「血液検査でアレルギーの数値が高かった」と聞くと、「じゃあ症状も重いんだ」と思ってしまいがちですよね。実はこれ、よくある誤解なんです。
今回は、食物アレルギーの血液検査(特異的IgE抗体検査)で分かること・分からないこと、数値(クラス)の見方について、詳しくお伝えしていきます。
結論:血液検査のクラス(数字)は「アレルギーの可能性」の目安で、症状の重さや、食べられるかどうかを決めるものではありません。
(実際に食べて大丈夫かを確かめるには、医師の管理のもとで行う食物経口負荷試験が必要です。結果は、必ず医師と一緒に見てください)
食物アレルギーの血液検査とは?IgE抗体はアレルギー反応に関わる免疫の成分の一つ

「IgE」って、聞きなれないことばですよね。
食物アレルギーの検査には血液検査があります。原因として疑われる食べ物に対する「特異的IgE抗体」が、血液中にどのくらいあるかを調べます。
IgE抗体は、アレルギー反応に関わる免疫の成分の一つ。特定の食べ物に反応するIgE抗体が多いほど、その食べ物に対して「感作されている」(アレルギー反応を起こす準備が体の中にできている)と考えられます。
- 食物アレルギー研究会の「食物アレルギーの診療の手引き2023」には、「抗原特異的IgE抗体陽性(=感作されていることを示す)と食物アレルギー症状が出現することとは必ずしも一致しない」と書かれています。
食物アレルギーの血液検査はどうやって受ける?採血と指先でできる迅速検査

血液検査と聞くと、「痛いかな」「小さい子でもできるかな」と心配になりますよね。
血管が分かりにくく、じっとしているのが難しい小さなお子さん向けには、指先の採血で調べられる「イムノキャップラピッド」という迅速検査もあります。約20分で結果が分かる一方、調べられる項目はスギ・ダニなど数種類に限られるため、主に吸入アレルゲンのスクリーニング向けです。食物アレルギーで幅広く調べたい場合は、通常の採血による検査が中心になります。
- イムノキャップラピッドは、製造元の資料によると、指先からの採血で20分で結果がわかる検査です。
- 調べられるのは、シラカンバ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、イヌ、ネコ、ヤケヒョウヒダニの8項目で、食べ物は入っていません。
食物アレルギーの血液検査の結果の見方|検査結果は多くの場合「クラス0〜6」の7段階

検査結果の紙に並んだ数字は、パッと見ただけでは分かりにくいですよね。多くの場合、結果は「クラス0」〜「クラス6」の7段階で示されます。
特異的IgE抗体のクラス判定基準の表(クラス0〜6)
実際の数値(IgE抗体濃度)との対応は、次のようになっています。
| クラス | IgE抗体濃度(UA/mL) | 判定 |
|---|---|---|
| 0 | 0.34以下 | 陰性 |
| 1 | 0.35〜0.69 | 陰性 |
| 2 | 0.70〜3.49 | 疑陽性 |
| 3 | 3.50〜17.49 | 陽性 |
| 4 | 17.50〜49.99 | 陽性 |
| 5 | 50.00〜99.99 | 陽性 |
| 6 | 100以上 | 陽性 |
- 濃度の数字は、平仁会病院「検査と体の関係⑥ アレルギー検査」の判定基準表をもとにしています。
- 「クラス0〜1が陰性、クラス2が疑陽性、クラス3以上が陽性」という判定は、近畿大学病院の説明をもとにしています。
- 判定の呼び方は、病院や資料によって少し違うことがあります。結果の見方は、担当の先生に確認してください。
クラスの数字の見方|表からわかること
- クラスが1つ上がるごとに、濃度の下限が2〜5倍ほどずつ増えていく(0.35→0.70→3.5→17.5→50→100)
- 「クラス0〜1が陰性」「クラス2が疑陽性」「クラス3以上が陽性」という区分になっている
- 基本的な考え方は、「クラスが高いほど、その食品に対してアレルギーである確率が高まる」というもの。ただし、クラスはあくまで「アレルギーがある確率の目安」で、症状の重さを表すものではない
- 日本小児アレルギー学会のガイドラインには、特異的IgE抗体価が2 kUA/Lの場合は症状が誘発される可能性が50%、20 kUA/Lの場合は95%になる、と書かれています
血液検査の数値が高い=症状が重い?クラスが高いからアレルギーが重度ではない

数字が高いと、ドキッとして当然です。
ここが、この検査で最も誤解されやすいポイントです。
「クラスが高い(数値が強い)と、アレルギー症状も強く出る」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。また、「クラス3以上なら陽性」と表示されますが、クラス3だからといって、必ずアレルギー症状が誘発されるというわけでもありません。
さらに、食べる量や、加熱・加工の程度によっても、症状が出るかどうかは変わってきます。こうした個々の状況は、血液検査のクラスだけでは分かりません。
つまり、血液検査は「確定診断」ではなく「可能性を知るための手がかり」という位置づけです。実際に食べても大丈夫かどうかを確認するには、医師の管理のもとで行う食物経口負荷試験が必要とされています。
- 近畿大学病院は、「クラスが強いとアレルギー症状が強く出る」というのはよくある誤解で、食べる量や加熱の程度によって結果が変わるため、「血液検査のクラスを見るだけではわからない」と書いています
- 日本小児アレルギー学会のガイドラインには、「特異的IgE抗体陽性だけでは診断確定とはならず、食物除去試験で症状が改善し、食物経口負荷試験で症状誘発を確認することが必要」と書かれています
食物アレルギーの血液検査は2種類|単項目測定と多項目同時測定

「何を調べるか」で、検査のやり方が分かれています。
- 単項目測定法(CAP法):疑われる原因食物を指定して調べる方法
- 多項目同時測定法:具体的な原因が分からない場合に、複数の食物アレルゲンをまとめて調べる方法。蕁麻疹やアナフィラキシーの原因を幅広く探りたいときに利用される
原因の見当がついている場合は単項目、見当がつかない場合は多項目、という使い分けが一般的です。
- 食物アレルギー研究会の手引き2023は、多項目同時測定について、「定量性は十分ではないが多項目を同時測定できる」検査で、原因不明の食物アレルギーを探すスクリーニング検査と位置づけています
- 同じ手引きでは、診断や経過の評価に使うことは推奨されていません
食物アレルギーの血液検査のまとめ
血液検査のクラスは「アレルギーの可能性」の目安で、症状の強さとは比例しません。
- 特異的IgE抗体の量を、クラス0〜6の数値で示す検査
- 「陽性=必ず症状が出る」わけでも、「陰性=絶対に大丈夫」というわけでもない
- 食べる量や加熱の程度で、症状が出るかどうかは変わる
- 確かめるには、医師の管理のもとで行う食物経口負荷試験が必要
- 単項目は原因が疑われるとき、多項目は原因が分からないときのスクリーニング
「陽性=必ず症状が出る」わけでも、「陰性=絶対に大丈夫」というわけでもない、という点を知っておくだけで、結果を見たときの受け止め方がずいぶん変わってくると思います。数値の解釈や、実際に食べられるかどうかの判断は、必ず医師と相談しながら進めてください。
「へっちゃら」まっさんより
うちの子は血液検査を受けた時に「卵」「ゴマ」「ソバ」「犬の毛」などの数値が飛びぬけて高かったです。ゴマは早期に食べられるようになりましたが、数値の低い小麦を食べすぎるとアトピーのような症状が出てしまいます。
人によりますが、数値が高いからといって、食べられないわけではないので、ひとまず落ち着いてください。
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