりする感触やベタつきを嫌がるお子さんは多いです。ローションタイプに変える、遊びの延長のように声をかける、好きなキャラクターのグッズで気をそらすなど、工夫しているご家庭が多いようです
- 塗る順番に迷う:外用薬と保湿剤、どちらを先に塗るべきか迷う方も多いのですが、効果に大きな差はないとされています。医師の指示がある場合はそれに従い、ない場合は塗りやすい順番で問題ありません
- 塗り残しが気になる:軟膏は洗ってもうっすら残ることがありますが、無理にこすり落とす必要はありません。気になる場合は医師に相談してみましょう
まとめ
アトピー性皮膚炎のスキンケアは、「優しく洗う」「たっぷり保湿する」というシンプルな積み重ねです。特別なことをする必要はなく、毎日のケアを根気よく続けていくことが、一番の近道なんですね。
治療方針やケアの方法については、自己判断せず必ず主治医の指示を優先してください。この記事は、食物アレルギーのあるお子さんを育てる運営者「まっさん」が、自身の経験と厚生労働省・専門機関等の公開情報をもとにまとめています。詳しくは免責事項をご覧ください。
薬による治療の考え方については、アトピー性皮膚炎の治療でも詳しくお話ししています。
参考にした情報源
- アトピー性皮膚炎におけるスキンケア – マルホ株式会社「アトピーのみかた」
- アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを抑える塗り薬の上手な使い方(FTU) – マルホ株式会社「アトピーのみかた」
- アトピー性皮膚炎のホームケアは保湿剤と入浴がポイント – 小児科オンラインジャーナル
- アトピー性皮膚炎と石鹸 –
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